昨日、内閣府は10月の景気動向指数速報で、景気の基調判断を『悪化』に下方修正しました。

エコノミストの間では、年明けから回復に向かっても、力強さに欠ける展開が続くとの声が多いようです。

10月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が7カ月連続で低下し、海外経済の減速から輸出が落ち込み。生産活動が停滞している現状を改めて、浮きだしたものとなっています。

中国経済は、金融緩和や景気刺激策の効果で底入れの兆しが出ているようです。

このような海外経済の持ち直しに伴って輸出が少しずつ回復するとの期待感から、2013年には景気が緩やかに回復するであろうとの見方が多いようです。

また13年の後半には、翌14年4月の消費増税をにらんで、住宅や自動車などの高価な商品の購入を済ませる『駆け込み需要』が発生して、一時的に景気は底上げされそうです。

輸出頼みの景気回復の不安要素として、世界経済の牽引役たる中国・インドなどの急成長に陰りがみえてきたこと、欧州の財政・金融危機も、あいかわらず、くすぶり続けていて、ギリシャの債務削減やスペイン支援などの先送りしている問題があるといわれています。

景気を下支えするため、各党からは大型の経済対策を求める声が出ているようです。

自民党は防災などの『国土強靭化』、公明党は『10兆円規模の補正予算』、民主党は『本格的な補正予算を急ぐべし』等々・・・

今後は、景気低迷が鮮明になってくることにより、さらなる対策を求める声が強まるであろうと見られています。

【平成24年12月8日 読売新聞より】

今回の『悪化』はリーマンショック以来のようです。

新政権では、どんな景気対策を、うってくれるのでしょうか・・・・

金融緩和による円高やデフレ対策等々・・・・

来年の年末は『悪化』という評価にならないことを、願うばかりです。


さて、本日は『贈与税②』についてお話させていただきます。

1・みなし贈与財産
 
税法は、贈与税の課税対象を単なる民法の定める贈与に限定していません。相続税の補完税としての任務を果たすには、民法上の贈与という狭い枠に止まっていられなのです。したがって民法上の贈与以外の実質的な贈与を、贈与とみなして課税対象としたわけです。以下の『みなし贈与財産』がそれです。

(1)定額譲受け
 
著しく低い価格の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価との差額が贈与されたものとみなして贈与税が課されます。極めて当然のことといえましょう。なおこの『著しく低い』かどうかは、社会通念に従い判断されますが、やはり親族間ではシビアにみられるものと思われます。
 
ここで問題となるのは、贈与税計算のベースとなる『時価』とは何かです。税法においては、いろいろなケースで時価(価格も同義語)という用語が出てきますが、その意味するところは微妙に違うのです。
 
相続・贈与税の場合には、時価は2通りの意味があります。一つは建前としての評価、すなわち相続税評価額。もう一つは、本当の時価(自由な経済取引の下で成立する取引価格)です。相続税評価額は、本当の時価よりやや堅め(低め)に評価されています。
 
さて、ここは大切かつまぎらわしいところですから、事例で説明させていただきます。父親が時価(公示価格ベース)1,000万円、相続税評価額800万円(公示の8割水準)の更地を、息子に600万円という著しく低い対価で譲渡したというケースの場合です。
 
この場合に贈与とみなされる金額は、1,000万円との差額の400万円か、800万円との差額の200万円か、という話です。結論は400万円です。要するに低額譲受けの場合の時価は、本当の時価を基準とするのです。
 
ただし、父親がこの土地を息子に贈与(対価はゼロ)した場合には、原則どおり相続評価額である800万円が課税対象となります。つまり、一部でも対価を払う(すなわち低額譲受け)と、基準が本当の時価になってしまうのです。
 
ところで、実務上最も問題となるのは、『時価がいくらなのか』という点です。事実不動産の時価は、たとえて言うならストライクゾーンのように一定の幅があるものなのです。公示価格にしても、その幅の中のひとつの数値にすぎません。
 
まず、言える事は、路線価評価額(諸調整率適用後)を0.8で割り戻した額が一つの基準となることです。『公示価格が時価であることと、路線価は公示価格の8割水準にあること』が一つの基準となっています。

しかし、この『路線価÷0.8』では実勢相場にそぐわないと思われる様な場合には、安易に当事者間で価格を決めずに不動産鑑定士や税理士等の専門の方に相談された方がよろしいかと思います。

(2)債務免除
 
債務の免除や、第三者のためにする債務の弁済等により利益を受けた場合は、これらの利益に相当する贈与があったものとみなして、贈与税が課されます。これも当然の規定といえましょう。
 
また、連帯債務者が自己の負担すべき債務の部分を超えて弁済し、かつそれによって得た他の連帯債務者に対する求償権を放棄した場合には、贈与があったものとみなされます。保証人が保証債務を履行したうえで、主たる債務者に対する求償権を放棄した場合も同様です。
 
ただし、これらの場合においても、その債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難であるときは、その困難とされる部分に対しては贈与税は課されません。また、資力を喪失した債務者の扶養義務者がその債務の引受けや弁済を行った場合にも贈与税は課されない(逆に一般の人が債務引受けを行うと課税対象となる)こととされています。

以上、『贈与税②について』をお話させていただきました。

次回は『贈与税③について』をお話させていただきます。