今日の日経WEB版に医療保険で保険料が戻ってくる商品について、保険コンサルタント後田亨さんのコメントの記事が掲載されていました。

保険料が戻ってくるにあたって、損な条件が付されているようです。

保険の仕組みは、なかなか理解できないものです。

非常に参考となる記事でしたので、原文のまま紹介させていただきます。

「あなたの人生に使わなかった保険料が戻ってくる」とうたっている医療保険があります。東京海上日動あんしん生命保険の「メディカルキットR」という保険で、売れ行きも好調のようです。ただ私にとっては「どこが良いのかさっぱり分からない保険」です。同社がホームページで列挙している特長は次のような内容です。なぜ私がお薦めできないのか、それぞれ理由を挙げていきます。

(1)入院給付金などの受け取りがない場合、70歳までに払い込んだ保険料が「健康還付給付金」として全額戻ってきます
(2)入院給付金などの受け取りがあった場合でも、70歳までに払い込んだ保険料が受取額を上回る場合は、差額が「健康還付給付金」として戻ってきます
(3)入院する確率が高まる時期に、加入時のお手ごろな保険料のまま医療保障を継続することができます

まず(1)は「お金が1円も増えない」点が重要です。ホームページには30歳男性の加入例が出ていますが、もし皆さんが「70歳まで40年間、毎月定額を払い込んでもらいます。ただし利息はゼロです」と金融機関から勧誘されたらどう判断するか想像してみてください。

例えば、財務省のホームページで40年利付国債の入札結果を見ると、表面利率年2.0%となっています(発行日2月15日)。保険会社がお客様から1億円集めてこの国債を買うと毎年200万円、40年間では8000万円の利息を受け取ることができるわけです。

ところが、お客様のお金には40年間まったく利息が付きません。しかも、途中で払い込みをやめた場合、返金されるお金は常に払ったお金の総額を下回ることになっています。

例えば10年後では6割近く、20年後でも4割近くお金が減ってしまいます。この保険は50歳まで加入できるので、最短でも20年間、中途解約リスクを背負うことになります。ずいぶんな条件だと感じます。

また、(2)も人をバカにしていると感じます。30歳男性の加入例では70歳までの保険料(月額2880円)総額は約138万円ですが、仮に70歳までに入院給付金などの支払いが20万円発生した場合、138万円が払い戻されるのではなく、20万円を差し引いて118万円返金されるのです。

ということは「70歳までの医療保障は加入者が自腹を切る(!)」ことになるわけです。「差額が戻ってきます」という表記は、あまりにもずうずうしいでしょう。

結局、(1)(2)の条件を飲んで、手に入るのは(3)の70歳以降の医療保障を相対的に安い料金で確保できる権利だけです。確かに70歳から新規加入すると7000円かかるところが、この商品では2880円のまま継続できます。しかし、新規加入と比較すべきでしょうか?

私は、70歳で無事に138万円の払い戻しを受けた時点で、日額5000円の入院給付金がある医療保険に執着しなくてもいいと考えます。既に276日分の給付金に相当する現金が手元にあるのです。その後も年間3万5000円弱の保険料を払い続けることはないはずです。

また、比較対象になっている7000円の保険料自体、価格設定が妥当なのか検証する方法がないことも忘れてはいけません。

それに、30歳の人にとって40年後以降の入院給付金5000円の価値が今と同じでしょうか? 仮に40歳で加入する場合を考えても「そもそも30年先の入院保障を買うべきだろうか?」という素朴な疑問が残ります。

遠い将来の保障を買うことについては、老後の安心を買うという見方がある一方で、「価値の評価が難しい買い物をするリスクを伴う」という視点も必要でしょう。

前回2月22日付でも「ボーナス付き保険、『お得感』に疑問を持とう」を取り上げました。私は仕事柄、「戻ってくるお金」に反応する消費者が多いことは実感していますが、このような「顧客を損な条件で縛る」工夫が感じられる商品は歓迎できません。
【日本経済新聞WEB版2013/3/1 7:00】

いかがでしたでしょうか・・・

医療保険は掛け捨てというイメージがありましたので、保険料が戻ってくるというのは魅力を感じるものだと思います。

保険料が戻ってくるのには、戻せるだけの仕組みがあるのだと思います。

生命保険会社も損することはできませんので、どこかで辻褄をあわせた商品開発を行っているでしょう。

表面的なお得感ではなく、その商品ごとの実質的な価値を適正に見抜くことが重要かも知れません。

保険商品も、各社それぞれに、特色を持たせながら販売しています。

その比較は、容易なことではありません。

一般の方ですと一つの保険で5社の商品を比較するだけで、アップアップの状況となるでしょう。

ライフプランから・・・適切な保険を選ぶべきでしょう・・・

教育資金や住宅取得、老後の必要資金までの計画をたてながら、さらには親の相続までを見据えて、自分にあった保険を選ぶことをお奨めします。

親御さんの相続まで、見据えてというのは、親御さんの自宅を相続する代わりに他の兄弟にそれに見合った現金を代償分割するというときに、保険の活用も考えられるからです。

たかが、保険・・・されど保険・・・

保険選びや住宅取得はくれぐれも、計画的にかつ慎重に・・・行ってください。

特に住宅取得については、消費増税の駆け込み営業に翻弄されないようにしてください。

消費増税前に購入すること自体は、悪い選択ではありませんが・・・

購入の時期に適しているか・・・もう少し自己資金をためてからの方が無難では・・・というケースも少なくありません。

住宅の営業は、契約を頂くのが仕事であって、購入者のその後の暮らしを心配するのは仕事ではありません。

いかにして、住宅ローンを組めるか・・が・・・ポイントとなる世界です。

くれぐれも・・・慎重に・・・でも、慎重になりすぎないように検討してみてください。


本日は、『自筆証書遺言④』について、お話させていただきます。

1 自筆証書遺言の印について

印鑑登録をした実印に拘りません。
三文判でOKです。さらには拇印(指印)でもかまいません。(最高裁平成元年二月一六日判決)
しかし、三文判は誰でも手に入れてしまえることから、偽造した遺言書と疑われ紛争に発展する危険があること、また拇印は不鮮明であることからホ人の拇印であるのか否かを判断するのが困難であることから、おすすめできません。
そのことから、やはり、実印か銀行取引用の印を押印することがよろしいでしょう。

2 封筒について
遺言書を作成して封筒に封入し封印することは必要要件とはなっておりません。
ただし、簡単に人に見られないように封印される方が大多数です。
また、封印しておけば、遺言者死亡後に遺言書を発見した場合、相続人が家庭裁判所に遺言書を持参し、開封する手続き(検認)をとることとなります。

以上、『自筆証書遺言』の注意点についてお話させて頂きました。

次回は、自筆証書遺言の訂正の注意点についてお話させていただきます。