本日の日経WEB版に相続の際に土地を共有で分割した場合の解消方法についての記事が掲載されていました。

のちのちの所有形態等(共有者が代を重ねるごとに増えてしまう等)を考えると共有での分割は避けたいところですが、すでに共有で分割してしまっている場合、どうするか・・・

そのような場合の参考になる記事ですので原文のまま、紹介させていただきます。

親から相続した土地や家を、当時はみんな仲良く共有で分けたものの、そのままだと何かと問題が出てきたのでやっぱり共有はやめにしたい……。そのような際、元の遺産分けの話し合い自体を白紙に戻すことは難しいのですが、新たな手続きをとることによって共有状態を解消できるような方法があります。やり方はいくつか存在しますが、今回はそのうち3つの方法について簡単に確認してみたいと思います。

ところで、具体的な解消方法の説明に入る前に、まずは不動産の共有状態についてのよくある誤解についてもういちど整理しておきましょう。例えば親の遺産であった100平方メートルの土地を、長男・次男の兄弟2人で半分ずつ共有して相続しているというケースがあったとします。この場合、100平方メートルの土地のうち、兄が自由に使える部分はどこになるのでしょうか。

なんとなく、「兄の持ち分は2分の1だから、面積でいうと全体の半分の50平方メートルまでは兄の所有となって、その範囲内であれば兄が好きに使ってよいだろう」というイメージが浮かんでくるかもしれません。しかし残念ながら、そのイメージは誤りです。この場合の「共有持ち分2分の1」というのは、所有している面積の割合のことではありません。

つまり、100平方メートルの土地を共有しているといっても、土地のどこかに境界線が設定されていて、こちら側の50平方メートルは兄のもの、あちら側の50平方メートルは弟のもの、といったわかりやすい分け方がされているわけではありません。あくまでも、物理的には土地は一体で100平方メートルのままなのです。

ですから、土地上には何の明確な区分もなく、一体の土地のオーナーであるという「権利」だけを、兄弟で半分ずつに分けているというにすぎないのです。そうした曖昧な状態が「不動産を共有している」ということの正体であるともいえるでしょう。

そのため、兄がこの土地を使って何かをしたいと思っても、自分だけに割り当てられている部分というのは物理的には決まっていません。「ここからここまでの50平方メートルは俺の好きに使うからな」ということはいえないのです。そもそも半分の50平方メートルどころか、たとえ1平方メートルについての話であっても、共同オーナーである弟の承認が必要となる場合が出てくるということになります。

このように、共有している持ち分は決まっていても物理的な境界までは決まっていないから、結局はお互いとも自由に使えない――という状態を解消しようというのが、今回とりあげる第1の方法です。すなわち、不動産に線を引いて物理的に分けてしまい、「現物」を分割するというやり方です。

一体となっている土地について、まずは「分筆(ぶんぴつ)」という手続きをとって、そもそも複数の土地に分けてしまいます。そして、その新しく分かれた複数の土地を、それぞれが単独でもらえるようにしようじゃないか、という話になります。さきほどの兄弟の例でいえば、物理的には区分のなかった100平方メートルの土地に実際に境界を設けて「土地A」「土地B」といったように2つの土地に分けてしまい、土地Aは兄がもらう、土地Bは弟がもらう、などとそれぞれ単独で名義を取得できるように調整していくということです。

この方法、要するに持ち分に応じて土地を分けて配るというだけなので、一見シンプルなようにも思えるのですが、実際にはそう簡単に進まないところも少なくありません。例えば100平方メートルの土地を兄50平方メートル、弟50平方メートルというように現物で分割できたとして、「それが本当にもともとの持ち分である2分の1に見合った配分になっているのか?」という問題があります。

たしかに「面積」だけでいえば、正確に半分ずつになっているでしょう。しかし、だからといって「価値」についても半分ずつになっているとは限りません。角地かどうか、道に面している間口が広いか狭いか、勾配があるかないかなど、土地の価値を左右する要素は面積以外にもたくさん存在しています。

それらも考慮したうえで、当事者がお互い納得できるように土地を切るというのは、なかなか骨が折れる場合もあるのです。ですから、ケースによっては切った土地の価値の過不足をお金などで調整しなければならないということも出てくるでしょう。

また、土地の境界を区切るためには共有者たちだけが納得していればよい、というわけではないことにも注意が必要です。自分たちの土地のなかを通る線だけであれば、共有者同士が納得すれば設定できるかもしれません。しかし、土地の外周については、共有者だけで決められる話ではないのです。

なぜなら、土地の外周については「お隣さん」との間の線だということになるからです。そのため、外周のラインがどこになるかというのは、隣地の所有者に確認しなければなりません。このような確認や、実際の測量といった手間のかかる作業が含まれるため、そこまで大きくない土地であっても分筆する費用に何十万円、あるいはそれ以上の単位でのコストがかかるケースも決して珍しくないようになっています。

