今月12日(水)にニッセイマンスリーセミナーが開催されます。

テーマは『2013年の日本経済を先読みする』となっています。
消費増税による経済影響、世界経済の動向、財政再建の道筋などのお話をされると紹介されていました。
講師はニッセイ基礎研究所の経済調査部門の方が担当されるようです。

是非、聞きにいきたいとスケジュール調整を試みたのですが、どうしてもお客様のアポイントを入れざるを得ず、セミナーの参加はあきらめてレジメの送付を依頼しました。

消費増税の影響がとても気になっていますので、消費増税に関連する影響について、専門家の方の意見を聞いてみたかったので、とても残念に思っています。

消費増税の影響については、今年の9月に、日本FP協会茨城支部のフォーラムで、『増税時代に備えた防衛策』というテーマで80分のミニセミナーの講師をさせていただいたこともあり、興味津々です。

9月のセミナーでは、消費増税による家計の影響に触れさせていただきました。

日経マネーの特集を参考にレジメをまとめさせていただきましたが、その大元となる資料は、大和総研さんの『社会保障・税一体改革による家計の影響資産』というレポートでした。

当然ながら、そのレポートも大いに参考にさせていただきました。

そのレポートには、消費増税他の影響による世帯類型(①40歳以上方働き4人世帯、②40歳以上共働き世帯、③40歳以上単身世帯、④75歳以上夫婦世帯、⑤75歳以上単身女性世帯の5類型)ごとの、実質可処分所得の増減を表したのものです。

増税他により、実質の生活の使えるお金は減ってきますので、それがいくら位減ってくるのか、またそれは何が原因(消費税なのか厚生年金保険料なのか復興増税なのか等々)でいくら位ずつなのかも、明記されています。

ご興味のあるかたは大和総研さんのHPで、ご覧いただけますので、是非、ご参考にしてみてください。

さて、本日は、『金融資産の評価②』についてお話させていただきます。

(1)上場株式
上場株式は、日々その株価が公表されているため、その株価を評価のベースとします。しかし一般に株価はかなり変動するもので、課税時期の株価だけでは、評価額が市場の特殊要因等により左右されかねません。

そこで上場株式は、以下の4種の株価のうち最も低いものにより評価することとし、ある程度の期間を通じた取引価格も考慮することとしています。
・課税時期当日の終わり値(当日が休日の場合には、当日に最も近い日の終わり値)
・課税時期の属する月の終わり値の平均値
・課税時期の 前月 の終わり値の平均値
・課税時期の前々月 の終わり値の平均値
なお、各月の終わり値の平均の株価の資料は、各税務署に備えつけてあり(路線価と同じ場所)、実務的にはこれを見て評価します。
 
ところで、上場株式を保有している場合には、その多くが配当金を受け取っています。課税時期においてこれらの配当金をすべて受け取っていれば問題ないのですが、そうでない場合には、配当期待権や未収配当としての評価を行うことがあります。
 
たとえば、3月決算のA社の株式の配当金10万円(手取りは8万円)を受け取る権利があったとしましょう。A社は3月末現在の株主宛の配当交付の決定は6月下旬の株主総会で行います。この3ヶ月弱の期間における株主の権利を配当期待権というわけです。
6月下旬の株主総会により正式に10万円の配当金交付が決定されても、実際に株主に交付されるのは数週間後です。この間の株主は、未収配当金としての評価を受けるわけです。なおこの場合評価額は、配当期待権・未収配当金とも、手取り金額の8万円となります。
 
ところで、株式には上場株式の他、取引相場のない株式(いわゆる自社株式)があります。この自社株式の評価(事業承継税制)は、かなり複雑ですので、税理士等の専門の方にご相談いただく事をお奨めします。

(2)その他の金融資産
 
①ゴルフの会員権
ゴルフの会員権の評価についてはいろいろ規定されていますが、要するに、『取引相場×70%』で評価されています。
とはいえ、ゴルフの会員権の取引相場については、今日かなり厳しい状況になっているものも少なくありません。これらに関しては、評価の基本『客観的な価値』に立ち返って、臨機応変に対処することとなりましょう。
 
②貸付金
貸付債権は、一般にその元本と課税時期までの既経過利子相当額との合計額で評価します。
しかし通常貸付が行われる背景には、いろいろな事情がある場合が少なくありません。そもそも、先方に返す気があるのかどうか、返す気があるとしても本当に返してくれるのかどうか、さらには返す資力があるのかどうか。むろん相手によってはビジネスライクに『返してくれ』と言えない場合もあります。

しかし税法は、その辺のところはおかまいなしに、相続財産に加算してきます。回収不能として評価する必要なしとされるケースも、相手方に破産宣告があった場合や業績不振等により事業廃止や6か月以上休業している場合等、極めて限定的な取り扱いとなっています。

やはり、相続間近となった場合は、これらの貸付金債権は整理(放棄、回収等)しておくべきといえましょう。
 
③出資
一般の有限会社、合名会社、合資会社等への出資は、取引相場のない株式(自社株式)の評価方法を準用します。
しかし、農業協同組合や漁業協同組合等のように、組合員に対するサービス的業務を行う一般的な産業団体に対する出資は、原則として払込済みの出資額によって評価します。信用金庫や信用組合に対する出資も同様です。
 
以上、『金融資産の評価②』についてお話させていただきました。

次回は、『贈与税①』についてお話させていただきます。