今日の読売新聞に、税金に関する記事がいくつか掲載されていました。

その一つは、消費増税や社会保障に関する記事でした。

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の2013年度予算に向けた意見書の原案に、高齢化で増え続ける社会保障費の財源に対し、『広く公平に負担を分かち合う消費税収に求めることが合理的で、更なる消費税率の引き上げは不可避である』として、消費税率は将来的には10%超に引き上げることが必要・・との考えが示されていたというものでした。

また、財政健全化策として社会保障の改革を促しており、具体的には、70~74歳の高齢者が医療期間の窓口で払う自己負担を1割に据え置いている特例措置について、13年度中に、本来の2割負担に戻すことを強く主張しているようです。

年金についても、『マクロ経済スライド』の仕組みの見直しの必要性を唱え、高齢者に対する年金支給の減額を早急に検討すべきとしたほかにも、生活保護費の見直しも求めているようです。

そのほかには・・・

富裕層が対象となる所得税最高税率45%、相続税最高税率55%にあげる案が軸になる見通しとなったようです。

所得税最高税率の適用される所得区分は、自公民3党間で調整中のもようです。

相続税の最高税率は、東京などの大都市部の反発が強く、詳細は詰まっていない状態のようです。

相続税に関しては基礎控除額が減額される案が話題となり続けていましたが、今年に入って、何も聞かれなくなってきました。

はたして、今年の税制改正大綱では、どのうようなこととなるでしょうか・・・

さらに、その他として・・・

納税者側にとって有利となる・・・

住宅給付金が2014年から5年間『年収600万円以下』を対象に実施される方向で最終調整に入ったようです。

経営者の優遇策として・・・

政府・与党は、中小企業の事業承継の優遇措置を先代経営者の親族以外が後継者となる場合も適用の対象とする優遇制度の拡大をすることで合意したようです。

ここにきて・・・

消費増税・・・社会保障の負担増・・・の、全容が見え始めてきました。

反して・・・消費増税後に配慮した住宅給付金なども盛り込まれそうです・・・

これらの家計に与える負担がどれほどになってくるのでしょうか・・・

さらには、円安で輸出関連企業が潤い始めたのとは対照に、ガソリンの値上がりが始まっています。

円安もいまのところは、家計を脅かすまでの効果となっているようです。

こんなときこそ・・・

将来を見据えて、子供の教育、住宅取得、老後の生活、介護、相続を考えたライフプランを、よくよく、考えることこそが重要と感じます。

いまこそ・・・

FPの真価が問われるときかもしれません・・・



本日は、『相続財産の範囲と評価⑥』について、お話させていただきます。

1.遺産からの収益

遺産から収益があがった場合、その収益が相続財産となるか否か、すなわち、その収益の分割は遺産分割手続によるのか共有物分割手続によるかが、問題となります。これについては、つぎの3点があります。

①積極説

相続人は、相続財産を管理しなければなりません。

この管理行為によって遺産分割時までに取得した収益(不動産賃貸料から管理費用を差し引いたもの等)は、相続開始当時に存在していた相続財産ではないが、遺産より産出されたものです。

遺産の包括的な性格、民法909条の趣旨によりして、これのみを分離して共有分割の方法によらしめるのは適当でなく、むしろ、一般の遺産とともに、遺産分割の審判の対象になるものと解すべきとしています。

②消極説

相続開始後、相手方が取得した相続財産である農地の小作料、自作収益、宅地の占有利益が相続財産に属しないことは、これらの収益がいずれも相続開始後生じたものであることから明らかです。

相続財産は分割に至るまで相続人の共有に属することから、これら相続財産からの収益も相続人の共有であると解されますが、しかし、あくまで相続財産とは別個の共有財産です。

③折衷説

相続開始後、相続財産から生じた果実は、相続財産とは別個の共有財産であり、その分割、清算は、原則的には、訴訟手続によるべきものですが、相続財産と同時に分割することによって権利の実現が簡便に得られるなどの合意性を考慮すると、当事者間に合意がある場合には、上記果実を相続財産と一括して遺産分割の対象とすることができると解すべきのようです。

この見解は、原則消極的に立ちながら、積極説の遺産の包括的把握、共同相続人間の平等・公平・紛争の全面的一回的解決という視点をも考慮したうえで、相続人の合意のもとに、遺産分割手続でもその分割ができるとします。その後、この見解が裁判所の主流を占めるに至りました。

以上、『相続財産の範囲と評価⑥』について、お話させていただきました。

次回は、『相続財産の範囲と評価⑦』について、お話させていただきます。