2011年度税制改正大綱の一つで退職金の税額控除の廃止があります。

退職金にかかる住民税の10%を差し引ける税額控除を廃止する。というものです。
これは2012年1月以降に受け取る退職金から適用されるそうです。
2000万の退職金をもらうと約20000円の住民税控除が受けられたのですが、これがなくなるというものです。

また在職期間が短い会社役員が受け取る役員退職手当も実質増税になります。

これまでは退職所得控除というのは下記のようになっていました。

まず公式

1.役員在籍年数が20年以下の場合

40×在籍年数=退職控除額

2.役員在籍年数が20年以上の場合

800万円+70万×(在籍年数ー20)=退職控除額

【例】

役員として30年間在籍して、3000万円の退職金を受け取ったときの課税所得金額の計算は以下の通りになります。

ちなみに課税所得金額とはもろもろ控除した後の金額で、課税所得金額に税率をかけた金額がみなさんの所得税だと考えてください。

前述2.のケースに数値を入れると

800万+70万×(30-20)=1500万円

1500万円の控除が受けられるので、

3000万円ー1500万円=1500万円

退職金として受け取ったときはさらに半分にできるので、

1500万×0.5=750万円

この750万円に所得税がかかる(課税所得金額になる)という仕組みになっています。

【要するに】

退職金は給与として受け取るよりも、退職金として受け取ったほうが控除される金額も大きいしさらに半分にできる(0.5をかけた部分)ので、有利なんです。

ところが、やはり世の中にはうまく使う人がいるもので・・
公務員OBなどが短期間で再就職を何度も繰り返して何度も退職金を受け取るという「渡り」という行為が頻繁に行われているケースがあるようなのです。。

また企業内でも短期間だけ在籍する予定の役員報酬を抑えて、退職金を多く支給することで税負担を回避している事例もあります。

ですので来年度の改正では在籍期間が5年以下の会社役員、国や地方の議員や公務員については控除については受けられますが、0.5を最後にかける部分は廃止する方向になりました。

過度な制度の活用はやっぱりメスが入るようです・・

北海道札幌市のファイナンシャルプランナー(FP)金子賢司
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