2012年 12月の記事一覧

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12年12月03日 20時51分39秒
Posted by: arakisouzoku
本日は『みなし相続財産の種別』について、お話させていただきます。

1・みなし相続財産には、具体的には次のようなものがあります。

①生命保険金等
被相続人が保険料を負担していた生命保険金を、被相続人の死亡により相続人またはそれ以外の者が取得した場合には、前者の場合は相続により、後者(相続人以外の者が取得)の場合は遺贈により取得したものとみなされます。偶然な事故に基因する死亡に伴い受け取る損害保険契約に基づく保険金も同様です。
この場合、相続とみなされる(受取人が相続人)か、遺贈とみなされる(それ以外)かは大きな差が生じます。後者では、『法定相続人1人当たり500万円』の非課税規定が受けられないからです。
なお保険金の受け取りの際には、通常割戻し金または前納保険料等を受け取りますが、これらもみなし相続財産としての受取保険金に含むものして取り扱います。逆に契約者貸付金や未払保険料として保険金から控除されたものがある場合にも、原則として控除後の金額を受取保険金として取り扱います。

②死亡退職金
被相続人の死亡に基因して、相続人等が被相続人に支給されるべきであった退職金を受け取った場合(死亡後3以内に支給が確定したものに限る)、この退職金も相続財産であるとみなされます。
なお、相続人が支給を受けた場合に限って相続とみなされ、『法定相続人1人当たり500万円』の非課税規定を受けられる点は、死亡保険金の場合と全く同じです。この場合、退職金の支給を受けるべき者とは、
 ・まず退職給与規定等に定めのある場合は、その規定のとおりとする(通常、大企業や役所では配偶者と定められているようです。)
 ・規定がない場合には、実際に取得した者(相続人全員で取得者を決めた場合はその者)とする。
とされています。要するに、規定がある場合にはそれに従い、ない場合は基本的には相続人等の任意ということになりましょう。

③生命保険契約に関する権利
被相続人が子供や孫を被保険者とする生命保険契約(掛捨保険を除く)に関する保険料を支払っていた場合に相続が発生した場合には、生命保険契約の権利が相続財産として次のとおりカウントされます。
まず子や孫という若い人を被保険者とした場合に支払った保険料は、(被保険者は滅多に死亡しないため)いわば預金のようなものです。この場合、保険契約者が預金者の地位にあります。つまり、契約者がこの預金(保険)を解約すれば払い込んだ保険料全額程度を手にすることができるのです。
このように被相続人が保険料を支払っていた場合には、保険契約者には『生命保険契約の権利』として相続財産に計上される事となります。
さて、被相続人が保険料を払っているということは、通常はその被相続人が保険契約者であろうと思われます。その場合には、この生命保険契約の権利は本来の(うまり民法上も)相続財産となります。但し、稀に被相続人と別の人が、保険契約者である場合があります。この場合には(民法上は、この権利は保険契約者に帰属することになりますが)これを相続財産とみなすわけです。

④定期金に関する権利等
郵便年金契約等の定期金給付契約で被相続人がその掛金(保険料)を負担し、かつ被相続人以外の者が契約者あるもの、についても上記③と同様の理由からみなし相続財産となります。

以上、『みなし相続財産の種別』につきましてお話させていただきました。

次回は『非課税財産』に関してのお話をさせていただきます。

12年12月03日 20時49分47秒
Posted by: arakisouzoku
『相続財産』

(1)納税義務者
相続税の納税義務者は、相続または遺贈(死因贈与を含む、以下同じ)により財産を取得した個人です。

納税義務者は、無制限納税義務者と制限納税義務者に区分されます。前者は、相続等により財産を取得した時の住所地が日本国内にある者であり、後者は日本国内にない者(期間が1年以上と見込まれる海外勤務者等)をいいます(この場合被相続人の住所地は無関係です)。

制限納税義務者は、相続財産のうち日本国内にある財産についてのみ相続税が課されます。一方、無制限納税義務者に対してはそのような制限はなく、全世界にある遺産が課税対象となります。

(2)本来の相続財産
相続開始に際しては、被相続人に属していた一切の権利義務(一身専属権を除く)が、相続人に相続されます。この相続財産が課税対象とされるわけですが、これは具体的には、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいうものと解されています。すなわち不動産や金融資産に限らず、理屈の上では庭木庭石の一本一個に至るまで課税対象となるのです。

