今年の税制改正大綱が閣議決定され、いよいよ相続増税時代の幕開けとなってきます。

反面、孫への教育資金の非課税枠などの節税効果の得られる制度も新設されてきました。

相続税対策で欠かせないのは、やはり、効果的な生前贈与と土地評価でしょう・・・

そのなかで、今回の教育資金贈与の非課税は、注目のまととなっているでしょう。

その教育資金の贈与税の非課税に関する記事が日本経済新聞WEB版に掲載されていました。

制度の内容や注意点、考え方など、とても参考になるものばかりです。

その記事を原文のまま、ご紹介させていただきますので、参考にしてください。


4月からスタートした新制度により、子どもや孫に対し多額の教育資金を一括で贈与しても、非課税で済むケースが出てくるようになりました。しかし、制度の利用にあたっては、注意しておくべき点も少なくありません。今回新たに創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の制度は、もらう側の子どもや孫の1人あたりにつき、最大で1500万円を一気に渡しても、最初のタイミングでは税金がかからないという魅力のある制度です。せっかくの好機ですから、きちんと注意点を整理して把握しておき、できるだけうまく使えるのに越したことはないといえます。

まず最初に、基本的な仕組みの部分で押さえておきたい注意点があります。誤解をされている方が少なくないのですが、今回の新制度は、30歳未満の子や孫などに対して、単に「お金を出してあげるだけ」でよい、といったものではありません。たとえそのお金の使いみちが教育資金用という取り決めであったとしても、内輪だけで勝手に贈与をして終わり、ではダメなのです。

新制度を使って非課税の特典を受けるためには、前提として金融機関と「教育資金管理契約」を結び、その後の教育資金の管理を任せることが必要となります。つまり、信託銀行や銀行、証券会社などの所定の金融機関が関与していないと、そもそも新制度が適用される対象にはなりません。この他にも、制度を利用するためには一定の要件が設定されています。どんな条件を満たしておかないとならないのか、まずは制度自体の理解を深める必要があるといえるでしょう。

また、次の注意点ですが、これも非常に重要なポイントです。確かに、要件を満たして新制度をきちんと利用することができれば、お金を渡すという「入り口」の部分では税金の心配はありません。しかし、もらった側がその後どんなお金の使い方をして、どれくらいのお金が残るかという「出口」の状態によっては、そのままで終わらないケースも出てくることになります。贈与された子や孫の資金の使い方しだいで、最終的に残金に対して贈与税が課税されてしまう可能性はゼロではないということです。

今回の新制度は、最初にお金さえ渡してしまえば、そのままずっと「非課税」で、あとは何の心配もない、というものではありません。どちらかといえば「納税猶予」といった形に近く、もらった子や孫の側が30歳となるタイミングで、いったん精算を行う必要があります。その時点で、もしも教育資金として使えずに残ってしまったお金があれば、その分にはやはり贈与税がかかってしまうこともありえます。したがって、それを避けるために無理やり教育資金としてお金を使う羽目になりかねません。

この点に関しては、入学金や授業料などに充当して、贈与した分をしっかりと満額で使い切っていれば、税金がかかる心配はなくなることになります。ですから、最初に贈与する金額を決定するにあたっては、お金をもらう子や孫がどのような進路を進むのか、なるべく具体的に想定し、必要な金額をできるだけ明確にしておいたほうが望ましいといえるのではないでしょうか。

そして3つめの注意点ですが、これは税金や法律の話とはまったく異なる観点なので杞憂(きゆう)にすぎない面もあるものの、新制度にあえて難癖をつけようと思えば、次のような考え方もできるかもしれません。一括で贈与をすると、もしかしたら、もらう側の「ありがたみ」のような感覚が年々薄れていく危険性があるのではないか……。そのあたりの「演出」の仕方には、できるだけ気を付けた方がよいように思います。

もう少し詳しく説明してみましょう。例えば、幼稚園に通う孫に一度に1500万円の教育資金を贈与したとします。そのお金が役に立っているという実感を、長期間にわたって孫に持ち続けてもらうためには、それなりの工夫が必要になるだろう、ということです。これが、1年後や2年後といった直近の小学校の入学費用などに使うのであれば、贈与してからの年数もまだあまり経過していません。「あの時のお金を、ありがたく使わせてもらっている」という感覚が残っている可能性は十分にあるといえるでしょう。

しかし、高校や大学での話となると、それから10年、15年、という単位での時間が流れることになります。最初の一括贈与のインパクトがそのまま残っているかというと、それだけ時間がたったあとのタイミングだと、少し心もとない部分もあるのではないでしょうか。

