税制改正大綱決定 + 相続の事が少しずつ分かるいいお話64 『特別受益③』について
投稿日時:2013年01月25日金曜日 10時39分16秒
ブログ投稿者:荒木不動産コンサルティングFP事務所 カテゴリー: General
昨日24日、自民公明両党により2013年度の税制改正大綱が決まりました。
概ね、いままで、報道されていた内容で決着した模様です。
概ねのポイントは次の通りとなってきます。【読売新聞1月25日版を参照し記載】
【成長支援(13年度~)】
1.法人税
給与支給を増やした企業は増加額の10%減税(3年間)
雇用を増やした企業は1人あたり40万円減税
2.中小企業
交際費の損金算入が「800万円」まで可能に
3.贈与税
祖父母から孫への教育資金の一括贈与は1500万円まで非課税(15年末まで)
【消費税増税対応(14年4月~)】
1.住宅
ローン減税を17年末まで延長。年間で最大40万円(被災地は最大60万円)減税
自己資金での省エネ改修、年間で最大25万円減税
2.自動車
取得税はエコカー減税拡充、15年10月に廃止
重量税は存続。燃費の良い車はより減税
3.軽減税率
14年4月からの導入は見送り。15年10月の導入目指す
【格差是正】
1.所得税
最高税率を45%に上げ。課税所得『4000万円超』に適用
2.相続税
最高税率を55%に上げ。課税遺産『6億円超』に適用
基礎控除を4割縮小
小規模宅地の8割減額評価で、対象上限を330平方メートルに拡大
以上が、今回の税制改正大綱のポイントとなります。
消費税増税に配慮した住宅ローン減税の拡充や自動車取得税の廃止が決まりました。
軽減税率と自動車重量税は8%UP時には見送りとなっているようです。
経済成長支援として、法人税の雇用に対しての減税が決まりました。
その他、交際費の損金算入の拡充がきまりました。
何といっても、祖父母から孫への教育資金の一括贈与1500万円非課税(15年末まで)により、どれだけの資金が動いてくるでしょうか・・・
相続税の基礎控除の4割縮小が平成15年から実施されます。
いままで、相続税に縁がないと思っていた都市部や都市近郊にお住まいの不動産は自宅だけ・・・という方も相続税に縁のある方となってくるかもしれません。
そうであるならば・・・孫に教育資金で生前贈与を・・・と考えることもできます。
ここで、難しいのは財産の保有割合です。
老後に充分すぎるほどの金融資産に余裕があれば、教育資金としての生前贈与も容易に行えます。
金融資産にその余裕がなければ、その贈与は難しいこととなってきます。
ようは、自宅としての不動産の相続評価額が高くて、金融資産は老後に多少の余裕がある程度で相続税がかかってしまうようなケースでは、孫への生前贈与での相続税の評価減は実行できないこととなります。
ただし、基礎控除4割削減とセットで、住居用宅地の小規模住宅用地の特例の適用が240㎡から330㎡に拡充される予定となっています。
これで、基礎控除4割削減の影響をある程度は、抑えることができるでしょう。
ここで、大事なのは、現状の分析と思います。
自分の所有している不動産の売買相場の価値は・・・いくら位か・・・
自分の家の敷地は、何区画に分けて売却できるものなのか・・・
自分のもってる不動産の相続税の評価額はいくら位なのか・・・
小規模住宅用地の特例は、問題なく適用できるのか・・・
相続税はかかってくるのか・・・
また、2次相続ではどうなってくるか・・・
その他金融資産の運用はどうしていったらいいのか・・・
証券優遇税制が13年末で終わり、その後の日本版ISAの拡充のメリットは・・・
等々・・・
これからの相続増税にむけて、何をすべきか・・・
まずは、あたりまえに、自分の財産の特徴を掴むことだと思います。
そこから、分析・・・考える・・・実行する・・・
となってきます。
まずは、自分自身の財産を、改めて、冷静に見直してみましょう・・・
本日は、『特別受益③』について、ご紹介させていただきます。
1.特別受益者の範囲
特別受益者となるのは特別受益を受けた『共同相続人』であるが、実際上、次のような者について問題が生じます。
①代襲相続人
代襲相続人と特別受益の問題につきましては、その特別受益を受けた者が被代襲者であるか、あるいは代襲者であるかによって様相が異なります。
まず、被代襲者が特別受益を受けた場合に、代襲相続人は被代襲者の持戻義務を引き継ぐかという問題があります。
これにつきましては、かつては持戻義務を引き継がないとする見解が有力でしたが、最近は持戻義務を引き継ぐとする見解が有力となっています。