具体的には、物件、質権、無体財産権から電話加入権や営業権等、経済価値が認められるものすべて(あくまで経済的価値のあるものに限られます)となります。ただし質権、抵当権等は独立した財産ではないため課税の対象外です。

(3)みなし相続財産
生命保険契約においては、被相続人を被保険者とし、保険金受取人を配偶者や子とする契約を、被相続人自身が契約(当然保険料も被相続人が負担)する場合が多いものと思われます。この場合で被相続人が死去すれば、当然保険金受取人(たとえば配偶者とする)に保険金(1,000万円とする)が支払われます。

この死亡保険金1,000万円は、民法上は相続財産ではなく、配偶者固有の財産と考えられます。つまり1,000万円は、配偶者が保険金受取人という立場でしたものであって、遺産として相続したものではない、というわけなのです。(ただしこの場合にも民法上は、特別受益として遺産に払戻すべき、と考えられているようです)。

しかし相続税法は、このような死亡保険金は事実上相続財産と同様の効果があるとして、相続財産とみなして相続税の課税対象としています。(契約形態によって相続税が課されない場合には、死亡保険金の受取人には所得税等が課されるものと思われます)。

したがって、このようなみなし相続財産は民法上は遺産でないため、原則として遺産分割の対象とすべきではありません。さらに、不用意に遺産分割協議書に本来の保険金受取人以外の者を取得者として記載すると、贈与の問題が生じかねませんので注意が必要です。

以上、『相続財産』についての簡単なお話をさせていただきました。

次回は、『みなし相続財産の種別』と『非課税財産』についてのお話をさせていただきます。
12年12月03日 20時47分06秒
Posted by: arakisouzoku
1・遺言の要式性
遺言は死後に効力が生じるため、その真実生や内容が問題になっても遺言者に確認することができません。したがって遺言者の真意を確保するために、遺言には一定の方式が要求されています。
その意味から遺言の形式は、次の3種類に限定されています。(これ以外にも死亡応急者の遺言等の特別の方式が4種類定められています。)

①自筆証書遺言
これは遺言者が、その全文、日付および氏名を自書したうえで、これに印を押さなければなりません。さらに遺言者の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示しこれを変更した旨を付記したうえで、これに署名押印しなければその効力が生じないこととされています。
留意点は、全文を自書することです(ワープロなどは不可)。日付は、複数の遺言が存在した場合の優先を判定する意味にも重要です。押印は実印である必要はありません。
自筆証書遺言は、3種の方式のうち最も簡単な方法です。とにかく上記の指示のとおりに書くだけでできてしまします(書き誤りの訂正方法は多少やっかいです。謝ったら書き直せばいいのです。なお、遺言書は特に密封する必要もありません)。他の方法が面倒であれば、この方法で十分であろうと思われます。ただし紛失や変造等のおそれがないわけではないことや、保管方法にも工夫を要することにもなりましょう。

②公正証書遺言
公正証書遺言は、交渉役場の公証人に遺言書を作成してもらう方法です。
多少手間がかかることと費用(相続財産に応じて10~30万円位?)を要することが欠点といえましょう。さらに2人の証人も必要となります。
しかし紛失や隠匿のおそれが全くなく、秘密の確保は十分。相続発生時においても家庭裁判所の検認を受ける必要はなく、遺言内容の効力についても全く心配ありません。要するに百パーセント確実な遺言を残そうとするのであれば、公正証書遺言に限るのです。

③秘密証書遺言
この方式は、とにかく内容を一切誰にも知らせない状況で作成するためのものです(欠点が多く、実際にはほとんど利用されていないようです)。
したがって書面自体には方式はなく(ワープロも可)、ただこの遺言書に署名と押印したうえで、公証人と証人の立会いの下でこれを封入するのです。但し公証人等は遺言内容をチェックしているわけでなく、不明確な内容である場合等後日の紛争が気がかりとなります。また遺言書の保管も公証人が行うわけではありません。

2・遺言の効力
遺言は遺言者の意思表示のみで成立する単独行動です。一般の契約のように相手側の承諾は一切不要なのです。さらに遺言の効力は、遺言作成(意思表示)の時ではなく、遺言者の死亡の時に初めて生じます。この点も一般の契約と異なる点といえましょう。
遺言により財産を贈与することを遺贈といいます。遺贈によく似たものとして死因贈与があります。死因贈与とは『死んだら贈与する』という約束です。贈与者の死亡により効力を生じる点は遺贈と同じですが、死因贈与はあくまで契約(双方の意思の合致)であり、受贈者側の承諾を必要とするのです。

