NPO法人相続士協会では、『相続士資格試験』を、7月21日(日)に実施します。

相続の基本的なことから実務的なことまで、試験を受けるための学習を通して学ぶことができます。

相続士の資格試験にあたっては、テキストとDVD収録の講義を観ながら学習をして頂いてから、受験していただくこととなっています。

『相続士資格試験』用のテキストと講義DVDの特徴は、何といっても4分野の専門家が、4つの分野をそれぞれ担当して作成したことだと思います。

分野としては、①税法(相続税)②不動産③民法(遺産分割)④保険の4分野となっています。

私は、不動産の分野を担当させていただいております。

相続と不動産の関係は、何といっても相続財産のうちに占める不動産の割合が50%を超えてくることでしょう。

この50%という数値は、全国平均、それも路線価をベースとした不動産の価額でのお話しです。

三大都市圏や県庁所在地周辺の市町村などでは、その不動産の占める比率は、もっと上がってくることでしょう。

極端な話、東京周辺では、その比率は70%超になってくるかもしれません。

とにもかくにも、相続財産のうちに占める不動産の割合が、70%等になってきますと、不動産の特性である、分けにくい、換価しにくい、流動性が低い、ことから、相続が起きた時に、その遺産分割や納税に難しさが生じてきます。

誰に、どうやって、どの不動産を分けるか・・・
または、相続税の納税額が生じた時に、金融資産では支払きれない場合は、不動産で納税するほかないケースは、多々あります。

手持ちの不動産を売却して納税するのか、どの不動産から売却すればよいのか、はたまた、物納で納税するのか、物納できる要件を満たしているのか、等々・・・

相続対策では、不動産の対処の仕方一つで、その後の資産防衛に大きな影響が及んでくることとなってきます。

とにかく、よりよい相続対策の実践のためには、不動産の調査や現状分析は欠かせません。

すべての不動産を、自分の目で確認して、今後の活用等を真剣に考えて、残しておきたい優先順位などを決めておくべきでしょう。

また、不動産は自宅だけといったような方でも、都心近郊等の時価の高いところにお住まいの方は、今回の税制改正による基礎控除額の減額により、相続税の納税には注意しなければなりません。

小規模宅地等の特例の適用を使えるか否かで、大きく、納税額が左右されますので、誰にその自宅を上げるのかも明確に遺言等で意思表示しておいた方が賢明です。

配偶者が住宅を取得すれば、必ず、小規模宅地等の特例は使えますが、子どもの場合は、原則、同居が条件となってきます。(同居していない場合でも一定の要件を満たせば使えますが基本は同居と考えていた方が無難です。)

これからは、自宅を引き継ぐ子どもを決めておくか否かで、相続税の納税についての影響も大きくなってくることでしょう。

このように、相続税、遺産分割にとって大きく不動産は関わってくることとなってきます。

また、生命保険は、相続対策のうえで、遺産分割のための資金(例えば、代償分割等)や納税資金の準備に欠かせない手段となります。

被相続人の死亡に伴って、まとまった資金が入ってくるわけですから、相続には欠かせない金融商品となってきます。

もっとも、日本版ISAの登場によって、終身保険のほか、投信や株式等の金融資産で準備することも考えられるでしょう。

このように、考えてきますと、この4つの分野がお互いに関連しあって、それで相続対策ができあがってくると言えるでしょう。

ぜひ、この4つの分野を万遍なく身につけていただいて、相続の専門家として、広く、ご活躍頂きたいと思っています。

相続士資格試験のご案内は、次のHPでご覧いただけます。
http://www.souzoku.gr.jp

ぜひ、ご検討してみてください・・・



本日は、前回に引き続き『争続対策と相続税対策』について、お話させていただきます。

◇その1 相続人の確定

相続について考える場合には、まず、誰が相続人であるかを判明させる必要があります。
法定相続の場合は、相続人の順位を設けてあり、配偶者は常に相続人となります。

第1順位

被相続人に子供がいれば、相続人は子供と配偶者となります。
したがって、直系尊属(父母祖父祖母)や兄弟姉妹は相続人とはなりません。

第2順位

被相続人に子どもがいなく、かつ、その子どもに代襲者(孫)がいなければ、相続人は直系尊属と配偶者となります。
したがって、兄弟姉妹は相続人にはなれないこととなります。

第3順位

被相続人に子どもがいなく、かつ、その子どもに代襲者がいなく、かつ、直系尊属がいない場合は、相続人は兄弟姉妹と配偶者となります。

ところで、養子は実子と同じように相続人になれますが、税法上は、実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合は1人までしか、養子を法定相続人の数に算入できないこととされています。
ただし、配偶者の連れ子を養子にした場合は、その連れ子は実子とみなされることとなっていますので、養子の数の制限を受けることはありません。

その他、民法の規定による特別養子縁組(戸籍上、実親との親子関係が切れます。)により被相続人の養子となった者は、税法上は実子とみなされますので、養子の数の制限を受けることはありません。
そのほかにも、養子の代襲相続人(養子縁組の後に生まれた代襲相続人に限る)等などは養子の数の制限を受けない場合がありますので、注意が必要です。
詳細の規定によるところがありますので、養子がいらっしゃるときには、あらかじめ、専門家に確認しておくことが無難です。

以上、今回は相続人の確定について、お話させていただきました。

次回は、『相続人に係わる相続事例』について、お話させていただきます。