相続の事が少しずつ分かるいいお話⑭ 『贈与税①』について
投稿日時:2012年12月07日金曜日 09時56分06秒
ブログ投稿者:荒木不動産コンサルティングFP事務所 カテゴリー: 新しいカテゴリ1
本日は、『贈与税①』についてお話させていただきます。
1・贈与税とは
(1)相続税の補完税
贈与税は、相続税を補完するための税として設けられたものです、すなわち贈与税がなかったならば、あらかじめ生前に子供達に財産を贈与して将来の相続財産を減らすことにより、相続税の負担を軽減することができてしまうからです。要するに、贈与税は相続税を徴収するための手段なのです。
むろんこの点だけではなく、贈与を受けた者(受贈者)の担税力の増加に着目しての課税、という側面もあります。したがって、ともすると『贈与所得』といった所得税の対象にもなりうるわけですが、贈与税の課税対象とされていることから、所得税の課税対象外となっているわけです。(二重課税の排除)。
しかし、基本はあくまで相続税の補完税です。そもそも、贈与税は相続税法の一部として定められています。贈与税法という法律はないのです。(この点を称してよく『1税法2税目』といいます。ひとつの税法に2種類の税が定められている、という意味です)。したがって、税の扇の要である税率をはじめ、多くが相続税との関連で規定されています。贈与財産の評価も相続税評価で行います。
贈与税は、個人が個人から贈与を受けた場合に課される税です。したがって、個人が法人から贈与を受けた場合には、贈与税の対象外です。むろん非課税というわけではなく、所得税(一時所得)が課されます。理由は、贈与する法人は相続税と無縁の存在であり、これを補完する必要がないからです。
一方、法人が贈与を受けた場合には、法人税(受贈益)が課されます。ただし、一般に法人税が課されていない人格のない社団(PTA他)等が個人から贈与を受けた場合には、その社団等は個人とみなされて贈与税が課されます。
(2)贈与とは
贈与税は、贈与によって取得した財産に対して課税されます。この場合贈与とは、民法上の贈与をいいます。すなわち、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えるという意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約をいうのです。(民法549条)
しかし、贈与税は単に民法上の贈与のみならず、実質的に贈与と同様の効果を有する行為についても、みなし贈与として課税対象に含めています。(みなし贈与については、次回、お話させていただきます。)
ところで、本来の贈与であっても、その贈与の事実の把握には困難が伴います。そもそも贈与であるのかそうでないのか、その贈与はいつ行われたか、が定かでなかったり、贈与税を免れるために外見上は贈与でない体裁をとっていたり、と課税実務上その判定が難しいのです。しかし、これらに対し手をこまねいてはいられません。まずは外観を重視して課税を行っていくのです。
たとえば、対価の授受がないまま不動産や株式等の名義が変更された場合には、原則として贈与があったものと取扱います。当事者から、『いや単に名義を移しただけであって、真の権利者は元の名義人であり、贈与はしていない』という理屈の下に、贈与税を免れようとする主張がなされる可能性がありましょう。。しかしこのような場合には、課税実務上、名義変更という外観によって贈与を認定するのです。
ただし中には、納税者のこの主張が正しい場合もあるでしょう。その場合には、納税者が税務署に対して贈与ではない』旨の説得や立証を行う必要があります。税務署がこれに納得すれば課税は行われないこととなるわけです。
以上、『贈与税①』についてお話させていただきました。
次回は、『贈与税②』についてお話させていただきます。
1・贈与税とは
(1)相続税の補完税
贈与税は、相続税を補完するための税として設けられたものです、すなわち贈与税がなかったならば、あらかじめ生前に子供達に財産を贈与して将来の相続財産を減らすことにより、相続税の負担を軽減することができてしまうからです。要するに、贈与税は相続税を徴収するための手段なのです。
むろんこの点だけではなく、贈与を受けた者(受贈者)の担税力の増加に着目しての課税、という側面もあります。したがって、ともすると『贈与所得』といった所得税の対象にもなりうるわけですが、贈与税の課税対象とされていることから、所得税の課税対象外となっているわけです。(二重課税の排除)。
しかし、基本はあくまで相続税の補完税です。そもそも、贈与税は相続税法の一部として定められています。贈与税法という法律はないのです。(この点を称してよく『1税法2税目』といいます。ひとつの税法に2種類の税が定められている、という意味です)。したがって、税の扇の要である税率をはじめ、多くが相続税との関連で規定されています。贈与財産の評価も相続税評価で行います。
贈与税は、個人が個人から贈与を受けた場合に課される税です。したがって、個人が法人から贈与を受けた場合には、贈与税の対象外です。むろん非課税というわけではなく、所得税(一時所得)が課されます。理由は、贈与する法人は相続税と無縁の存在であり、これを補完する必要がないからです。
一方、法人が贈与を受けた場合には、法人税(受贈益)が課されます。ただし、一般に法人税が課されていない人格のない社団(PTA他)等が個人から贈与を受けた場合には、その社団等は個人とみなされて贈与税が課されます。
(2)贈与とは
贈与税は、贈与によって取得した財産に対して課税されます。この場合贈与とは、民法上の贈与をいいます。すなわち、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えるという意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約をいうのです。(民法549条)
しかし、贈与税は単に民法上の贈与のみならず、実質的に贈与と同様の効果を有する行為についても、みなし贈与として課税対象に含めています。(みなし贈与については、次回、お話させていただきます。)
ところで、本来の贈与であっても、その贈与の事実の把握には困難が伴います。そもそも贈与であるのかそうでないのか、その贈与はいつ行われたか、が定かでなかったり、贈与税を免れるために外見上は贈与でない体裁をとっていたり、と課税実務上その判定が難しいのです。しかし、これらに対し手をこまねいてはいられません。まずは外観を重視して課税を行っていくのです。
たとえば、対価の授受がないまま不動産や株式等の名義が変更された場合には、原則として贈与があったものと取扱います。当事者から、『いや単に名義を移しただけであって、真の権利者は元の名義人であり、贈与はしていない』という理屈の下に、贈与税を免れようとする主張がなされる可能性がありましょう。。しかしこのような場合には、課税実務上、名義変更という外観によって贈与を認定するのです。
ただし中には、納税者のこの主張が正しい場合もあるでしょう。その場合には、納税者が税務署に対して贈与ではない』旨の説得や立証を行う必要があります。税務署がこれに納得すれば課税は行われないこととなるわけです。
以上、『贈与税①』についてお話させていただきました。
次回は、『贈与税②』についてお話させていただきます。
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Category: 新しいカテゴリ1
Posted by: arakisouzoku