今日の読売新聞に、某メガバンク系大手信託銀行が不動産や相続などの専門知識の豊富な『財務コンサルタント』を3割増員して各支店に配置する予定と掲載されていました。

来年1月に発表される予定の税制改正大綱に、相続税の基礎控除額の減額(現状の40%を減額)が盛り込まれる予定といわれています。

相続税の基礎控除額減額をにらんでの増員プランでしょうか・・・・

都心部やその近郊においては、戸建住宅を所有しているだけでも、相続税の対象となりかねません・・・

相続税はかかるのか・・・かかるとしたらいくら位か・・・どうやって納めるか・・・

いままで、相続税には縁がないと思いこんでいると、とんでもない落とし穴がまっているかもしれません。

その落とし穴とは、税務上の特例をつかった場合に相続税が0円となる場合です。

その一番いい例が、小規模住宅用地の特例です。

たとえば、居住の用に供している家屋が建っていた敷地は、240㎡までは評価額の80%が減額されます・

もっとも、その特例を使う相続人がその家に一緒に同居していなければ使えないと言ったような細かい要件はあるのですが・・・そのような細かい要件には要注意です・・・

この小規模住宅用地の特例は、相続税の申告書を提出して、初めて使えることとなります。

逆にいうと、相続税の申告書を提出しなければ、相続税が発生することとなります。

このように、税務上、気をつけなければいけないのは、申告書を提出すれば税金は0円、申告書を提出しなければ税金が発生・・・というような事が起こりうるからです。

大手信託銀行で相続や不動産の専門知識に豊富な人材を登用し、リテール(個人向け)部門の強化に乗り出すのは、そんな相続の相談の需要を見込んでのことでしょうか・・・

相続税がかかりそうだとなった時に・・・どうするか・・・

納税の準備をしなければなりません・・・

子どもは遠方に就職し戻ってこない可能性が高い・・・たとえば、金融緩和の影響で相場が上がった時に自宅を売り抜いて・・・手頃な広さの中古マンションに買い替えて資金を捻出する・・・という方法も考えられます。

子供が同居している・・・小規模住宅用地の特例を利用しても相続税がかかりそう・・・まだ60歳等であれば・・・終身保険等で準備する、もしくは資産運用で備える・・・

等々、相続に関わって・・・あらゆるビジネスに繋がっていきそうです。

もっとも、信託銀行という器があってこそのものだと思いますが・・・

いずれにしても、某大手信託銀行の動きは、来年からの動きを予感させるものでしょうか・・・


本日は、『遺産分割協議の分割方法』についてを、お話させていただきます。

1.概要

遺産を具体的に分割する方法には、現物分割、代償分割、換価分割の方法があります。
それぞれの特徴は次の通りとなります。

(1)現物分割

①遺産をあるがままの姿で分割する方法で、分割の原則的方法となります。
例えば
『AにはA土地を、BにはB土地を、CにはC土地を取得させる。』
『Aには土地を、Bには株式を、Cには現金を取得させる。』
『本件土地は、ABCが各自3分の1の持分をもって共有取得する。』
というような分割方法などです。

②もっとも、実際の分割に際しては具体的相続分と完全に一致する分割はほとんど不可能ですから、ある程度の差は認容され、場合によっては金銭による調整など後述の代償分割の要素を含むことになります。

③現物分割の場合には、遺産の評価が必要になります。
現金や預金のように、金額が明らかなものは特に問題はありませんが、不動産や骨とう品、美術品等の高価な動産類、あるいは温泉権などの特殊な権利などについては不動産鑑定士などの鑑定評価が必要となります。

④最近の都市部において問題となる事例としましては借地権の現物分割があります。借地権を一人の相続人に帰属させる、あるいは数人で準共有の関係をもって取得する場合は問題ありませんが、数人で借地を細分化することは地主の不利益になることから地主の承諾なしには許されないと考えるべきです。

⑤実際の調停、審判では、約70%が現物分割(簡易な金銭調整を含みます。)で終了しているようです。

本日は、『遺産分割協議の分割方法』についてをお話させていただきました。

次回は、『代償分割』についてを、お話させていただきます。