今日の日本経済新聞WEB版に、福井県の日本酒メーカーが海外での売り込みに成功して業績を伸ばしている記事が掲載されていました。

海外への営業を強化するのみでなく、同じ醸造酒であるワインの深い香りや口当たりの良さを意識して改良を重ねてきたようです。

その日本酒メ―カーは福井県鯖江市にある『加藤吉平商店』という会社で、『梵(ぼん)』というブランドで販売展開しているようです。

この会社は、JP鯖江駅から車で約15分にある武家屋敷の残る一角に酒蔵があります。

この酒蔵には、香港や米国の有名シェフやソムリエ、バイヤーなどが、日本酒の酒造りの体験に訪れているようです。

この会社の海外への営業は、代理店任せにはしていないようです。

加藤代表が、自ら出向き、営業展開しているようです。

その数は、実に、年間40回以上は渡航しているとのことです。

世界のお酒のうちに、日本酒のシェアは1%にも満たないそうです。

無限大ともいえる市場に早期に乗り込むことにより、日本酒=梵のイメージの構築も狙っているようです。

現在、米国に営業拠点が2か所あるそうですが、今春までには欧州に3か所の営業拠点を設ける予定でいるようです。

単に、売り込むだけでなく、チーズやオリーブオイルにも相性のいい日本酒をよりおいしく楽しんで頂くために、冷蔵保存を奨めたりと「飲食店や販売店のスタッフへの啓蒙活動」を地道に行っているようです。

ワインを意識した日本酒造りに取り組み、国際酒祭り等の品評会にも出品しているそうです。

1998年、カナダ・トロントで開催された国際酒祭りで「梵・氷山」が第1位グランプリを受賞したのを皮切りに、全米日本酒歓評会やインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)など品評会で次々と賞を獲得したそうです。

海外販売への道が開け、世界の公式行事の晩さん酒として採用されるようになりました。

2000年に英ロンドンで開催された国際酒祭りで第1位グランプリ酒となった「梵・日本の翼」は、0度で2年間熟成した純米大吟醸酒です。

口当たりが柔らかく、後味の切れの良さが評価され、日本政府専用機の機内酒になっているそうです。

そして、酒蔵には10年以上の経験を積んだ杜氏(とうじ)さんは、いないそうです。

その代わりに温湿度センサーのほか、気泡を使った洗米機、もろみの対流を制御できる仕込みタンクなど自社開発した機器で製造しているそうです。

杜氏さんの勘や経験を数値化することによって高品質の味の再現を可能にしたそうです。

完璧なレシピを用意して、機械で再現しているというところでしょうか・・・

従来の製造方法に拘らない・・・

ワインを意識した味わいへの改良・・・

代理店に頼らない海外営業・・・

などなど・・・

新しい視点で、新規開拓を行えたことに感嘆しました・・・

日本の良質なお米をつかった、何か、いい産業が産まれてくれば・・・

素晴らしいことと思います。



本日は、『相続財産の範囲と評価⑧』についてを、お話させて頂きます。

1、管理費用

、管理費用について
遺産の管理費用については、民法885条1項本文において『相続財産に関する費用は、その財産の中から、これを支弁する』としているので、相続財産によって清算されるものです。しかし、この清算は、遺産分割手続内で行うのか、分割手続とは別の民事訴訟で行うのかが問題となります。
これにつきましては、『相続債務は各相続人がその相続分に応じて負担すべきものであり、仮に相続人の1人が他の相続人のために相続債務又は相続財産の管理費用を立替払いをしたとしても、その償還請求権は遺産分割とは別途に行使すべきである。』として、消極に解する裁判例もありました。しかし、『相続財産の管理に必要な費用は相続財産から支弁すべきものであるから、分割すべき相続財産およびその収益の額を算定するに当たっては、当然右のような管理費用を控除すべきである』として、遺産分割手続内での清算を積極に解する見解が実務の主流となります。ただし、何らかの事情により管理費用のみが残されたときは、他の共同相続人に対し、民事訴訟手続によりその相続分に応じて請求する以外はありません
遺産の管理費用には、保存に必要な費用すなわち必要費が含まれることに争いはありませんが、利用・改良に必要な費用すなわち有益費、公租公課、相続債務の弁済費用等が含まれるかについては争いがあります。

.有益費
①積極例  相続人が建物につき保存のために支出した必要経費及び有益費については、同人が相続開始後から現在まで建物を使用したその賃借料と差し引きと認めるのが相当であるとの審判例があります。
②消極例  遺産分割のための相続財産の評価は、分割時を基準とすべく、そのときまでに加えられた遺産に対する改良費は、分割によりその物を取得する相続人に対し、遺産分割手続外にて償還請求し得るから、分割裁判において考慮する必要はないとの裁判例があります。

.公租公課
①積極例  遺産たる土地建物の一部を管理するにつき支出した固定資産税は、相続財産に関する費用として、相続財産から支弁すべきものであるとの裁判例があります。
②消極例  遺産に関する固定資産税については、相続人間で遺産分割審判とは別個に清算すべきであるとの裁判例があります。

.相続税
①積極例  相続人の一人が立替払いした相続税につき、相続人全員が、遺産分割における清算を希望しているときに、遺産分割手続内での清算を求めた審判例があります。
②消極例  相続税は、各共同相続人が遺産分割によって取得した具体的相続分に応じて、各相続人が負担すべきもので、遺産分割手続において清算すべきものではないとする審判例があります。

.相続債務の弁済費用
①消極例  相続人の一部の者が、遺産分割前に被相続人の債務を弁済したような場合には、その債務並びに弁済がいずれも正当と認められる限り、相続財産に関する費用と同様、遺産分割手続中で清算するのが相当であるとの裁判例があります。
②積極例  他の共同相続人のために相続債務の立替弁済をしたとしても、その償還は通常の民事訴訟手続きによるべきで、遺産分割の審判事件において求めることはできないとの裁判例があります。

以上、『相続財産の範囲と評価⑧』について、お話させていただきました。

次回は、『相続財産の範囲と評価⑨』について、お話させていただきます。