将来の相続に備えて、少しでも資産の防衛が出来るように、遺産分割や納税、節税等の方策を考える必要があります。

資産防衛で、まず、やるべきこと・・・

まずは相続税を始めとした納税によるキャッシュアウトを防衛したい・・・

一番には、税法の特例規定を、使い切ることが重要です。

広大地の特例、相続税の小規模宅地等の課税価格の計算の特例、農地や非上場株式の納税猶予、相続税の配偶者の軽減、住宅取得資金の贈与の非課税、教育資金の贈与の非課税、暦年贈与の非課税、生命保険金等の非課税、退職手当金等の非課税、等々・・・要件を満たせば課税の対象外となります。

例えば、貸家オーナーのお祖父ちゃんの場合、小規模企業共済に加入して、毎年の家賃収入を現預金で残すものから死亡退職金として残すものに切り替えることにより、500万円×法定相続人の数で計算された金額相当分が相続税の計算上は非課税の扱いとなって課税価格に算入しなくて済みます。

また、90歳まで無告知で加入できる一時金で加入できる生命保険の商品もありますので、生命保険金等の非課税(500万円×法定相続人の数)の枠に余裕がある方は、80歳を過ぎても病歴に関係なく(原則、入院していなければOK)加入できますので、このような金融商品で相続税の非課税の規定を上手に利用するのも効果的です。

生前の暦年贈与の非課税も効率的に利用すべきでしょう・・・

毎年、110万円までの贈与は非課税となりますので、子供、孫を含めて例えば6人の直系卑属がいる場合、毎年660万円までの贈与が非課税となりますので、計画的に贈与の非課税は利用するのも効果的な対策です。

もっとも、生前に贈与で現預金等を渡してしまうと、安心して使われてしまうこともありますので、生命保険等に加入させてほうがいいかも知れません、また、生前贈与の加算にも注意が必要です。

まずは、税法の特例に何があるかを知って、使える特例は使っていく、使えるようにしておく、ということがリスクのない節税対策となりますので、先ずは検討しておくことが重要です。

そして、遺産分割を考えて、できれば遺言書(無難的には公正証書遺言)を遺しておくことも考えるべきでしょう。

上段でお話しました税法の特例のなかには、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10月以内)までの遺産分割が纏まってうないと使えないもの(小規模宅地等や配偶者の税額軽減等)もあります。

農地等の納税猶予を除いては、申告期限から3年以内に遺産分割がまとまれば、遡ってその特例が適用でき更正の請求が提出できるものもありますが、一度は納税しなければなりません。

このように、そもそも論として遺産分割で躓いてしまうと、せっかくの税法の特例の適用が受けられなくなってしまうものがありますので、円滑な遺産分割のための手立てはしておいてあげるべきでしょう。

円滑な遺産分割が、資産防衛のためにも大事なキーポイントとなってきます。

そして、相続税の納税に充てられる金融資産が無いときには、納税に備えた資金計画をたてておくべきです。

相続財産のうちに占める財産の多数が不動産である場合は、特にその納税計画を考えておくことは重要です。

自宅や子供や孫の住宅用の土地もしくは活用して稼いでもらう土地等の残しておきたい土地、将来の納税用にいつでも売却できるようにしておく土地、固定資産税ばかりかかって稼げない売却できるならすぐ売却したい土地、等々の仕分けを行って、売却や土地活用から上がってくる収入での納税計画を立てていくことが重要です。

ここで、土地活用を考えていくうえでは、節税にもつながりますし、土地活用のためにした借入金の返済リスクを負うことにもなりますので、慎重な計画が重要なこととなります。

アパートをたてれば、土地や建物の相続税の財産評価額の計算上、節税効果が期待できることとなります。

相続税は下げられるものの、肝心のアパートの経営が行き詰るとアパートの建築資金の返済に詰まってしまい、借入金返済のためにアパートやその他の不動産まで売却しかねないといったことも起こりえます。

そのような事態に陥らないためには、遺産分割や納税計画、土地活用や保険の活用等の相続対策を考えるうえで、全ての不動産の調査・分析がとても重要です。

その不動産調査とは、どのようなことを行っているのか・・・

①不動産の価値をしること(いくらで売れるものなのか・・・いくら稼げるものなのか・・・)

②不動産を所有していることによる将来を含めた税金の負担(不動産を所有することでいくら負担が生じるのか・・・)

大きくは・・・この2点を調べていくだけのことでしょう・・・

具体的な不動産調査のお話は、次回にお話させていただきます。