日経WEB版に、お宝保険についての記事が掲載されていました。

非常に参考になりましたので、原文のままご紹介させていただきます。

「生命保険に加入するのは必要最小限にとどめましょう。子供が自立するまでの期間限定で、世帯主の万が一への備えを安く確保できれば、保険の活用法として100点満点中70点くらいは取れたことになると思います」。私は数年来、一般の方やメディアに対しこうした発言を繰り返してきました。その根拠は、2011年10月21日付「大手生保の管理職が入っていた保険とは」でご紹介した通りです。

一方で例外的といっていいくらい「大切に継続してください」と勧めてきたのが、保険会社が保険料を算出する際に使う利率(予定利率といいます)設定が高かったころの契約です。俗に「お宝保険」と呼ばれる資産性が魅力で、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険などがこれに当たります。

いつごろまでに契約したものが「お宝」に該当するかという線引きは保険業界の関係者でも見解が分かれますが、1996年3月あるいは99年3月までが一般的だと認識しています。予定利率の推移を示したグラフを見ていただくと、近年の1%台と比べ高いことが分かります(なお、グラフの数字はあくまで目安です。現実には保険会社や商品、契約期間などによって異なります)。

現在50代の男性が91年に加入した個人年金保険を例に説明しましょう。総額250万円強を払い込み、60歳以降は10年間で600万円の年金受け取りが保証されています。現時点で解約しても、払い込んだ保険料の約4割増しの払戻金(解約返戻金)があります。概算すると3%超の利回りでお金が増えている計算です。保険会社が破たんでもしない限り、将来受け取る金額が約束されているので継続が望ましいと判断できます。

ちなみに、グラフでも分かるようにこの個人年金保険が販売されていた当時の予定利率は5.5%です。「予定利率と実質利回りはまったく違う」ということを改めて強調しておきたいと思います。

しかし今回、さらに強調したいのは「お宝保険=迷わず継続」とも断言できないということです。例えば92年加入のある大手生保の学資保険では、総額328万円の払い込みに対し進学時や満期の給付金受取総額が300万円となっています。貯蓄代わりに加入しているつもりが、貯蓄になっていないのです。

学資保険に「育英年金」という契約者の死亡保障が組み込まれているのが原因です。死亡保障に経費がかかる分、貯蓄性が下がっているのです。この契約者は学資保険以外の保険で、世帯主としての死亡保障は確保していて、学資保険は満期が迫っています。もっと早く把握して手を打っていたら……と悔やまれる例です。

ほかに94年加入の養老保険で満期金受け取りまでの利回りを計算すると、1.4%未満という例などもあります。入院特約にお金がかかっているためです。満期は11年後なので、入退院を繰り返すような健康状態でない限り入院特約を解約して貯蓄性を改善すべきでしょう。

読者の皆さんはこうした例を他山の石とし、加入時期や商品分類から明らかに「お宝保険」とみられるケースであっても、特に貯蓄性を重視した契約では払い込み保険料と受取総額の比較だけは怠らないでいただきたいと思います。「その程度の試算もやらない人がいるのか?」と思う方もいるでしょうが、意外に見落とされていることも多いというのが個人相談を通じた実感です。

「金利が高かったころの契約は大事にしましょう」という保険のアドバイスは一般論として間違っていないと思います。それでも「損が出ているお宝保険」も実在します。結局、継続すべきかどうかは個々の契約内容を見て判断するしかないでしょう。私自身、著書やメディアの取材などで一般的な判断基準を提示してきましたが、今回のような留意点にも触れていく必要を感じています。
【日経WEB版2013/5/24 7:00】

いかがでしたでしょうか・・・

やはり、保険の内容の確認は大事だなと感じさせられました。

できれば、一覧にまとめておくと、さらに、分かりやすく整理できそうです。

保険の見直しは、その都度都度で、おこなって確認しておくことが、無難なことのようです。


本日は、『相続対策は早いうちに始める。』について、お話させていただきます。

相続対策を行うためには、元気であることが重要です。
すなわち、認知症などの病を患っていないことが大切です。

ここで認知症を患ってしまって相続対策を中断した事例をご紹介させていただきます。

Aさん(90歳)は、昨年まで体調には不安がなく、晩酌を楽しみながら、新聞も2紙は必ず読み、いたって元気であり、家族は100歳位までは丈夫に過ごせると思っていました。
ところが、年末に階段で滑って転んだことがきっかけで寝たきりになったところ、認知症を発症してしまいました。

相続対策のために、分割が不可能な所有不動産を分割可能な不動産へ買い換えようと考えていましたが、認知症の発症により、それもできなくなってしまいました。
成年後見制度の後見・保佐・補助を使って、相続人となる子どもが相続対策を出来ると考えがちですが、実は出来ないこととなります。

成年後見制度で出来るのは、財産の現状を維持する行為、財産の性質を変えない範囲で利用し改良する行為などに限られていますので、所有財産を売却することも運用することも貸すことも出来なくなりました。

認知症などになってしまうと、判断能力が欠如してしまうので遺言もできないし、財産の組み換えなどの相続対策を出来なくなってしまいます。
それだけではなく、その後の生活に本人も家族も大いに支障をきたすこととなってしまいます。

上記の事例のようにいつ何時、認知症になってしまうなどの事態が起きるのかもわかりません。

相続対策は、元気で判断能力のあるうちに、初めなければ手遅れとなってしまうことがあります。

早目、早目の対策が無難であると言えますので、早目に専門家へ相談することが、安全な相続対策となります。

以上、『相続対策は早目に始める』についてお話させていただきました。

次回は、『財産目録作成』について、お話させていただきます。