ただし、相続税法では死因贈与を遺贈とみなす、と定めています。要するに両者を同一視して取り扱うのです。

さてご承知のように遺言者は、いつでもその遺言を取り消すことができます。実際に遺言書を破棄してもいいし、新たに遺言書を作成してもかまいません。日付の古い遺言書で新しいものと抵触する部分は取り消されたものとみなされるからです。
遺言書の保管については、民法には何の規定もありません。遺言者が自らの責任で保管するわけです。保管者としては遺言によって守られているであろう配偶者等が多いようですが、友人や弁護士である場合、さらには貸金庫に置いておく等、多岐にわたるようです。いずれにしても内容が漏れたり、破棄や隠匿されないような工夫が必要となります。

3・遺言の執行
一般に遺言の内容を実現することを、遺言の執行といいます。
まず、その準備行為として、遺言書を家庭裁判所へ提出して、その検認を受けなければなりません。検認は、遺言者が真に遺言者の作成したものであるかどうかを確かめ、その保存を確実にするために行われる一種の証拠保全手続きとされています。したがって、これらを要しない公正証書遺言には、検認手続は不要です。

ただし、検認は遺言者の正当を立証するわけではありません。検認を経ていないからといって、遺言が無効になるわけでもありません。しかしその一方で、検認を受けていない遺言書では、登記所が受け付けてくれないのも事実です。なお封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人(代理人)の立会いのもとで開封すべき旨定めらています。

遺言は一般に相続人間の利益が相反する場合が少なくありません。相続人に遺言の執行をさせることは適当でない場合が少なからずあるのです。さらに遺産の内容によっては、その執行や処理に専門的な知識を必要とする場合もありましょう。
したがって、このようなケースでは、遺言で適任者を遺言執行人に指定しておくことが適当かと思われます。遺言執行人とは、いわば遺言者の代理人の立場で遺言の内容を実現していくべき人です。

実際にも少なからぬ遺言で、これが指定されているようです。

なお、遺言による受贈者が法定相続人ではない場合には、不動産の相続登記に際して法定相続人(登記義務者)の実印が必要となります。しかし遺言執行人が指定されていれば、この印は不要です(公正証書遺言も同様)。このような場合には、必ず遺言執行人を指定しておくべきといえましょう。

以上、民本の規定による『遺言』について、お話させていただきました。

次回は、『相続財産』の事についてお話させていただきます。
12年12月03日 20時44分16秒
Posted by: arakisouzoku
(1)遺産分割方法

分割協議の成立後に勘違い等で、分割協議書を作り直すこともあると思われます(中には協議書の書き間違いもあるでしょう)。むろん皆の合意の下で作り直せばいいのですが、大きな問題が一つあります。事実上税務署がこれを認めようとしないのです。つまり「それは分割のやり直しではなく贈与だ」というのです。税務署側にしてみれば、これを認めたら一般の贈与すら皆「遺産分割の修正」と逃げられてしまうのではないか、と考えるのです。ですから、一度税務署に提出したもの等は、訂正が効かない(民法に「錯誤は無効」の規定があるとしても、国税側にこれを立証することは困難でしょう)と思っていただきたいのです。

民法は、遺産分割の方法として、現物分割、代償分割、換価分割、共有とする分割の4種類を定めています。内容は読んで字のごとしで、現物分割とは、遺産を現物のまま分割する方法で、換価分割とは、共同相続人が遺産の全部又は一部を金銭に換価し、その代金を分割する方法ですが、このうち代償分割が実務上極めて大切です。

代償分割とは、ある相続人が特定の遺産を相続する代償にその相続人がその固有資産(通常金銭)を他の相続人に支払う、というものです。たとえば、遺産は長男が同居している自宅のみで他に何もない場合に、長男がこの自宅を単独で相続する代わりに、他の相続人に対して長男がたとえば1,000万円を支払う、といったケースです。
これは一見遺産の売買のように思えますが、民法が遺産分割として定めている以上、売買ではないのです。使い方次第では、代償分割は相続対策や節税対策にかなり有効となります。