審判例では、被代襲者が受けた当該特別受益の性質が高等教育の費用という受益者の人格と共に消滅する一身専属的性格のものであることを理由として代襲相続人の持戻義務を否定したもの、代襲相続人が被代襲者の特別受益によって現実に経済的利益を受けている場合に限りその限度で持戻しをさせるべきとしたうえで、被相続人が出損した被代襲者の外国留学の費用につきましては代襲相続人の持戻義務を否定したものなどがあります。
一定の場合に持戻義務を引き継ぐと解する点で、折衷的立場といえます。
次に、代襲者自身が直接特別受益うぃ受けた場合につきましては、代襲者が被代襲者の死亡等により共同相続人となる前に受けたものは特別受益に該当しませんが、相続人となった後に受けたものは特別受益に該当し持戻義務を負うと解する見解が通説的でした。
しかし近時は、共同相続人間の実質的公平を図る見地から、特別受益者は相続開始時に共同相続人となっていれば足り、受益の時期に拘わらず持戻義務を負うと解する見解が有力に主張されています。
②包括受遺者
これにつきましては、『相続人と同一の権利義務を有する』ことから持戻義務を肯定する見解もあります。しかし、包括受遺者が共同相続人の一人であればともかく、それ以外の第三者であるときは、被相続人としては持戻しを予定していないのが通常であると考えられ、このような場合は、持戻義務を否定する見解が多数説となります。
③間接的受益者
相続人がその配偶者や子の特別受益を通じて間接的に経済的利益を受けている場合、これをその相続人の特別受益と解すべきでしょうか。
これにつきましては、学説は一般に否定的です。
審判例としましては、相続人の配偶者に生前贈与がなされた事例におきまして、贈与の経緯、価値、性質、これにより相続人が受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならない認められるときは相続人の特別受益とみることができるとして持戻義務を肯定したものがあります。
間接的受益者まで含めると、特別受益者か否かの判断が困難となり、かえって紛争を増加させかねないことを考えると、原則として間接的受益は特別受益と解すべきではないと思われます。しかし、実質的には、上記審判例の事案のごとく実質的に見て直接受益と同視し得る事案もあり得るので、かかるときに、例外的に持戻義務を肯定すれば足りることと思われわす。
以上、『特別受益③』についてご紹介させていただきました。
次回は、『特別受益④』についてご紹介させていただきます
概ね、いままで、報道されていた内容で決着した模様です。
概ねのポイントは次の通りとなってきます。【読売新聞1月25日版を参照し記載】
【成長支援(13年度~)】
1.法人税
給与支給を増やした企業は増加額の10%減税(3年間)
雇用を増やした企業は1人あたり40万円減税
2.中小企業
交際費の損金算入が「800万円」まで可能に
3.贈与税
祖父母から孫への教育資金の一括贈与は1500万円まで非課税(15年末まで)
【消費税増税対応(14年4月~)】
1.住宅
ローン減税を17年末まで延長。年間で最大40万円(被災地は最大60万円)減税
自己資金での省エネ改修、年間で最大25万円減税
2.自動車
取得税はエコカー減税拡充、15年10月に廃止
重量税は存続。燃費の良い車はより減税
3.軽減税率
14年4月からの導入は見送り。15年10月の導入目指す
【格差是正】
1.所得税
最高税率を45%に上げ。課税所得『4000万円超』に適用
2.相続税
最高税率を55%に上げ。課税遺産『6億円超』に適用
基礎控除を4割縮小
小規模宅地の8割減額評価で、対象上限を330平方メートルに拡大
以上が、今回の税制改正大綱のポイントとなります。
消費税増税に配慮した住宅ローン減税の拡充や自動車取得税の廃止が決まりました。
軽減税率と自動車重量税は8%UP時には見送りとなっているようです。
経済成長支援として、法人税の雇用に対しての減税が決まりました。
その他、交際費の損金算入の拡充がきまりました。
何といっても、祖父母から孫への教育資金の一括贈与1500万円非課税(15年末まで)により、どれだけの資金が動いてくるでしょうか・・・
相続税の基礎控除の4割縮小が平成15年から実施されます。
いままで、相続税に縁がないと思っていた都市部や都市近郊にお住まいの不動産は自宅だけ・・・という方も相続税に縁のある方となってくるかもしれません。
そうであるならば・・・孫に教育資金で生前贈与を・・・と考えることもできます。
ここで、難しいのは財産の保有割合です。
老後に充分すぎるほどの金融資産に余裕があれば、教育資金としての生前贈与も容易に行えます。
金融資産にその余裕がなければ、その贈与は難しいこととなってきます。
