今日の読売新聞の一面には、『非嫡出子』の相続半分見直しに関する記事が掲載されていました。

結婚していない男女間の非嫡出子(婚外子)の相続分を、法律上の夫婦間の嫡出子の半分とする民法の規定が『法の下の平等』を定めた憲法に違反するかどうかが争われた2件の裁判で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は27日、審理を最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に会付した。大法廷が1995年に示した『合憲』の判断が見直される可能性がある。【読売新聞 2013年2月28日】

この大法廷で審理されるのは、東京都と和歌山県の嫡出子らが、それぞれ非嫡出子を相手取り、父親らの遺産分割を申し立てした2件の家事裁判です。

1.2審は、いずれも、この規定にそって非嫡出子の2分の1とする遺産分割を命じています。

この結果に対し、非嫡出側が『この規定は憲法違反であり無効』と主張し、相続分は嫡出子と平等とするように求めて特別抗告していたものです。

この非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1とする規定は、以前から『違憲』とする裁判官も多かったようです。

2010年に行われた裁判では、今回と同じように遺産分割の裁判が大法廷に回付され、合憲判断が見直される可能性もありましたが、裁判外で和解が成立したため、判断は示されずにいました。

最近では、地裁、高裁とも、『規定は違憲』とする判断が相次いで示されたようです。

法制審議会(法相の諮問機関)は96年、『規定を撤廃する』とした民法改正要綱を答申しました。

法務省が法案化を目指しましたが、改正要綱に夫婦別姓の導入などが盛り込まれていたこともあり、国会議員らの反対が強く、見送られたままとなっているようです。

婚外子は、事実婚やジングルマザーの増加により、出生件数に占める非嫡出子の割合は増加しているようです。

95年の非嫡出子の割合は1.2%でしたが、2011年には同2.2%となったようです。

相続権のある婚外子(いわゆる相続人)には、父の子供である場合は父の認知がないとなれません。

父の認知がないと、相続人としての権利は得られないこととなります。

母の子どもである場合は、自分のお腹から生まれてきた子供ですので、何らその事実に否定の余地は無く、当然にその認知は不要となります。

話は変わりますが、離婚した場合の前妻(前夫)との子供は、法律上の夫婦関の子供ですから、離婚という事実に関係なく嫡出子となります。

婚姻届の提出による法律上の夫婦であるか否か(あったか否か)で、その子供の権利が半分になってしまうわけです。

平等でないと言えば・・・

確かに平等でないような気がします。

旧民法の家督制度の様に家単位でものごとを考えると、非嫡出子と嫡出子の間に差をつけるというのは自然の流れだったのかもしれません。

今回の裁判での結果により、民法の改正に繋がっていくかもしれません。

どうのような、結果となるでしょうか・・・

また・・・平等であるか否かの論議も重要かと思いますが、相続は故人の遺志が一番に尊重されます。

遺言書の内容が、イの一番に効力を発するからです・・・

平等であるか否かは、遺留分の権利で大きな違いとはなってきますが・・・

やはり・・・遺言書を遺しておく・・・自分の遺志を明確にしておく・・・

それが、もめない円滑、かつ・・・円満な相続に繋がっていくものと思います。


本日は、『自筆証書遺言』の続きについてお話させていただきます。

1 氏名についての注意点

自分の氏名も必ず自署する必要があります。自署ではなく記名印を押した場合の遺言は無効となります。
氏名は、戸籍上の氏名を記載することとなります。しかし、全く、一字一句同じでなくても問題ありません。
たとえば、『廣』を『広』と書いても有効となります。
また、同一性が分かれば名前だけでも、例えば、『父達也』でも無効とはなりませんが、きちんと『荒木達也』と性も書いてください。
遺言者本人の同一性が十分わかれば通称・芸名・雅号でもよいのですが、遺言者の効力が生じるのは遺言者の死亡後となりますので、雅号・芸名を書く場合でも、雅号・芸名と併せて遺言者の本名を遺言書の中に記載し明らかにしておいた方がよろしいでしょう。

以上、『自筆証書遺言』の氏名の書き方の注意点をお話させていただきました。

次回も、『自筆証書遺言』の注意点について、お話させていただきます。