お酒はでんぷんを麹菌で糖にかえ、イースト菌を加えるとできる。
しかし、昔はなぜ米がアルコールに変わるのか不思議で神秘的なことと思われていた。
また、それぞれの家に独特の酒の作り方があり、それを自慢にもしていた。
お酒に限らず、漬物や味噌も各家庭で作っていて、その独自の味をおふくろの味と呼んでいた。


自分の家で心を込めてつくったお酒は呑むと非日常的な気分となることが神秘的だということで、それが心を贈ることとなり、これが贈答品の基本であった。
また、贈るだけでなく、相手と一緒に飲む場合もある。
結婚式の杯事、親分子分の杯などお酒は誓約の意味でも使われる。
これは、共食習俗で一つのつぼに入ったお酒や同じ杯のお酒を呑み交わすことは血縁、親戚関係になるという意識がはたらく。


日本人は人間関係づくりにお酒呑む。あいさつの最後も『今度呑もうか?』で終わる。
お酒とは切っても切れない関係なのである。
しかし、お酒が苦手な人もいる。私の身近にも全く呑めない人が何人かいるが、その人達は共通して人付き合いが上手である。お酒が呑めなくて困らないようだ。
お酒好きは、きっとコミュニケーション能力の不足をお酒で補っているのかもしれない。