今年度の税制改正の目玉に、教育資金の生前贈与の非課税があります。

この非課税を利用して、生前に、教育資金の贈与を考えている方は、多数、いらっしゃるものと思います。

この制度についての記事が、日本経済新聞WEB版に掲載されていました。

新しい制度になりますので、原文のまま、紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

教育資金の贈与について、従来にはなかった新たな仕組みのスタートが話題を呼んでいます。この制度を使うと、子どもや孫に対して高額の教育資金を一括で贈与しても、いったんは贈与税が課税されずに済む可能性が生まれてくることになります。

正式には「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という法律上でのサブタイトルが付けられているこの制度ですが、与党が発表した大綱の段階から、大きな注目を集めていました。法案自体は3月29日に国会で成立し、今後どんどん新制度の運用についての実務的な部分が明らかにされていく予定です。新制度に深く関わる金融機関などでは、関連する問い合わせがこのところ引きも切らないなどといった話も聞こえてきており、利用を検討したい層の関心の高さがうかがい知れます。

この新制度を使えば、1500万円という、まとまった金額を一度に贈与しても、その場では税金の心配がいらないという効果が期待できます。この点では、渡す側にとって大きな魅力のある制度だといえるでしょう。また、もらう側にとっても大きなメリットが存在するのではないでしょうか。家計の消費支出に占める教育費が増加傾向にある昨今ですから、子どもが小さいうちに安心できる将来の後ろ盾をもらっておけば、精神的なゆとりが生まれるという点では大きくプラスになると思います。

しかしこの制度、今後いつまでも使えるというわけではなく、タイムリミットのある措置です。ですから、導入にあたっていくつかの注意点をきっちりと踏まえながらも、検討自体は早めに行っておいたほうがよいといえる面もあるでしょう

それでは、この制度の入り口のところ、まずはじめにお金を渡すときのことを簡単に説明しておきましょう。新制度を使うための大前提として、「30歳未満」の子や孫などに対し、父母や祖父母などが「教育資金」のためのお金を渡すということが必要となります。お金の出し方には以下の3パターンが用意されており、どれでも自由に選べる形となっています。

(1)信託銀行などを利用する

お金を渡す側は、まずは信託銀行などに教育資金の管理を任せる契約をしておきます。もらう側は、その契約に基づいて、お金を「使える権利」をもらうことになるのです。専門用語でいうと「教育資金管理契約に基づき信託の受益権を取得する」という表現になりますが、要するに信託銀行に任せたお金から学費などを出していくという形です。

(2)銀行などを利用する

このパターンでは、お金を渡す側ともらう側の間で、まずはきちんとお互いに「お金をあげます」「もらいます」という贈与の書類を交わしておきます。そのうえで、お金をもらった側は、教育資金の管理をしてもらう契約を銀行との間で行って、いったん預金の形にして預け入れておくという形をとります。

(3)証券会社などを利用する

このパターンでも、お金を渡す側ともらう側の間で「あげます」「もらいます」という贈与の書類を交わす必要があります。そして、お金をもらった側は、今度は証券会社との間で教育資金を管理してもらう契約をするのです。有価証券を購入して、それを教育資金用に証券会社で保管しておいてもらうという形をとります。

こうした一連の条件に沿って資金が動き、税務署への届出書類などにも不備がなければ、非課税の特典が受けられることになります。子や孫など、もらう側の1人あたりにつき、1500万円分までの贈与であればすぐには税金はかかりません。ただし、さきほども述べたようにこの新制度を使っての贈与には時間的な制限が設けられており、いまのところ平成27年12月31日までにお金を出した場合だけに限られています。

ところで、実は「子どもや孫に学費を出してあげても税金がかからない」ケースがあるというのは、従来存在していた取り扱いでした。新制度が導入される以前から、次のような明文化された決まりがあったのです。

■(贈与税の非課税財産)
相続税法第21条の3(抄)
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
2 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

「扶養義務者相互間」というところが専門的で少しわかりにくいですが、これが誰を指すのかというのは、国税庁の通達にはっきりと書かれています。「父母や祖父母から、子や孫へ」という直系のつながりでのお金の流れは、ちゃんとこの中に含まれています。

