相続が発生して、まず、やらなければいけないことは、死亡届の提出からはじまって、葬儀の手配、保険金の請求、その他もろもろの手続きが満載状態となってきます。

そんななかで、戸籍を取り寄せて相続人の確定をおこなって、さらに重要な相続財産のリストアップがあります。

故人が生前に遺していってくれた財産を漏れなく把握しなければ遺産分割協議のやり直しもおこりえます。

そんな相続財産の把握の漏れに注意が必要といった記事が日経WEB版に掲載されていましたので参考のためにご紹介させていただきます。


人が亡くなった後には、故人の名前で残っているあらゆるものについて整理を行わなければなりません。こうした一連の相続手続きの中には、うっかり忘れてしまうと大きな不利益が予想されるようなものも含まれているので、くれぐれも気をつける必要があるといえます。

それではまず、前回の「死亡届け出、お金の給付…忘れると困る相続手続き」のなかで区分した相続手続きの大まかな分類と、それぞれの主な手続きを簡単な表にした別表を、もういちど確認しておきましょう。

(1)死亡に関する届け出
(2)お金の給付を受ける手続き
(3)名義の変更・解約手続き
(4)税、登記、裁判、年金などの手続き

前回の(1)の「死亡に関する届け出」と(2)の「お金の給付を受ける手続き」に引き続き、今回は(3)の「名義の変更・解約手続き」についての確認からです。

これらの名義変更や解約については、場合によっては「どうしてもやらなくてはならない」という強い動機が持てないことがあるかもしれません。例えば、少額しか残っていない故人の預金口座などが顕著なケースとなるでしょう。額の多寡によっては、故人の財産をそのまま放置しておいても、特に誰も不便を感じないということもあると思います。

そうなれば、まだ故人名義のものが残っているからといって、わざわざ戸籍を集めて、当事者の実印と印鑑証明書を集めて……という一連の手続きが「面倒なこと」に思われがちです。このようなケースでは手続きが進まずに放置されることもしばしばですが、これは「忘れる」というのとはまた別の次元の話ということになるように思います。

また、まとまった額の銀行口座などの解約手続きが進んでいない場合については、むしろそれを忘れてしまうというよりは、そもそも故人の口座がどこの金融機関にあったのかがわからなくて、やむをえずそのままになっているというケースの方が多いのではないでしょうか。

ちなみに、現在の日本の銀行全体において、10年以上にわたってお金の出し入れがない、いわゆる「休眠口座」のなかに眠ったままになっているお金は、毎年数百億円にものぼるという話もあります。何か手がかりがないと遺産の把握をすることは簡単ではないとはいえ、近所にある銀行の支店などに故人の名義の口座がなかったかどうかは、相続人が所定の手続きを取れば開示してもらうことができるようになっていますので、ぜひとも漏れがないようにしっかりと把握しておきたいものです。

そしてもうひとつ、なかなか気がつきにくい各種の「解約」を忘れずに済ませることも大切になってきます。故人が通っていたフィットネスクラブなどの会費や、故人が借りていた消費者金融への返済金、故人が契約していたクレジットカードの年会費などは、銀行口座からの自動引き落としとなっている場合が多いものです。ですから、故人の通帳の記載を過去にさかのぼって詳細に確認していけば、通帳に引き落としが記録されているものの解約漏れを防ぐことは、かなりの程度まで可能になってくるでしょう。

さらに、通帳の記載のチェックだけではなく、故人の残した書類や封筒などを確認しておく作業も必要となってくるように思います。故人の使っていた机や引き出し、書棚などをよく確認して、まだ関係が継続していそうな先が見つかったら、すぐに問い合わせを入れて契約の現状を確認してみるなど、面倒でもひとつずつ解決しておくことが無難となるでしょう。

そのまま放置しておくと、例えば亡くなった親とのあいだの契約であったものが、契約者としての地位を相続しているものとみなされて、その子どもとのあいだの契約ということに切り替えられてしまうかもしれません。そうなれば、サービス利用料金などを引き続いて課金される場合なども考えられますから、注意をしておきたいところです。

それでは最後に、(4)の「税、登記、裁判、年金などの手続き」についてはどうでしょうか。これらの部分は、財産の権利などに直接的に関係する重要な点が多く存在していますので、まさか忘れてしまうようなことなどありえない……と思いたいところです。

しかし残念ながら、こうした重要な手続きを放置してしまったことで、相続トラブルが起こるようなケースがあとを絶たないという現実もあります。これらの相続トラブルについては、過去のコラムの「相続税の申告を忘れたらどうなるか」などでも触れてきましたし、引き続き今後のコラムの中でも、分野ごとに、より詳細に触れていければと考えています。