相続人の中には、諸般の事情からあえて遺産の取得を希望しない人もいます。その意思を表すために先の家庭裁判所に相続放棄の手続きをするケースもあるそうです。
しかし何もそんな面倒なことをする必要はないように思います。要するに、当人に遺産の配分がないと記載されている遺産分割協議書に押印すればよいのです。実務上大半はこれにより事実上の相続放棄を行っています。(わずかではありますが、相続放棄を行うと相続税の取り扱い上で不利になることもあります。)

(2)特別受益と寄与分
相続人の中には、被相続人から婚姻や生計の資本等のために多額の生前贈与や遺贈(遺言による贈与)を受けていることもあります。これらの生前贈与や遺言を受けた相続人を特別受益者、受けた利益を特別受益といいます。
民法は相続の公平の見地から、具体的な相続を査定する(事実上の遺産分割)に当たっては、特別受益分を遺産に持戻した(加算した)ものを相続財産とみなしたうえで、決定すべきことを定めています。

なお、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は、遺産ではなく保険金受取人の固有資産と考えられています。したがって、死亡保険金は遺産分割の対象とはなりませんが、特別受益と同様の考え方から、分割に当たっては相続財産に持戻しすべきであるとされています。この点は死亡退職金も同様とされています。

一方相続人の中には、被相続人の事業に関する労務の提供や被相続人の療養看護等により、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした人がいる場合もあります。この場合には、その者の寄与分を加算した額を寄与者の相続分とする旨定められています。なお、長男の嫁等は相続人ではありませんから、寄与分の規定は適用できません。規定の対象者は相続人に限定されている点に留意して下さい。

以上の特別受益や寄与分についての規定は、実際の円満な遺産分割においては『私は親の面倒をみたのだから・・・』とか『私は既にこれだけもらっているのだから・・・』といった形で常識的な考え方として生かされています。具体的にこの規定がモノをいって来るのは、家庭裁判所における調停・審判の場であろうと思われます。

今回は『遺産分割方法』と『特別受益と寄与分』につきまして、お話させていただきました。
次回は、『遺言』に関する内容を、お話させていただきます。

12年12月03日 20時36分02秒
Posted by: arakisouzoku
【遺産分割】

(1)相続放棄等・・相続は自動承認の形をとっています。すなわち相続人は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続の放棄または限定承認をしない限り、相続を単純承認したことになります。単純承認(限定承認でないという意味)をした場合には、被相続人の権利義務を承認したことになります。
したがって、相続財産よりも相続債務の方が多い場合等には、上記の期間内に家庭裁判所に対して相続放棄の手続きを行うことができるわけです。
放棄した者は、初めから相続人でないものとされます。すると、次順位の者が相続人に浮上します。その結果、相続人が大借金を残したことことが明らかな場合には、第3順位までを含めた相続人が全員放棄の手続きをしないと、誰かがとんでもない貧乏くじを引くことになりますから、注意が必要です。

(2)遺産分割・・遺産を配分する方法には優先順位があります。まず遺言があればこれに従います。
2番目、遺言がなければ相続人全員で協議して決めます。(法定相続分は参考程度)。この協議が整わなければ家庭裁判所に持ち込んで調停や審判に委ねます。この場合の判断の基準は法定相続分となります。
上記の2番目が遺産分割です。一般の相続の7~8割以上がこれによっているものと思われます。(遺言はまだ少数派です。)なお遺言があっても、法定相続人や受遺者の全員が、これ以外の配分の方法による遺産分割に合意した場合には、実務上それが認められています。民法等のどこにもそのような規定はないのですが、「無理に遺言を強制してもしかたない」ということのようです。(税法もOK)。
分割協議が成立すれば、通常は遺産分割協議書にその内容を記載して相続人全員が署(記)名捺印します。逆に1人でも反対者がいれば、協議分割は不成立となります。この場合は家庭裁判所での調停、審判となります。こうなると家族の絆にひびが入ってしまいます。このようなことが予想される場合には、あらかじめ遺言を書いておくべきでしょう。なお相続税の申告の際には必ず税務署に提出します。また不動産を相続登記する場合には、遺産分割協議書が登記原因証書になるため、実印の押印が必要となります。

