大和ハウス工業の8日発表による2012年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比62%増の514億円となったようです。

これは、相続対策を考えた賃貸住宅の建設が大都市圏で好調であったことと、コンビニエンスストアなどの商業施設や介護施設の建設案件が全国で増加したことからのようです。

また・・・前年同期に繰り延べ税金資産を取り崩していた反動も出てきたようです。

このような結果として、増益幅が大きくなってきたようです。

なお、売上高は8%増の1兆4259億円、営業利益は1%増の887億円となったようです。

特徴としては、防犯配慮型の女性向けの賃貸住宅の販売が増えたようです。

また、都市圏のマンション販売が好調だったほか、管理事業も伸びているようです。

その結果、設計部門や工場の人員を増やしたことによる人件費の増加を補えた結果となったようです。

但し、主力の戸建て住宅事業は、ほぼ前期並みにとどまったようです。

省エネ意識の高まりを背景に太陽電池などを搭載する環境配慮型住宅の販売は伸びたようです。

「消費増税に伴う駆け込み需要が出るのは、今年秋くらいから」と同社はみているようです。

ここにきて、相続税の基礎控除額の減額などの相続増税路線に備えた相続対策が活発化してきているのでしょうか・・・

従来、相続人が3人いた場合の基礎控除額は8000万円でしたが、税制改正が施行されれば4800万円となり、実に、3200万円もの基礎控除額が減額となります。

空き地があれば、貸家住宅を建てて土地の評価を貸家建付地評価として概ね20%の評価減を行う。

賃貸住宅の建設資金を借入し、その借入額と賃貸住宅の固定資産税評価額との差、約40~50%の評価減効果を狙う・・・

オーソドックスな不動産の評価減を狙った相続対策です。

問題は・・・賃貸事業リスクです・・・

これから・・・人口は減少していきます。

そして、さらなる高齢化社会になっていきます。

ファミリータイプの一般的な貸家は、供給過剰となってくるでしょう。

築10年までの新しい貸家に入居が集中し、古家はスラム化していく・・・

そんな状況が予想されます。

駅から徒歩5分から10分、近所にはコンビニ、スーパー、薬局、病院、等々が徒歩圏内に存在している等は、一般的に競争力の強い賃貸住宅となるでしょう。

または、大学のそば、日当たりがいい、人通りが多い、交番が近いなどは、女子学生向けに競争力の強い賃貸物件となるでしょう。

10年先を見越して・・・15年先、20年先、30年先の賃貸状況は、どう変遷していくかを考慮して賃貸住宅の建築に踏み切るべきと思います。

が、将来のことは・・・神のみぞ知る・・・

なかなか、その判断は難しいものです。

とにかく、賃貸住宅を建てた場合、借入の返済が完了するまでは手許に残った賃料は手つかずにストックしておくことを、お奨めします。

ある程度の金額がストックされたら、借入を内入れ返済していく。

なるべく、借入を早く完済してしまうことが重要と考えます。

借入がとにもかくにも、無くなってしまえば、あとは多少は気が楽になります。

ここで、注意することは、相続対策のための借入ですから、相続が発生するまでは、内入れ等をすると相続税評価減の効果がでなくなりますし、また、賃料をストックしておけば相続財産として相続税の対象となってしまいます。

では、いっそのこと、使ってしまうか・・・

これも、本末転倒です。

この場合は、やはり、生前贈与して相続人に納税資金としてストックさせておくべきと考えます。

このときに、使い勝手がいいのは、やはり、終身の生命保険でしょうか・・・

相続が発生しそうな時期を予測して、終身保険の払い済み期間を設定して、その保険料を生前贈与していく方法が、よいのではと感じます。

その使い方は、次の『相続のことが分かるいいお話』のなかでお話させていただきます。

いずれにしても、ただ、賃貸住宅を建築して相続対策と漠然と構えるのではなく、納税資金や、その手許に残った賃料をどのようにストックしていくか・・・

場合によっては、法人を設立する・・・等々・・・

いろいろな事を予想して・・・考えて・・・時には専門家に助言を求めて・・・

とにかく、考えうる空室リスクや金利変動リスク、納税資金、相続税の減額効果などを、視野に入れて、最終的な判断をして頂ける事を・・・お奨めします。


今日は、相続対策と生命保険の活用の続きについてお話させていただきます。

そもそも、生命保険とは人の亡くなったときに備えて入るものですから生命保険と相続は関連が深いものとなります。

一家の大黒柱が働き盛りで倒れてしまった、寝たきりになってしまった。高度障害になってしまった。最悪、亡くなってしまった。

この様な時に、生命保険に加入していれば、当面の生活は凌げることとなります。

一般的なライフプラン上での生命保険であれば、子供の独立までの教育費、生活費と奥さんの老後の必要資金をシミュレーションして必要保証額を見直しをしながら継続加入していくこととなります。

ポイントは子どもの小さい内は保証額を厚く大きくなるにつれ保証額を調整していく。

終身部分と定期部分の組み合わせを保険料の兼ね合いで考えていくのが一般的です。

相続税の納税に備えて生命保険の加入を考える場合、一生涯保証が続く終身保険への加入が基本となります。

また、一次相続(一般的にご主人が早く亡くなるのでご主人の相続)と比べて二次相続は配偶者の相続税額の軽減の適用がなく税負担が重くなりますから二次相続まで考えた対策が重要となります。

なお、生命保険のメリットとして被相続人が保険料を支払っていた場合は、死亡保険金に非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり現金を保険料に転嫁することにより、課税後の手取額、すなわち可処分金額が増えることとなります。

また、相続人を契約者(保険料負担者)として(相続人に保険料の負担能力の無い時は、保険料は被相続人から相続人に現金贈与をして相続人から支払う。)死亡保険金を受領した時の課税を相続税ではなく、所得税の一時所得(所得金額=【死亡保険金―正味払込保険料―50万円】×1/2)とする生命保険金の加入も納税資金として有効な対策となります。

この場合、保険料支払者は相続人ですので被相続人の所得税の計算上、その生命保険契約に関わる生命保険料控除は被相続人の適用となりませんので注意が必要です。

また、保険料の現金贈与における贈与税の負担(年110万円までは非課税)を考慮しておく必要があります。

以上、相続対策と生命保険の活用についてお話させて頂きました。

次回は、事業承継と生命保険の活用についてお話させていただきます。