昨日、明治生命さん主催の税制改正のセミナーを受講してきました。

相続税に非常に詳しい税理士の方が講師でしたので、大変、参考になりました。

生保会社主催のセミナーということもあり、相続・贈与税に関する内容が中心となっているセミナーでした。

やはり、相続税の基礎控除額の減額が、税制改正の中では、もっとも影響を及ぼし、かつ、注意の必要な項目であるようです。

基礎控除額の減額については、今更ですが、おさらいしておくと、現行の控除額の60%に減額されることとなります。

例えば、ご主人が亡くなられて、相続人が奥さんに子ども2人の計3人であった場合、現行の基礎控除額は、5000万円+1000万円×3人=8000万円が、改姓後にはこの60%の4800万円となります。

この3200万円相当の減額は、東京都内や東京近郊で、戸建て住宅に住んでいる一般の会社員等のかたも、相続税納税者の対象となりうることとなることでしょう。

ここで、重要なのは、小規模宅地等の特例の適用です。

この特例は、被相続人の居住の用に供されている宅地は、現行240㎡まで相続税評価額の80%まで減額できるものというものです。

その宅地が、被相続人の事業の用に供している場合は、400㎡まで相続税評価額の80%まで減額できます。

その事業が、アパート経営のような不動産賃貸については、200㎡まで50%までが減額できます。

ここで、一般の会社員等のかたにとって、注意していただきたいのは、居住用の小規模宅地等の特例です。

この特例の適用は、配偶者がその宅地を取得すれば適用要件の制限はありません。

ただし、子供の場合は、原則、その家に住んでいたこと(すなわち、同居してること)、かつ、申告期限まで引き続き、住んでいることが、その適用を受けるための要件となります。(同居していなくても、その宅地を取得した子供が、相続開始前3年間持ち家を所有していなければ適用を受けられる場合があります。)

すなわち、お母さまの第2次相続の時に、居住用の小規模宅地等の特例が使えるか否かで、相続税がかかってくるのか、ものすごく圧縮できるのか、の分かれ道となってきます。

この税制改正により、大多数のかたは、ライフプランを考えるうえで、親御さんの相続も
意識して考えなければならないでしょう。

実家を継承する長男が自分の家を所有している場合、お母さまが高齢になって、第2次相続を意識する頃となった場合、例えば長男お一人で、お母さまと同居する。

または、勤務先の関係で同居できないときは、第2次相続に備えて持ち家を賃貸に出して、自分たちは貸家に引っ越すなどの対応も考えられます。この場合は、相続が始まる前に貸家住まいの期間は、3年間必要となりますので注意が必要です。


相続が発生した日の翌日から10月を経過する日が・・・相続税の申告期限となります。

小規模宅地の特例や、配偶者の税額軽減などの減額措置の特例は、遺産分割協議が完了していることが、前提条件となります。

相続人間で、遺産分割の話し合いが決まらなければ、特例を使えば相続税はかからないのに、多額の相続税を納めなければならないということも起こりかねません。(ただし、申告期限後3年以内に遺産分割協議がまとまればこの特例は使えることとなりますので、更正の請求により、還付を受けられることとなります。)

これからは、戸建て住宅と金融資産位しかないので、遺言書も不要と軽くかんがえていた場合でも、やはり、遺言書は準備しておいた方がよさそうです。

また、特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を提出することが必要となりますので、たとえ、特例の適用により相続税が0円になったとしても、相続税の申告の手配は、必ず、行ってください。

まだまだ、税制改正についてお話したいことは、まだまだ、たくさんありますが、今日は、小規模宅地等の特例までのお話とさせていただきます。

また、次回以降、折をみて税制改正にまつわるお話をさせていただきます。



今回は前回に引き続き『どのようなことが遺言出来ますか』について、お話させていただきいます。

1 法に定められている遺言等以外の遺言はどうなるのか

法は法的効力を認める遺言事項を前回の十二種類に限定しています。

そこで、『お母さんを大事にして兄弟仲良く暮らせ』とか、『葬儀に際しては花輪、献花は返上し、質素なものに』、とか『勤勉節約に努力し、富める兄弟は貧しき兄弟を援助するように』などの教訓、道徳、家訓的教示には法律的拘束力は認められません。

しかし、右のような遺言を遺言書に書いてはいけないというものではありません。法律上は無視されるというだけで、道義上は尊重されるのが通常です。

2 臓器の提供の遺言、尊厳死の遺言

『臓器の移植に関する法律』六条と『医学及び歯学の教育のための献体に関する法律』四条は、いずれも本人の書面による承諾がある場合は、遺族の反対がない限り、臓器の摘出、政情解剖ができると定めています。遺言でこれらの承諾の意思表示をすることは意味のあることです。

また、延命治療を拒否する『尊厳死の宣言書(リヴィング・ウィル)』がアメリカで普及し、日本でも登録が始まっています。患者の自己決定権と関連し論議の多いところですが、現在までのところわが国では特別な法的効力は認められていません。

以上、『どのようなことを遺言できますか』について、お話させていただきました。