以上、今回は民法の『遺産分割』についてお話させていただきました。

相続が発生した時に、相続税が生じる、生じないに関わらず、相続人の円満な遺産分割が最重要と考えます。
したがいまして、円満な遺産分割のための対策が相続発生前の相続対策の最優先事項と考えます。

それには、先ず、ご所有財産、特に不動産の棚卸調査(財産診断)を基にした財産の現状分析を行う事が大切です。ご所有の不動産の内には、駅前の事業に適した土地もあれば、優良な住宅団地の中で住宅には申し分ないですが事業(アパート他)には適さない土地や調整区域で売却や活用に制限がかかる土地など、多種多彩な特徴があります。納税が発生する時には、納税用の資金の準備をどうするのか?納税資金の方法の見通しがたったら、各相続人への分割をどの様に配分するのかの検討が必要となります。相続が発生してから、ご所有財産を見直すのではなく、あらかじめ、現状分析を行った上で、納税方法、分割方法、、節税方法、や保険の活用等を検討しておく事が重要となります。

次回は、民法の規定の『遺産分割方法』についてお話させていただきます。

不動産調査に基づく現状分析に興味のある方は、お電話かメール、若しくはホームページ内の『お問い合わせ』から、お気軽にご相談ください。
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12年12月03日 20時33分05秒
Posted by: arakisouzoku
今回は、前回の続きとしまして相続人としての養子の要件と相続分についてお話させて頂きます。

①養子について
養子は人為的につくられた親子関係です。養子関係は、婚姻と同様に役所への所定の届出により行う縁組によりその効力が発生します。
養子縁組の効果は、縁組の日から養子が養親嫡出子たる身分を取得することとなることです。したがって養親子は、相互に相続権および親族的扶養義務を負います。同時に、養子と養親の血族との間にも親族関係が発生します。さらに養子は養親の氏を称しなければなりません(しかし多くの既婚者である女性のように、結婚により氏が改まった者はその必要はありません。)
但し、次のような要件を満たしていないと、縁組は不成立(無効)になります。
・縁組の意思が合致していること(単なる方便のみでは不可)。
・養親となる者は成年に達しており、かつ養子より年長であること。
・直系卑属でない未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所の許可を得ること。
・配偶者のある者が未成年者を養子にする場合は、原則として夫婦が共同して縁組すること。
・配偶者のある者が養子になる場合には、他の配偶者の同意を得ること。
養子縁組の当事者は、協議離婚と同じように、話し合いで離縁することができます。離縁がなされれば、ほぼ従前の関係に戻ります。
なお上記で説明しました『普通養子』の他に、総和62年の民法の改正により『特別養子』制度が創設されています。一言でいえば、実親が育てることのできない赤ん坊を、全くの実子同様に育てようとする人が養子にするためのものです。
したがって、養子は6歳未満の幼児であること、縁組により実親等との法律上の関係は消滅すること、離縁は許さないこと等が原則規定とされています。さらに、戸籍上も一見しただけでは養子であることが分からない措置がとられています。

②相続分
相続分とは、相続財産に対する配分の割合をいいます。
民法は以下のとおり相続分を定めています。これを『法定相続分』といいます。(なお遺言で相続分が指定されているものを『指定相続分』といいます。)ただし、相続人の意見の一致により遺産分割協議が整うのであれば、法定相続分に拘束される必要は全くありません。現実にはほとんどの場合、遺産分割協議書の作成等により、自由な割合で遺産を分割しています。
①配偶者と子(第1順位)が相続人である場合は、相続分は各2分の1
②配偶者と直系尊属(第2順位)が相続人である場合は、配偶者の相続分が3分の2、直系尊属が3分の1。
③配偶者および兄弟姉妹(第3順位)が相続人である場合には、配偶者の相続分が4分の3、兄弟姉妹は4分の1
④子、直系尊属または兄弟姉妹が複数いる場合には、各自の相続分は(年齢、性別にかかわらず)等しいものとする。
⑤ただし、非嫡出子は嫡出子(婚姻関係にある男女間にに出生した子)の法定相続分の2分の1とし、父母の一方のみの兄弟姉妹(半血兄弟)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
⑥代襲相続人の相続分の合計は、非代襲者(死亡していた相続人等)の受けるべきであった相続分と同じ割合とする。

