政府・与党は、大企業の交際費の一部を税務上の損金(経費)として認める、いわゆる非課税とする制度の概要を固めたようです。

この損金に算入できる交際費は、支出額の50%まで認められ、上限額は設けないそうです。

現状でも、交際費の一部が損金算入(800万円までは損金算入可)できる中小企業(資本金1億円以下)は、上記の支出額の50%までが損金に算入できる制度も選択できるようにすることを検討されているようです。

この新制度は、資本金1億円超の大企業が対象となります。

交際費を年間1億円使えば、5千万円までが損金(経費)として認められることとなります。

その分は、その法人の課税対象額が少なくなりますので、結果、減税となります。

この損金(経費)に算入xできる交際費は、原則としては飲食接待費に限る方向で検討していくようです。

もっとも、この法案は来年4月から2~3年間の時限措置として実施する予定のようです。

ちなみに、フランスでは一定の要件を満たせば、大企業でも交際費の全額は認められているようです・・・

米国は、50%までが認められているようです。

国税庁の推計では、交際費の年間支出額(11年度)は、『資本金1億円超~10億円以下』の企業で平均約988万円、『10億円超』で約7725万円となるようです。

この新制度を導入すると、国や地方自治体は500億円~600億円程度の大きな減収になると見込まれているようです。

反面、損金(経費)算入できることで交際費の支出が増えれば、飲食店がもうかり消費が拡大することも期待されているようです。

ここにきて、大企業に有利な税制の改正案が続いて新聞等い取りざたされています。

復興増税の早期取りやめ等々・・・

反して、個人への増税の改正案もまた、続々と取りざたされてきています・・・

消費税、相続税、所得税・・・等々・・・

国際間の法人税に相当する税体系と比較するに及んでは、日本の大企業に対して有利な税政策を取るのは、やむを得ないことかもしれません・・・

多額の法人税が課される日本に投資してくれる外国企業は減少していくでしょう・・・

見方を変えれば・・・大企業が元気になれば・・・取引先の中小企業も潤ってくるでしょう・・・

内部留保を優先して取引先の中小企業に還元されなければ・・・元も子も無くなってしまうかもしれません・・・

大企業へ税制での優遇も与える代わりに・・・その優遇政策から産まれた余剰部分の一部は、取引先の中小企業に還元する、正規雇用という形で個人にも還元する、・・・ということを義務付けて欲しいなとは思っています・・・

大企業が元気⇒中小企業も元気⇒個人も元気⇒商店街も元気・・・といったような還元が起きて欲しいなと思います・・・

それにしても・・・法人税の損金や益金と会計上の収益と費用の相違には戸惑いが欠かせません・・・

法人税での税務調整・・・交際費は当然ながら会計上は経費に算入され、当期純利益は交際費を100%控除した後の金額となりますが・・・なぜ・・・税法では損金に算入しないのか・・・

それは、税金を多くとるためです・・・

会計の目的は適正な財務諸表を作ることにあります・・・そのため・・・会計上では一般原則や費用収益対応の原則、発生主義や実現主義などのルールがあり、そのルールに基づいて財務諸表が作られることとなります。

なぜ・・・交際費は損金とならないか・・・国の財政を考えた上での税金の計算上のルールからそうなります・・・

会計上では、交際費を控除しないで計算した当期純利益の計算は許されざる過剰な利益となってきます・・・

これは、投資家や債権者に対しての背信的な利益、つまりは粉飾と同様な見掛け上の真実に懸けた利益となってきます・・・

が・・・これは、あくまでも税金を計算するための利益(税法では所得といいます)ですから、投資家や債権者は会計と税法の利益の差異が一目でわかれば問題は無いこととなります・・・

あわせて、利益が違ってくるということは・・・純資産にも相違があらわれてきます(利益が増えれば純資産も増える)・・・その純資産の相違な部分も一目で分かるようにしておく必要があります・・・

そこで、法人税の計算では、会計上の当期利益に税務上の調整(利益への加算や減算)を行って、法人税を計算するための所得金額を計算して、その調整によって生じた純資産の相違も計算します・・・

これを、法人税では申告書の別表四と別表五(一)で処理します・・・

結果、会計上の利益と法人税を計算するための所得の2種類の利益が存在することとなりますし、純資産も同様に2種類の金額が存在します・・・

さらに、近年における大企業はバブル崩壊やリーマンショックのように所有資産の大暴落が起こりえることから・・・毎期末ごとに時価の変動のある資産はその期末時点の時価で期末簿価を計算するといった会計処理の考えが産まれてきました。

バブル崩壊前の企業のBSは土地や株の含み益でその純資産はかなりの含み分が未実現として含まれていました・・・

バブル崩壊後は・・・その真逆となりました・・・含み益から含み損へ・・・BSは大きく傷つきました・・・

もはや・・・ぼろぼろ・・立ち直ることすら出来ないような状況まで一気に落ち込みました・・・

天国から地獄へ・・・

そんな経験を全世界的に体験し・・・特に売買目的有価証券は期末時価で評価しようとなってきました・・・

もっとも、保守主義の原則から、その昔から有価証券の低価法という考え方があり期末時点での株価下落に拠り評価損が計算できるようにはなってはいましたが・・・

いずれにしても・・・年を追うごとに・・・期末時点での資産の時価によりBSを計算し期首と期末との純資産の増減が利益と捉える会計処理が、国際会計基準(IFRS)として発展してきました。

この利益を包括利益といいます。

これで、会計上、税法上、IFRS上の3っつの利益が存在することとなってきました・・・

近年、発展した・・・マネーゲームともいうべき・・・投資型経営は、これは発展なのでしょうか・・・後退なのでしょうか・・・

バブル崩壊やリーマンショックを思い起こすと・・・ものづくりを地道にやっていればよかったのにと思うことも・・・正直、あります・・・

結局は、トヨタの景気で名古屋は浮沈し・・・公共事業でものをつくって経済再生です・・・

ものづくりは、取得原価主義会計です・・・

原点回帰が・・・いま、求められているのでは・・・