ここ数年、猛暑の夏が続いています。

気温35度超が当たり前という感覚になってきました。

今日からお盆です。

お盆といえば里帰り

昨日あたりから帰省ラッシュが始まった模様です・・・

里帰りといえば、都心方面から地方へというイメージが強いですが、地方から都心への里帰りも当然にあるわけです。

東京在住で東京の大学をでて東京の会社に入社して転勤で地方に在住等々・・・

いずれ、定年を迎える頃には東京に定住するといったパターンは多く見受けられます。

大手の会社に勤められると、まさにジプシーのごとく日本国中から世界を駆け巡っての生活を送ることとなってきます。


そのような方達で東京をはじめとした大都市圏に実家がある方は、来年からの相続増税には要注意です。

例えば何代も前から東京23区内に住み続けている一族のかたで、昭和の始めに分家に出たときに100坪の土地を分けてもらった。

バブルのかなり前に先代の相続を迎えたが、ほんの少しの相続税で免れてきた・・・

そして、いままさに80歳後半を過ぎた親の相続を意識するようになってきた・・・

などの条件に合致するような方は、大勢いらっしゃるかもしれません。


そのケースの場合、来年からの相続税改正による基礎控除額の減額にかなりの注意を要することとなってきます。

今年一杯の相続税の基礎控除額は、5000万円+1000万円☓法定相続人の数が基礎控除額となります。

例えば、相続人が奥様と子供2人の合計で3名の場合は、8000万円が基礎控除額となります。

この基礎控除額が来年からは、その60%である4800万円までに減額となります。

実に、40%の3200万円もの基礎控除額が減額することとなってきます。

たとえば、この基礎控除額の減額により相続税の超過累進税率が20%に該当することとなった場合、実に640万円の増税ということになってきます。


この増税に対する対策としては、第一には小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の適用が受けられるか否かです。

小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定は、相続の開始の直前において、被相続人または被相続人と生計を一にする被相続人の親族の事業(不動産貸し付けなどの準事業も含みます)の用または居住の用の供されてる一定の敷地で一定の建物または構築物の敷地の用に供されているもので一定のものに適用される特例です。

こまかい要件はおいといて、例えば親の居住の用に供していた居住用不動産を相続または遺贈で取得した子供は、その土地の相続税の課税価格の評価額のうち、実に80%が軽減されるというものです。

ただし、無尽蔵に軽減されるわけではなく、居住用であれば今年一杯は240㎡、来年以降は330㎡を限度にその軽減の適用が受けられることとなってきます。

ちなみに、事業用(不動産貸付業は除く)は、400㎡までは80%が減額されるkととなります。

アパートなどの不動産貸付業は、200㎡まで50%が減額されることととなってきます。

そして、居住用、事業用、貸付事業用、それぞれを目いっぱいその適用を受けることはできません。

基本的には、一番有利なもののうちから、合計400㎡(事業はその面積、居住用はその面積に5/3を乗じた面積、貸付事業用はその面積に2を乗じた面積お合計した面積)までが限度となります。

そして、来年からはこの面積要件が緩和されて事業用と居住用はそれぞれ目一杯その適用が受けられることとなってきます。

要は事業用の敷地400㎡と居住用330㎡の合計730㎡までが、その適用の対象となることができます。


仮に来年以降、東京23区内の時価相場坪250万円(相続税評価額坪200万円)の330㎡(約100坪)の居住用の敷地を相続で取得した場合、相続税評価額2億円に対し、この規定の特例の適用をうけると実に4千万円までその評価額は圧縮されることとなってきます。

実にその差額は1億6千万円です。

仮に、評価額2億円のままであると超過累進税率15%であったとすると、2400万円の相続税が軽減されることとなってきます。

そして、この小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定の適用については、その対象となる土地を所得した人に対しての要件もあります。

居住用のものに限って言えば、配偶者が取得した場合は無条件でその適用は受けられることとなります。

配偶者以外の子供が取得した場合は、いろいろな適用要件が存在します。

その一つは同居親族であること・・・要は被相続人である親と同居していた場合に受けられる要件です。

そして、非同居であっても、この適用が受けられることもあります。その要件は、自分以外の相続人である親族が同居していなかったこと、と。その土地を取得した子供が、相続開始前3年以内にその子供の所有する家(その子供の配偶者の家を含みます)に居住していなかったことです。

税法の規定ですので、このような文章では誤解を生じることがありますので、税務署とうでご確認いただくか、詳細をお知りになりたい方は、ご遠慮なくご連絡をいただきたいと思います。


このように、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定の適用が受けられるか否かが相続対策では、とても大きなポイントを占めることとなってきます。

いま、会社の転勤等で親御さんと別居住のかたで、その実家が東京都内であるとか県庁所在地の市街地内とかいった場合は、とりあえずは、相続税の負担を確認されてみたらいかがと思います。

そのうえで、何もしないでいると多額の相続税がかかりそうといった場合は、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定の適用を検討してみてください。

とはいえ、この規定の適用を考える上では、その実家を誰に遺してあげたいかといった遺産分割を第一に考えなければなりません。

このお盆で、機会があれば、皆さんで相続税の負担があるのや否や確認していただき、小規模の特例等についても話し合えるのであれば話し合っておきたいところかと思います。


また、90歳まで無告知で加入できる生命保険の商品もありますので、生命保険金の非課税枠に余裕のある方は、非課税枠狙いで、そんな生命保険に加入しておくこともいろいろな面でメリットが生じるときもあります。

まずは、このお盆で、具体的な内容は別として、これからの方向性だけでも話し合えるとよろしいのかなと感じています。