以上、『養子』と『相続分』についてお話させていただきました。

なお、相続が発生した場合には、先ず、相続人の確定が必要となります。
相続人の確定には被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの全戸籍を集める必要があります。
全戸籍には、除籍(戸籍記載の全員が結婚・死亡・転籍などでいなくなった戸籍)や改製原戸籍(法改正で様式が改められる前の古い戸籍)も含まれます。これは法定相続人の中でも第1順位となる子を確定するためです。離婚した前妻との間に子がいたり、隠し子を認知していたりすれば、現戸籍には記載がなくても、必ず過去の戸籍をさかのぼれば確認が出来るからです。
他にも、預貯金や株式、不動産などの名義書き換えのたびに、金融機関などの手続き先への提出が求められます。
複雑なケースでは、必要なすべての戸籍を取得するのに1カ月以上かかることもありますので、早め早めの対応をお奨めいたします。

次回は『遺産分割』についてのお話をさせていただきます。

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12年12月03日 20時13分53秒
Posted by: arakisouzoku
今回は、相続に関する民法の規定の内、相続人についてお話させていただきます。

①相続とは、被相続人(死者)が生前に持っていた財産上の権利義務を、他の者が包括的に承継することとされています。相続が発生すると、相続人は被相続人の財産に属していた一切の権利義務(一身に専属していたものを除く。)を、包括的に承継します。その期間、遺産は、法定相続分の割合で共同相続人間で共有します。その後、通常は遺産分割によりこれを各相続人に具体的に分割することになります。遺産分割を行うと、分割した遺産は相続開始の時にさかのぼって、各相続人の単独所有に移ります。

②相続人:民法は、相続人を配偶者と血族相続人と定めています。血族とは、血の続いた親族をいいますが、養子は血族としての地位を保ち、実子と同様に取り扱われます。相続人となる血族は、直系卑属(子、孫、ひ孫等)、直系尊属(親、祖父母、曽曽父母等)、並びに兄弟姉妹の3種類からなり、この血族相続人には次の相続順位があります。
まず第1順位が子(代襲者を含みます。)です。第1順位が全くいない場合に第2順位の直系尊属(まず親、親がいないときは祖父母というように親等の近い順)が相続人となります。第1順位、第2順位とも誰もいないときに、第3順位の兄弟姉妹(代襲者を含みます。)が相続人となります。

被相続人の配偶者(婚姻届の出されている法律上の夫、または妻を言う。)は、各血族相続人と並んで、常に相続人となります。
但し、以上の法定相続人であっても、次の場合は相続人となることは、出来なくなります。

『相続欠格』・・故意に被相続人や先・同順位の相続人を殺害する等により処刑された者、詐欺・脅迫により遺言の偽造や隠匿をした者、これらの者は法律上当然に相続人の資格を失います。

『排除』・・推定相続人(被相続人が死亡した場合に相続人となりうる者)が、被相続人を虐待する等の著しい非行があった場合には、被相続人が推定相続人の排除を家庭裁判所に請求し、裁判所が排除を審判により決定すれば、その推定相続人は相続権を失います。
ところで、本来法定相続人であった子や兄弟姉妹が、相続開始前に死亡していた場合には、これらの子が相続人となります。これを代襲相続人といいます(但し兄弟姉妹の代襲相続は子の一代限りとなります)。代襲相続は本来の相続人が亡くなっていた場合の他、上記の相続欠格や排除により相続権を失った場合にも成立しますが、相続放棄をした場合には該当しません。

なお、先の法定相続人が誰もいないときは、最終的には国庫に帰属することとなります。具体的には、まず相続財産を法人としたうえで相続財産管理人にその管理・精算を委ねます。その後相続人捜索人の広告をしたうえで相続人の不存在を確定します。その上で、被相続人の特別縁故者(内縁の妻など被相続人と生計を一にしていた者や療養看護に努めた者等)の請求があった場合に、裁判所がこれらの者に一部又は全部を分与し、残ったものが国のものになります。

今回は以上、民法の相続人についてお話させていただきました。

次回は、今回の続きで『養子』と『相続分』についてお話させていただきます。

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12年12月03日 20時10分57秒
Posted by: arakisouzoku
本日は、相続財産がいくらあると相続税がかかってきそうなのか、おおよそのお話をしたいと思います。