これはもはや、当事者の心持ち次第ということになりますが、「教育費の心配を減らしてあげた」「負担を軽くしてもらってうれしかった」という、それぞれの原点での思いをしっかりと継続できることが大事になるように思います。その意味では、もらった教育資金を使う前後で、感謝の気持ちが表現できるような良好なコミュニケーションの取り方を模索していくことが欠かせないといえるかもしれません。

いずれにせよ、新しい制度はスタートしましたが、そもそも「教育資金」の中に、入学金や授業料以外では何がどこまで含まれるのか、という点も含めて、実際の細かい運用については、これから具体的な事例研究が進んでいくことになります。各家庭において制度を利用しようとする際には、メリットと注意点をよく検討し納得したうえで、平成27年末までの期限内に手続きが取れるように準備を進めていくべきだといえるでしょう。

さきほども書きましたが、新制度を利用するためには、信託銀行、銀行、証券会社などと契約をすることが必須となっています。ですから、これらの金融機関で開催されている説明会や相談会などの機会を積極的に生かして、情報収集をしておくことも大切になります。

また、教育資金として贈与する額をいくらぐらいに設定すれば妥当なのかという点については、人生の段階に応じた必要資金を試算するエキスパートである、ファイナンシャルプランナーFP)に相談することも手だと思います。私立、公立、習い事などのバランスをトータルで考えないと、たくさんの資金の贈与を受けたのはいいが、結局、予想以上の手残りによって贈与税がかかってしまう、なんていうことにもなりかねません。

そして、新制度を使ってどのような効果が得られるかということは、最終的には税金の問題と深くかかわってきます。やはり税理士ともよく相談してから進めていくことが、大きな失敗を避けるための重要な手当てとなるように思います。単なる教育資金の贈与だといっても、位置づけとしては資産承継プランの全体のなかで考えられるべきものです。相続税増税に対して有効な手段となる、生前贈与の戦略とも密接に関連してくるため、資産税に強い専門家の助言は欠かせないといえるでしょう。

今回の新制度を上手に使って、教育資金を一括で贈与する際には、こうした周辺領域の専門家たちのアドバイスを活用することがひとつのキーポイントになってくるように思います。適切な支援を受けながら、自分の家のケースではどのような効果が期待できるのか、しっかりと見極めつつスタートを切るのが好ましいといえるのではないでしょうか。
【日本経済新聞WEB版2013/4/16】

いかがでしたでしょうか・・・

もらう人の感謝の気持ちのあり方にまで触れられていて、とても、参考となりました。

これからの相続対策は、あらゆるところにアンテナをはって、有効な情報収集が欠かせない時代になってきたような気がします。

そんなときは、是非、ファイナンシャル・プランナーにお問い合わせください。

幅広い視点での、アドバイスをさせていただけるものと思っています。

相続対策には、民法や税法そして不動産の知識が欠かせません。

そして有効な対策手段として、生命保険の活用や土地活用が絡んできます。

ほぼ・・・個人の方の財産寄与に関する全てに近い知識が必要となってきます。

相続だけは・・・

相続に詳しい専門家に相談してください・・・

その結果に、大きな違いが生じることとなってくると思います。

くれぐれも・・・慎重に・・・相談先を選定してください・・・

それが、一番の相続対策かもしれません・・・



本日は、『賃貸借契約記載事項ポイント②』について、お話させていただきます。

1 造作買取請求権について

店舗の賃貸借では、賃借人が使用目的に沿った内装を行うことから、通常、全く内装を施さない、スケルトン貸しで引き渡されます。
事務所の場合いでも、基本的な内装工事に対して、賃借人が造作を加えることがあります。

賃借人は取り付けた造作を、賃貸借終了のときに賃貸人に時価で買い取るように請求ができます。
この請求できる権利を造作買取請求権といいます。
しかし、どのうようなものでも買い取れるというものではなく、法律上、その範囲を限定しています。
その範囲とは、建物を継続使用するにあたって客観的にみて役立つものとされています。
昔のれいでいえば、畳や建具などですが、現在では、縁側に取り付けた濡れ縁のようなものでしょう。
ここでは『客観的』という言葉がポイントとなります。
つまり、賃借人が主観的に価値を認めても一般的価値がないものは、該当しません。

造作買取請求権が問題となるのは、多くは店舗の場合です。
商品やブランドによっては、その内装や造作は個性が強く、次のテナントの方が前の内装をそのまま使うことは稀でしょう。
店舗の場合、スケルトン貸しが多いのは、このような事情の反映と考えられます。

造作買取請求権は、旧借家法では無条件に認められていましたが、借地借家法では、当事者間の取り決めで、賃貸人の買取義務を免除することができるようになりました。

以上、『賃貸借契約記載事項ポイント②』について、お話させていただきました。

次回は、『賃貸借契約記載事項ポイント③』について、お話させていただきます。