戸建て住宅大手の受注が10月に入って大幅減となっているようです。

前年同月比で2ケタの大幅減となったようです。

反して9月の受注は最大手の業者で対前年同月比で約74%の増だったようです。

安倍首相の消費増税の意思確定を受けての駆け込み需要によるものでしょう・・・

消費増税と同時に施行される住宅ローン控除の拡充策も効果の薄いものということだったのでしょうか・・・

もっとも、消費税の導入時や5%への税率UPの時も、相当の駆け込み需要がありました。

そして、そのあとには先喰いした分、受注件数の減少が待ち受けていました。

個人的には、注文住宅の場合、駆け込み需要後の受注の落ち込んだ状況であれば、3%の消費増税分くらいは値引き交渉でトントンにもっていく自信はあるだけに焦る必要は無いのになと思っていました。

私は、長らく注文住宅の営業をやっていましたので、何となく営業の方の言葉や仕草さらには雰囲気で値引きの限界を感じ取ることができます。

もう少しはOKかなとか、あえて値引きの限界を知るために途方もない条件を付加してみるとか・・・

その反応で、大方の値引き可能額を窺うこととしています。

とはいえ、注文住宅の消費増税を免れる9月末までの契約という期限は終わりました。

あとは、3月までに完成できることが消費増税を免れる残された道となってきますが、唯一、ユニット工法の住宅位が可能な業者となってくるでしょう・・・

この駆け込み需要を垣間見て感じるのは、皆さんが皆さん、きちんとライフプランを練って、老後に必要な準備資金とか子どもの教育費の準備資金とか、いろいろなライフイベントを考えた上での住宅ローンの借入金額や金利、返済期間などを考えているのかが心配になってきます。

なにか、消費増税の勢いで住宅の営業の方の甘い誘惑の言葉に載せられて、まあ、何とかなるでしょう的な判断で契約をしていないかが、気になってきます。

もっとも、私が住宅の営業をやっているときも自分の頭には、お客様が住宅ローンの審査に通るか否かしかありませんでした。

この金額以上を借りてしまうとお子様の進学計画上、支払が厳しくなるようだから、住宅の請負金額を減らしましょう・・・ついては、面積を圧縮するとか食器洗い機や外壁の一部タイル貼りを止めましょうだとかは、まずもってお話することはありません。

契約した後の住宅ローンのお支払いはお客様の自己責任としか思っていませんでした。

毎月、毎月のノルマに契約すればもらえる報奨金・・・そこまで気遣う余裕はありません。

ただ、嘘は言いませんでした・・・そして、お客様の一生に一度、あるかないかの夢の実現のために誠心誠意、プランのご提案、仕様の説明、お見積りの詳細な説明はさせていただきました。

その結果、おかげ様で、クレームというクレームを頂戴することなく住宅営業の仕事を終えることができたと思っています。

それでも、FPのような生活設計までを考えたうえでの住宅取得のご提案はしていません。

もっとも、そんなお話を持ち出して、内諾をいただいていた契約がご破算になるようだと会社の上司に、おまえは馬鹿か・・・と言われて終わってしまいます。

バブル崩壊前のインフレ基調の時代は、住宅ローンを過剰(今の時代の過剰、当時は過剰と思う風習はありませんでした)に借りても、金利以上に土地の代金が値上がりしていましたので、何も恐れることはありませんでした。

当時は、損益計算書主体の時代です。

銀行がお金を貸し出しするのにも、損益計算書主体、つまりは利益がいくら、あがっているのかが重要でした。

貸借対照表上の不動産は含み益で充たされていたのです。

今の貸借対照表はともすれば、含み損にまみれているようでしょう。

まさに貸借対照表重視に推移してきました。

国際会計基準(IFRS)では、期首の貸借対照表から期末の貸借対照表の純資産の増減から利益を算出することとしています。

なぜ、貸借対照表からなのか・・・それは減損会計や時価会計として期末における資産の時価を反映させて利益を求めるためです。

つまりは所有している資産は売却して初めて利益や損失が計上されるものですが、この考えでは一言でいえば含み益や含み損を盛り込んだ利益の概念となるわけです。

このように、資産、特に不動産の価値は安定していない現在においては、住宅取得に際しては綿密なライフプランによるキャッシュフロー表を作成して、その取得金額や住宅ローンの借入計画、返済計画を練るべきでしょう。

人口が減少していく超高齢化社会に突入していくなかで、一部の都心部の不動産を除いては値上がりすることはおろか、売却もままならなくなるという事態も考えられます。

給与所得者の方であれば、定年までに得られる収入金額から定年までに支出する必要金額を差し引いていくら老後資金として準備できるのか、逆に定年後の老後資金で公的年金以外にいくらの準備金が必要なのかを考えてみることが重要です。

定年後の老後のための準備資金、子どもの教育資金、毎年の生活費、それを差し引いたなかで住宅ローンの支払可能額を考えていく必要があるでしょう。

さらには、消費税が10%にUPしたら、年間の買い物できる金額はいくら減るのか・・・

おおよそ年間17万円位が目安と言われています。

この金額もライフプラン上の支出としての負担の増としておくべきでしょう・・・

このようなキャッシュフロー表を、とにもかくにも、一度、作成していただきたいと思います。

きっと、赤字のキャッシュフロー表となるかもしれません。

大事なのは、その赤字のキャッシュフローを、どの様にすれば黒字に転換できるかなのです・・・

支出を抑えるのか、不動産の購入金額を下げるのか、奥様が少しの期間パートで収入を得るのか、皆様、個々のお考えで決めることとなります。

その問題点を焙り出すことと解決策を考えることが大事なのです。

以上の内容のお話を、11月23日(土)つくば市の国際会議場で行われる『FPの日フォーラム』のミニセミナーの中でお話させていただきます。

当日は、住宅取得に向けた上記の消費増税によるライフプランの注意点のお話の他に、相続税改正に伴う基礎控除額の減額が及ぼす住宅取得への影響について、お話させていただきます。

ご都合のつく方は、是非、お話を聞きにご来場ください。

詳細は、日本FP協会茨城支部HP(http://www.jafp.or.jp/shibu/ibaraki/) をご覧ください。