①急性膵炎で入院したSさんの場合

Sさんは仕事中に急に腹痛を感じ突然吐血。職場から病院へ直行になり診断の結果は急性膵炎で即入院となりました。部屋を選ぶ余裕もなく、病院から個室しか空いていないので、負担も気にしながらとにかく早く治したい気持ちで個室に入院しました。結果として、4泊5日の入院となり手術もあったために9万8000円の支払いになりました。貯金があまりないSさんには痛い出費になりました。次の給料日までの生活費も気になる日々でした。ただ、民間医療保険には職場で加入していましたが、日額5000円のタイプで入院25000円、手術50000円の合計75000円の給付があり実質負担は23000円でした。

②精神疾患(うつ病)で入院したNさんの場合

銀行に勤めるNさんは、人事異動で本部から営業店への移動があり、苦手な営業をすることになりました。その結果、うつ病を発病。自宅療養から入院することになりました。医者からは退院の目途はわからないといわれた中での入院でした。幸い大部屋が空いていたために個室料金の負担はありませんでした。はじめのうちは入院してゆっくりすれば早めの退院もできると軽く考えていました。医療保険の加入も日額5000円あるので、高額療養費制度を考えれば、毎月の自己負担は約10万円くらいですが、保険で賄えるので不安なく日々を過ごしていました。ところが2か月過ぎても病状が快方に向かわずに、保険の補填期間の60日を超えてしまいました。保険が切れると毎月の自己負担が10万円になりました。病気の内容が先の読めないものであり、職場復帰も不安になってきました。結果的にNさんは1年6か月の入院となりました。高額療養費制度により負担はある程度軽減されましたがそれでも数十万円の支払いを預金から切り崩したのでした。保険の役だったのは初めの2か月のみ、預金の切り崩しによるストレスは病気の再発を起こしかねない大きなものになりました。

以上はわたしのお客様の入院例からです。特に②の例は、入院患者はがんなどの悪性新生物によるものよりも精神疾患のほうが多いという事実を知る必要があります。(参考 悪性新生物による入院約129千人、精神疾患による入院約195千人、平成26年度患者調査による)

それでは、どんな医療保険が良かったのかを次回見ていきます。