以上、多種多様に分かれている相続手続きと、それらの手続きが漏れた場合などの注意点について、前回と今回の2回にわたって簡単に確認してきました。結論として、手続き漏れが起こってしまう主な原因としては、「単純に手続きするのを忘れていた」か、「そもそも手続きの対象となる財産や契約関係を把握していなかった」という2つの大きな要素が考えられるように思います

前者のほうは、あるいは残された人の注意不足がその根元にある問題だともいえるかもしれません。しかし、後者についていえば、残された人の調査不足だけに原因を押しつけてよいとは必ずしもいえないでしょう。その人が生前にどんな団体に所属していたのか、どんな貸し借りをしていたのか、どこのゴルフ場に会員権をもっていたのか……。このような情報は、何らかのメモやエンディングノートなど形での「記録」がなければ、残された相続人たちが確認をすることは難しくなってしまいます。

その「記録」の不在が、ひいては残された人間にまったく知らない借り入れの返済が降りかかってきたり、知らないうちに契約の相手方が有利な形となってしまったりするような事態を招き入れかねないのです。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、残す側の「知らせよう」とする努力と、残される側の「知らせてもらおう」とする姿勢とが、お互いに欠かせないものとなるようにも思います。
【日経WEB版2013/7/12】

いかがでしたでしょうか・・・

こうやって考えますと・・・

大事なのは、自分の遺した財産を書き記しておくことと、その財産をどのようにしてほしいかの意思表示を遺してておくことが非常に重要なこととなってきます。

また、遺す財産のいくつかが不動産であった場合に、各相続人間にいかにして平等感を持って分割できるかの悩みも生じてくることとなってきます。

相続は、民法による遺産分割、税法による税務上のこと、相続財産の大半の価値を占める不動産、相続対策の手段としての保険や金融資産の活用、さらには土地活用・・・

などなど、あらゆる分野の専門的な知識や経験が必要となってきます。

一番の相続対策は・・・相続関連業務に熟知している人に相談することかもしれません・・・


本日は、『役所調査/道路調査』 についてお話させていただきます。

土地の価値は、接している土地の状況(公道か私道か、道路の幅の広さや、接している長さや、高低差や、などなど)によって、大きく変わってくることがあります。

道路の状況によっては、最悪、建物が建たない場合や、敷地の一部を道路に供する必要(セットバック)が有る場合があります。

土地の評価にあっては、道路の調査はとても重要なものとなってきます。


1.道路の確認

(1)道路と敷地との関係とは 

原則として、建築基準法上の道路は4m(6m)以上だが、現に建築物が建ち並んでいる道で、特定行政庁の指定があったものは、幅員が4m(6m)未満であっても道路とみなされます。
(いわゆる42条2項道路、みなし道路ともいいます)

この場合、現況道路の中心線から2m(3m)ずつ両側に後退した線が道路境界線とみなされます。
ただし、中心線から2m未満で一方ががけ地、川、線路敷地等である場合には、川などから4mの線が道路境界線となります。

都市計画区域内及び準都市計画区域内の建築物の敷地は、建築基準法上の道路(自動車専用道路は除く)に2m以上接していなければならないとされています。

例外としては、敷地の周囲に広い空き地を有する建築物などで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものは、接道義務は適用されないこととされています。

(2)公道か私道かを市町村役場の管理課等で確認します。

(3)42条2項道路と位置指定道路の確認をします。
 市町村役場の道路課等で道路の種別の確認を行い(42条2項道路、位置指定道路)、道路図面を取得します。

■4m以上 建築基準法上の道路には次の種類のものがあります。

1.建築基準法第42条第1項
①1号道路 道路法にいう道路(国道、県道、市町村道)※自動車専用道路は接道不可 
②2号道路 都市計画法、土地区画整理法、都市再開発等の道路
③3号道路 建築基準法施行時に既にあった道。(法以前道路、既存道路)
④4号道路 都市計画道路等で2年以内に事業が施行される予定のあるもの
⑤5号道路 道路の位置の指定をうけたもの ※位置指定道路

2.建築基準法第43条
⑥但し書き道路 幅員4m以上で建築基準法42条に該当しない道路(農道、港湾施設道路、河川管理用道路、学校外周道路など)許可が必要

■4m未満の道路には次の種類のものがあります。

1.建築基準法42条
⑦2項道路 公道または私道
2.建築基準法43条
⑧但し書き道路 42条2項に該当しない道路 許可が必要

※①・④は公道 ②は原則公道 ③は公道および私道 ⑤は私道 ⑥は私道 
⑦公道および私道 ⑧は公道および私道
※43条但し書きにて敷地に建築する場合、建築指導課の許可で階数・規模・用途などの建築制限があります。

以上、『役所調査/道路調査』 について、お話させていただきました。

次回からは、『不動産の価格評価』 について、お話させていただきます。