2000年から2007年の8年間で、毎年、お亡くなりになられた方の中で、相続税が発生しているケースは約4~5%程度です。

相続税には基礎控除がありまして5,000万円+1,000万円×法定相続人の数までは、非課税となります。

仮にお父様がなくなり、法定相続人がお母様と2人の子供の場合は、8,000万円までは相続税がかからないという事になります。
相続財産の中で不動産の評価は、土地に関しましては路線価の付されている地域の土地に関しましては路線価価格に土地の形状その他の要因による増減率(角地・不整形地・奥行長大地など)を乗じたうえで土地の面積を乗じて算出します。

又、路線価の付されていない地域は固定資産税の評価額に地域ごとに定めらています倍率を乗じて算出します。(路線価と倍率表は国税庁ホームページでご欄いただけます。)
一般的に、路線価は実勢相場より多少、低い価格となっておりますので不動産の相続税評価は売買金額のおおよそ7~8割程度(地域と時勢によってかなり異なりますが・・)となることも多いです。

つまり、法定相続人が2~4人程度の場合、全相続財産が1億円を超えるか否かが相続税がかかってくるかどうかのおおよその目安となります。
ただし、法定相続人の数にもよりますし、財産の種類によって評価方法が異なってまいりますので注意をする必要があります。

他、借入金等の債務があれば債務控除として差し引きますし、基礎控除以外にも土地に関しましては小規模宅地の特例(事業の用に供している土地で400㎡まで80%減、住居に供している土地で240㎡まで80%減、アパート等の用に供している土地で200㎡まで50%減、尚、小規模宅地等の特例の適用可否は詳細の要件の確認が必要となります。)がありますし、他にも配偶者税額軽減の特例などさまざまな特例がありますので、1億円を超えても相続税がかからない可能性もあります。

また、ご存知のように、相続税の基礎控除額が現状の60%、つまり、3000万円+600万円×法定相続人の数に減額する税制改正が話題になっています。
それにあわせて、死亡保険金の非課税枠の対象者が、単に相続人であれば適用された者が同居親族であるとか障害者や未成年者に限定されるという改正案も出ています。

このような相続増税時代にむけて、将来の相続税のご負担については、かなり、気になられる事と思います。

荒木不動産コンサルテイングFP事務所では、概算の相続税シミュレーションのご相談も対応させていただいております。

ご相談希望の方やご興味のある方は、先ずは、お電話かメールもしくはホームページ内の『お問い合わせ』のページよりお問い合わせください。

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12年12月03日 20時03分20秒
Posted by: arakisouzoku
相続が発生しますと各種手続きが必要となります。
死亡届の提出、電気、ガス、水道の名義変更、準確定申告の手続き等その他もろもろです。

今回は相続が発生した時の預貯金の手続きにつきまして概略のお話をさせていただきます。

預貯金の相続手続きにつきましては、金融機関により多少、異なりますが必要な書類としましては、預金通帳、依頼書(金融機関指定の書式があります)、戸籍謄本(相続人)、除籍謄本等(被相続人)、印鑑証明書(相続人)等の書類の他に、遺言書があれば遺言書若しくは遺言書が無ければ遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書などとなります。

依頼書は相続人全員の意思を示すものとなり依頼書に相続人全員の実印を押印し相続人全員の戸籍謄本(現戸籍のみで構いません)と遺産分割協議書をそろえてその証明となります。ただし、遺言書がある場合は相続人全員の実印などは不要となります。

書類の中で注意が必要なのが被相続人の除籍謄本等の取り寄せが大変な場合がある事です。
【除籍とは戸籍に記載された人が婚姻や死亡で全員、いなくなったり、他の市町村に転籍した場合の戸籍をいいます。相続手続き上は、被相続人の死亡直後の戸籍だけではなく、出生から死亡までの全戸籍が必要となります(結婚や離婚を繰り返している場合などは、過去の全戸籍がないと、法定相続人の子供全員の確認が出来ないからです)ので全戸籍の取得にかなり手間がかかる場合があります。】

被相続人の取引されていた金融機関ごとに必要な書類が微妙に異なったり、提出した書類を返却してくれる金融期間、返却してくれない金融機関とか、対応はまちまちとなりますので書類取り寄せの前に各金融機関に事前に電話などで、必要な書類や手続きの流れを確認される事をお奨めいたします。

相続手続きは、本当に手間がかかり相続人の方の負担が多いものと思います。

荒木不動産コンサルティングFP事務所では、分割協議や相続手続きのサポートも対応させて頂いております。

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