昨日、4日に、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を結婚した夫婦の子の半分とした民法の規定が、『法の下の平等』を保障した憲法14条に違反するかが争われた裁判で、最高裁大法廷は『違憲・無効』の初判断を示しました。

ただし、過去に解決済みの相続にについては、今回の判断は適用されないとしたようです。

この決定を受けて、政府は規定を削除する民法改正案を秋の臨時国会にも提出する方針のようです。

大法廷が法律の規定を違憲とするのは戦後9例目のようです。

そして、民法では初めてのことのようです。

1995年の大法廷決定で『法律婚の尊重と、婚外子の保護の目的があり、著しく不合理とは言えない』としてこの規定を合憲としていました。

今回の決定は、婚外子の出生数が増え、家族形態も多様化し、国民の意識も変化してきたこも要因の一つのようです。

また、今回の決定により『立法府の裁量権を考慮しても、相続格差に合理的な理由がなければ違憲になる』との判断基準を示したようです。

欧米諸国にこのような格差規定を設けている国はなく、国連などから再三、格差是正を勧告されてきた経緯もあったようです。

なお、今回の違憲判断は、既に解決済みの相続には影響を及ぼさないとしています。

すでに解決した遺産相続についても今回の違憲判断を適用すると、婚外子側が相次いで遺産分割のやり直しを求めるなどの大きな混乱が予想されることから、解決済みの相続には適用されないと明確に示したようです。

ついに、結果がでました。

これまでは、合憲であるという判断が維持されていましたが、最後には違憲であるとの判断となりました。


『法の下の平等』の判断は理解できる半面、なくなった夫の相続財産形成に妻である配偶者がどれだけ寄与してきたかを考えるとその配偶者の子どもとその配偶者の子どもでない相続人が平等に財産を取得できる権利となるのは、いささか附に落ちない気もします。

例えば、自営業で、夫婦で切りもりして、夜もまともに寝ずに、子どもをかまってやることもできずに働きずめに働いて夫と遺した財産であったりすることもあるわけです。

そんなことを考えると、二人で切り盛りして遺した財産・・・

奥さんの自分の子どもに、それ相応に遺してもらえる遺言書などを書いてもらっておくことが必要でしょう。

二人で働いて遺した財産・・・名義も二人に分けて遺しておく方が無難かもしれません。

などと、考えてしまうこともありますが、法の下に平等にという結果は妥当であると思います。

大事なのは、実質的な平等、配偶者たる正妻の働きによる財産形成の貢献度に見合った子どもへの相続もまた、重要でないかと思います。

セミナー用のレジメの改訂は、いつ、やろうか・・・

立法的手当てをまって、当面は( )書きで違憲となった等の記載でもしておこうと思っています。


本日は、遺留分減殺請求の場合の不動産の所有権移転登記について、お話させていただきます。

遺留分の減殺請求による遺留分の返還があった場合は、その相続登記を行う必要があります。

【申請書類等】
・申請書類:遺留分減殺を原因とする不動産所有権移転登記申請書
・申請人 :相続により不動産を取得した者、または代理人
・申請先 :登記する不動産の所在地を管轄する登記所
・申請時期:特になし
・申請費用:所有権移転登録免許税 
①相続の場合:不動産の価額(固定資産評価額)の1000分の4
②遺贈の場合;不動産の価額(固定資産評価額)の1000分の20
③司法書士報酬額

【添付資料一覧】
・登記原因証明情報(相続を証する書面※)
・遺留分権利者の住民票(住所証明書)
・登記識別情報または登記済証
・受遺者の印鑑証明書
・固定資産評価証明書
・代理権限証書

※遺留分減殺請求により所有権移転登記を命ずる判決があった場合は、その判決正本を登記原因証明情報と兼ねて相続を証する書面として添付するおとができます。それ以外の場合は、登記の権利者が被相続人の遺留分権利者としての相続人であることが証明する戸籍記載事項証明書または戸籍謄本が相続を証する書面となります。
なお、相続の場合には通常『登記識別情報または登記済証』は不要となります。しかし、被相続人が住所変更をしていたが、その変更登記を行っていなかった場合に、住民票の除票等で同一本人であることが追跡確認できないときには、必要となる場合があります。

【概要】

◇遺留分放棄と遺留分の返還

贈与または遺贈があり、遺留分減殺請求があったときは、受贈者または受遺者はその返還請求のあった遺留分を返還しなければなりません。
また、その遺留分の返還を受けて相続登記をする必要があります。


◇遺留分の減殺があった場合の相続登記添付資料

遺留分減殺請求書は相続登記の原因証書となりませんので、登記原因証明情報を作成して添付します。
遺留分減殺を原因として相手方と共同して所有権移転登記を申請する場合には、登記の権利者が、被相続人の遺留分権利者としての相続人であることが判明する戸籍記載事項証明書または戸籍謄本が相続証明書となります。
また、遺留分減殺請求により所有権移転登記を命ずる判決を受けている場合には、その判決正本を登記原因証明情報を兼ねて相続を証する書面として添付することができます。

以上、遺留分減殺請求の場合の不動産の所有権移転登記について、お話させていただきました。

次回は、遺贈による不動産の所有権移転登記について、お話させていただきます。