ようは、自宅としての不動産の相続評価額が高くて、金融資産は老後に多少の余裕がある程度で相続税がかかってしまうようなケースでは、孫への生前贈与での相続税の評価減は実行できないこととなります。
ただし、基礎控除4割削減とセットで、住居用宅地の小規模住宅用地の特例の適用が240㎡から330㎡に拡充される予定となっています。
これで、基礎控除4割削減の影響をある程度は、抑えることができるでしょう。
ここで、大事なのは、現状の分析と思います。
自分の所有している不動産の売買相場の価値は・・・いくら位か・・・
自分の家の敷地は、何区画に分けて売却できるものなのか・・・
自分のもってる不動産の相続税の評価額はいくら位なのか・・・
小規模住宅用地の特例は、問題なく適用できるのか・・・
相続税はかかってくるのか・・・
また、2次相続ではどうなってくるか・・・
その他金融資産の運用はどうしていったらいいのか・・・
証券優遇税制が13年末で終わり、その後の日本版ISAの拡充のメリットは・・・
等々・・・
これからの相続増税にむけて、何をすべきか・・・
まずは、あたりまえに、自分の財産の特徴を掴むことだと思います。
そこから、分析・・・考える・・・実行する・・・
となってきます。
まずは、自分自身の財産を、改めて、冷静に見直してみましょう・・・
本日は、『特別受益③』について、ご紹介させていただきます。
1.特別受益者の範囲
特別受益者となるのは特別受益を受けた『共同相続人』であるが、実際上、次のような者について問題が生じます。
①代襲相続人
代襲相続人と特別受益の問題につきましては、その特別受益を受けた者が被代襲者であるか、あるいは代襲者であるかによって様相が異なります。
まず、被代襲者が特別受益を受けた場合に、代襲相続人は被代襲者の持戻義務を引き継ぐかという問題があります。
これにつきましては、かつては持戻義務を引き継がないとする見解が有力でしたが、最近は持戻義務を引き継ぐとする見解が有力となっています。
審判例では、被代襲者が受けた当該特別受益の性質が高等教育の費用という受益者の人格と共に消滅する一身専属的性格のものであることを理由として代襲相続人の持戻義務を否定したもの、代襲相続人が被代襲者の特別受益によって現実に経済的利益を受けている場合に限りその限度で持戻しをさせるべきとしたうえで、被相続人が出損した被代襲者の外国留学の費用につきましては代襲相続人の持戻義務を否定したものなどがあります。
一定の場合に持戻義務を引き継ぐと解する点で、折衷的立場といえます。
次に、代襲者自身が直接特別受益うぃ受けた場合につきましては、代襲者が被代襲者の死亡等により共同相続人となる前に受けたものは特別受益に該当しませんが、相続人となった後に受けたものは特別受益に該当し持戻義務を負うと解する見解が通説的でした。
しかし近時は、共同相続人間の実質的公平を図る見地から、特別受益者は相続開始時に共同相続人となっていれば足り、受益の時期に拘わらず持戻義務を負うと解する見解が有力に主張されています。
②包括受遺者
これにつきましては、『相続人と同一の権利義務を有する』ことから持戻義務を肯定する見解もあります。しかし、包括受遺者が共同相続人の一人であればともかく、それ以外の第三者であるときは、被相続人としては持戻しを予定していないのが通常であると考えられ、このような場合は、持戻義務を否定する見解が多数説となります。
③間接的受益者
相続人がその配偶者や子の特別受益を通じて間接的に経済的利益を受けている場合、これをその相続人の特別受益と解すべきでしょうか。
これにつきましては、学説は一般に否定的です。
審判例としましては、相続人の配偶者に生前贈与がなされた事例におきまして、贈与の経緯、価値、性質、これにより相続人が受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならない認められるときは相続人の特別受益とみることができるとして持戻義務を肯定したものがあります。
間接的受益者まで含めると、特別受益者か否かの判断が困難となり、かえって紛争を増加させかねないことを考えると、原則として間接的受益は特別受益と解すべきではないと思われます。しかし、実質的には、上記審判例の事案のごとく実質的に見て直接受益と同視し得る事案もあり得るので、かかるときに、例外的に持戻義務を肯定すれば足りることと思われわす。
以上、『特別受益③』についてご紹介させていただきました。
次回は、『特別受益④』についてご紹介させていただきます
- 記事投稿者情報 ≫ 荒木不動産コンサルティングFP事務所プロフィール
- この記事へ ≫ お問い合わせ
- この記事のタグ ≫
Category: General
Posted by: arakisouzoku