どうしても土地を切るのが難しいという場合は、もちろん別の方法もあります。第2の方法は、「価格」で賠償するというやり方です。不動産を持ち分に応じて物理的に切って分けるのではなく、持ち分に応じて値段をつけて、お金などで調整するのです。

この方法では、共有状態を解消するために、相手の持ち分を自分に渡してもらう、あるいは自分の持ち分を相手に譲る、ということが前提となります。とはいっても、無償であげてしまうわけにもいかないでしょうから、移動した持ち分に応じてそれなりの「価格」のやりとりをしてカタをつけましょう、という話です。

さきほどの兄弟の例でいうと、兄が弟から持ち分2分の1を譲り受け、晴れて兄だけの単独所有となる代わりに、弟には相応のお金などを渡すようなやり方ということになります。

さらに第3の方法としては、共有状態を解消するために、思い切って不動産を売却して、その「代金」を分割するというやり方があります。現物の不動産の形ではなく、お金などで調整するという意味では第2の方法と共通していますが、共有者の間で土地の持ち分をやりとりするのではなく、そもそも土地は売ってしまい、売却代金をみんなで分けるという話になります。

さきほどの兄弟の例でいうと、兄と弟が一緒に土地を売却し、その代金をそれぞれ持ち分に合わせて2分の1ずつ受け取るということです。

いずれの方法を取る場合も、どのようにして共有状態を解消するのか、共有者がそれぞれ何を取得するのかなど、具体的な内容を決めるにあたっては、まずは共有者全員で「共有物分割協議(きょうゆうぶつぶんかつきょうぎ)」という話し合いをすることになります。

話し合いがつけば、その内容に従って手続きを進めて行きますが、話し合いがととのわなかった場合には、裁判所を利用して、裁判による解決を求めることになるようなケースもあります。

そして、それぞれの方法について共通に注意すべき点なのが、税金の問題です。ひとくちに共有状態を解消するためといっても、それぞれ不動産や現金について何らかの形での移動が起こることに変わりはありません。不動産を譲渡したとなれば「譲渡所得税の問題が出てきますし、財産の移動にあたり価値として合理的ではないような動きがあったとみなされれば、「贈与税」の問題も生じてくるかもしれません。

そのほかにも、こうした不動産の共有状態を解消する手続きをとる際は、土地についての届出の変更や、通常の相続や売買などよりかなり複雑となる名義の変更など、当事者だけでは着手が難しい問題も少なくありません。相続後に「みんなで共有」となって簡単に動かすことができなくなり、いわゆる「塩漬け」となっている土地や建物を有効活用するためには、当事者と共に専門家も交えて方法を十分に検討したほうがよいといえるでしょう。
【日経WEB版2013/6/25 】

いかがでしたでしょうか・・・

上記の3つの方法を相続時に行っていたとしたならば・・・

一つ目の方法は、現物分割

二つ目の方法は、代償分割

三つ目の方法は、換価分轄

ということになるでしょうか・・・

相続時に、安易に共有で分割することなく、上記の3つのいずれかの方法で分割できていれば、相続後に改めて上記の3つのような対策をとる必要はないということになります。

やはり、生前においての遺産分割対策が重要ということでしょうか・・・

生前に、現物を分けて分割できるように分筆しておく、そして遺言で取得者を指名しておく。

または、取得者を指定してその代償分を支払えるように保険で用意しておく。

等々・・・

換価分轄にあっては、相続後に即、売却にかけて相続人間で分割すればよろしいかと思います。

相続人の中には、遺してくれた土地の売却に難色をしめす者も出てくるやもしれず、エンデイングノート等で売却して分割しても構わないなどと思いを遺しておくのも一つの方法かもしれません。

いずれにしましても・・・

相続前の準備、これが一番、重要なことでしょう。


本日は、『会社の借入金の個人保証』について、お話させていただきます。

会社の借入金については、経営者個人の所有する不動産等を担保として、個人保証をしているケ-スが少なくありません。
事業承継では、このような個人保証をどう対応するかがポイントとなってきます。
負の財産を相続させないために、個人保証は解消しておきたいものです。

ただし、金融機関は簡単には個人保証を外すことはありません。
個人保証が求められるのは、そもそも、会社だけでは債務の返済に対する信用が不足しているからです。
こうしたリスクをなくさなければ、金融機関としてはなかなか保証を解除できないのが実情となります。

事業承継により経営者が交代した場合、個人保証を引き継げるかどうにかも疑問が残ります。
事業の継続性に懸念がなければ、個人保証を後継者に切り替えるべきというのが行政の立場ですが、必ずしもそのとおりとなるとは限りません。

これらの個人保証の問題を解消するのには、会社の業績をあげて、個人保証の必要のない信用力を構築することが必要です。
このように、個人保証を必要としない経営状態を築いていくとともに、金融機関との連携を密にしながら、個人保証の解除を目指すことが、事業承継にとっても重要なこととなってきます。

本日は、『会社借入金の個人保証』について、お話させていただきました。

次回以降は、『相続に備えた不動産対策』について、お話させていただきます