今年の四月からスタートした「教育資金の一括贈与のかかる贈与税の非課税措置」その具体的な手続きの流れと、注意が必要なポイントをまとめてみました。
●[取扱い2か月半で、1000億円突破]
ことしの4月から取り扱いが始まった「教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」この制度を利用することで教育資金を一括で1500万円(学校等以外に支払う教育資金は500万円まで)、非課税で贈与することができるようになりました。
非課税となる贈与は①信託会社への信託②銀行等への預貯金の預け入れ③証券会社と腕の有価証券の購入のいずれかとされています。制度開始当初は信託銀行4行が「教育資金贈与信託」としていち早く商品を提供していましたが、取扱いからわずか2か月半で残高が1000億円を突破するほどの人気で、今は横浜銀行や千葉銀行などの地方銀行や三井住友銀行などの都市銀行のほか、マネックス証券などでも取り扱いを開始しています。
☆手続きの流れ☆
信託銀行の「教育資金贈与信託」を利用する場合は、まず贈与者である祖父母等が、贈与する教育資金を信託します。信託する日までに「教育資金非課税申告書」を口座開設を行った金融機関等の営業所を経由して、受贈者の納税地の税務署長に提出する必要があります(通常は口座開設と同日になります)銀行や証券会社の場合は、贈与が行われたひ(贈与契約日)から2か月以内に、子や孫名義の専用口座を開設して資金の預け入れを行い、同様に教育資金非課税申告書を金融機関経由で所轄税務署長に提出します。
手続き後は資金の管理は金融機関が行い、原則中途解約はできませんので注意が必要です。教育資金管理契約が終了するのは①贈与を受ける子や孫が30歳に達した時②残高がゼロになったとき③子や孫が死亡した時、となります。
★教育資金の払い出し
教育資金が必要になった時には、教育資金として支出したことを証明する領収証などの書類を金融機関に提出し払い戻し請求を行います(学校等への直接の振り込みが可能な金融機関も一部あります)
問題になるのは教育費として非課税になるものとならないものがあることに注意が必要です。
たとえば、学校等で使用する教科書代や修学旅行費であっても、業者に対して支払いがされる場合には1500万円までの非課税の対象とはなりません(学校教育に必要で、学校等が書面で保護者に業者を通じての購入を依頼している場合は500万円までは非課税の対象になります)そのた、海外留学をする場合の渡航費や下宿代なども原則非課税の対象となりませんので注意が必要です。教育資金として使いきれず残額がある場合は、その残額が契約終了日の属する年度に贈与があったとして課税対象になります。
もともと教育資金の贈与は従来から非課税扱いのため教育費が必要な都度必要な資金を贈与すれば課税されません。また年間110万円の基礎控除を使って贈与を行ったほうがよいケースもありますので上手に使い分けをすることも肝要です。