つまり、今回の新制度を使わなくても、教育費には税金がかかりませんよ、とされていたわけです。子や孫などに対して通常必要となる程度の教育費をその都度で工面してあげるのであれば、これまでの制度上でも非課税だったということです。

となると、これまでも税金はかからない面があった教育資金の贈与を、今回の新制度を使って贈与することには、他にどのようなメリットが考えられるのでしょうか。

それは何と言っても、大量の資金を一括で移動させることが可能になったという点にあると考えられます。あげる相手の1人あたりで1500万円分までという大量のお金を一気に移動させても、とりあえずその場では税金の心配がいりません。例えば対象となる孫が6~7人もいたならば、最大で1億円前後のお金を一気に贈与しても、少なくとも贈与を行うタイミングでの課税はないということなのです。

たしかに、一定の教育費の贈与については、従来税金はかからないとされていたものの、贈与できる額には限度がありました。通常すぐには必要とならない分までまとめて、それこそ孫6~7人に対して1億円近くも一度に移動させてしまったりすると、これまでの制度上では数千万円という単位での莫大な贈与税が発生してくる危険性もありえたのです。

その点、新しい制度を使えば、最初に贈与したタイミングで莫大な税金がかかってしまうという心配はなくなりそうです。やはり、この点は下の世代へ資金を移動させる「入り口」の部分としては大きなメリットであると考えてもよいのではないでしょうか。

一方で、新制度を使って一括で贈与を行うことには、押さえておいたほうがよい注意点もなくはありません。確かに、お金を渡すという「入り口」の部分では非課税なのですが、もらった側がその後どんなお金の使い方をして、どれくらいお金が残るかという、いわば「出口」の状態によっては、そのままで終わらない可能性もあるのです。
【日本経済新聞WEB版2013/4/9 】

いかがでしたでしょうか・・・

新制度の入り口について、非常に参考になると思います。

出口についてのお話も後日、掲載される予定となっていますので、掲載されましたら、また、ご紹介させていただきます。

相続税は基礎控除額の減額が、とにかく、話題となりがちです。

問題は、基礎控除減額に併せて、小規模宅地等の居住用の面積拡充240㎡から330㎡までの拡充と事業用宅地等の400㎡までとの併用が認められました。

基礎控除額の減額に併せて設けられたこのような特例をあますことなく利用することが大事な事ではないでしょうか・・・

生前贈与と各種特例を利用した土地評価の評価減が、これからの相続対策の入口としてのポイントでしょう。

税務上の節税のできる特例は・・・あますことなく利用することこそが重要でしょう。


本日は、『遺言による登記のしかた』について、お話させていただきます。

1 『相続させる』とした遺言のケース(相続人が対象)

公正証書遺言であって、なお、取得する財産が明確に記載されているときは、遺言書に記載された者によって単独で登記申請がすることができます。
必要な書類は遺言公正証書正本、遺言者の戸籍謄本(死亡の事実が示されているもの)、取得者の戸籍謄本(相続人であることを証するため)と住民票となります。
公正証書遺言以外の遺言であっても同様に扱われているようです。
ただし、公正証書以外の遺言は作成の真正が証明されていない私製証書となることから、公正証書以外の遺言による単独申請を認めることに、問題があるとの議論もだされているようです。

2 『遺贈させる』とした遺言のケース(基本的には相続人以外が対象)

公正証書遺言か否かに関係なく、受贈者(遺贈を受けた人)と遺言執行者(指定されていないときは全相続人)との共同の申請となります。
この場合、1の必要書類のほか、権利証(または登記識別情報)、遺言執行者の資格を証する書面(遺言書、家庭裁判所の選任審判書)および、遺言執行者の印鑑証明書が必要となってきます。
遺言執行者が選任されていない場合は、全相続人の共同申請となりますので、戸籍謄本類と全相続人の印鑑証明書が必要となってきます。

なお、相続による場合の登録免許税は課税価格の1000分の4となりますが、遺贈の場合は、登録免許税が課税価格の1000分の20(相続人が遺贈により財産を取得した場合は1000分の4)となります。

すなわち、相続人への遺言は、登記の手続きを考えると『相続する』と明記しておくことが懸命です。

以上、『遺言による登記のしかた』について、お話させていただきました。