2014年 8月の記事一覧
さて、今回は相続税の財産評価の内、『金融資産の評価①』についてお話させて頂きます。
■金融資産
(1)預貯金
預貯金は、課税時期における預け入れ残高に、税引き後の既経過利子の額を加算した金額により評価します。
既経過利子の額とは、課税時期で解約するとした場合に受け取るべき利息をいい、実際にはこれに20%の源泉所得税が課されるため、これを控除した額を預貯金の元本に加算するのです。
要するに預貯金の評価額は、課税時期にその預貯金を中途解約した場合の元利金の手取り額というわけです。
ただし普通預金や通知預金のように、既経過利子の額が少額なものについては、課税時期の預入れ残高により評価します。
以上いずれもリーズナブルなルールといえましょう。
預貯金には、むろん郵便局の定額貯金が含まれます。
さらに形の上では有価証券に分類されていますが、事実上の定期預金ともいえる貸付信託も、中途解約手取り額の評価(買取割引額を算入)と考えてもよいものと思われます。
(2)一般の有価証券
①利付公社債
利付公社債の評価は、その発行価格(券面金額ではありません。通常発行価格は、券面金額100円に対して99円と異なった額になっています)に、税引後の既経過利子の額を加算したものとなります。実務上は、券面額100円当たりの金額という単価ベースで算出します。
ただし、利付債は確定利付きの債権であるため、金利の変動により流通価格が日々変動しています。
したがって、これらの市場価格が把握できる場合で、その市場価格が発行価格よりも低いときは、市場価格をベースにこれに税引き後既経過利子を加算した額で評価します。
②割引債
割引発行の公社債の評価も、考え方は上記利付債と同様です。
ただし既経過利子の計算部分を、券面金額と発行価格の差額である『償還差益』を基に行うだけです。
すなわち『発行価格+既経過償還差益の額』で評価するわけです。
ただし、この割引債の市場価格が把握でき、かつそれが上記の評価額を下回っている場合には、その市場価格で評価します(割引債の市場価格は、既経過償還差益を折り込んで形成されています)。
③投資信託
投資信託の受益証券は換金性が高く、また投資している株式等の価額を基として、毎日の時価額が基準価額として日経新聞などに掲載されています。
したがって、投資信託の受益証券は、課税時期におけるこの基準価額により評価します(実務上は、これらの投資信託を取り扱った証券会社等の金融機関から基準価格を教えてもらっているようです)。
以上、今回は『金融資産の評価①』についてお話させていただきました。
本日は、相続税の『非課税財産』について、お話させていただきます。
1・非課税財産
以下の財産は、社会政策的見地や国民感情等を配慮して非課税とされています。
(1)墓所、霊びょう、祭具等
要するにお墓の類です。墓地、墓石をはじめ神棚、神体、神具、仏壇、仏具、位牌等です。
ただし、これらのものであっても、商品や投資対象として所有されているものは含まれません(以前相続税対策として、純金で仏壇を作って非課税を主張した人がいたため、国税庁がこのような通達を作ったそうです)。
(2)一定の生命保険金、退職金
相続人の生活安定の見地から、相続人が(相続でない者は不可)取得した生命保険金や退職金のうち、それぞれ一定の非課税限度額までの金額は非課税です。
非課税限度額は・・・
『500万円×法定相続人の数』です。
この場合の法定相続人の数は、基礎控除を計算する場合と同じ(相続放棄者も含む、養子の数は制限)です。
一方『相続人が取得した』という場合の相続人は、純粋に民法の定める相続人をいいます(特にことわりがない場合は、『相続人』の用語はこのように理解して下さい。)すなわち正式に相続を放棄した者(相続人ではない)が受け取った保険金等には、非課税規定は適用されないのです。
なお、複数の者が保険金等を受け取った場合において、その合計額が非課税限度額を超える場合には、各人が適用を受けるべき非課税金額は、受け取った保険金等の額で按分することになっています。
(3)国等への贈与財産
相続財産を相続税の申告期限まで(相続発生後10ヶ月)に、国や地方公共団体、さらには公益を目的とする事業を営む法人のうち一定のものに贈与した場合には、その贈与財産は相続税の計算上非課税とされます。
この公益を目的とする法人はかなり多岐にわたっています。
(4)特定公益信託
相続財産である金銭を、相続税の申告期限までに特定公益信託の信託財産として支出した場合には非課税となります。
(5)その他
その他以下のうち、一定のものが非課税とされています。
・公益事業を行う者が取得した公益事業用財産
・個人立幼稚園の教育用財産
・心身障害者共済制度に基づく給付金を受ける権利
以上『非課税財産』についてお話させていただきました。
本日は『みなし相続財産の種別』について、お話させていただきます。
1・みなし相続財産には、具体的には次のようなものがあります。
①生命保険金等
被相続人が保険料を負担していた生命保険金を、被相続人の死亡により相続人またはそれ以外の者が取得した場合には、前者の場合は相続により、後者(相続人以外の者が取得)の場合は遺贈により取得したものとみなされます。
偶然な事故に基因する死亡に伴い受け取る損害保険契約に基づく保険金も同様です。
この場合、相続とみなされる(受取人が相続人)か、遺贈とみなされる(それ以外)かは大きな差が生じます。
後者では、『法定相続人1人当たり500万円』の非課税規定が受けられないからです。
なお保険金の受け取りの際には、通常割戻し金または前納保険料等を受け取りますが、これらもみなし相続財産としての受取保険金に含むものして取り扱います。
逆に契約者貸付金や未払保険料として保険金から控除されたものがある場合にも、原則として控除後の金額を受取保険金として取り扱います。
②死亡退職金
被相続人の死亡に基因して、相続人等が被相続人に支給されるべきであった退職金を受け取った場合(死亡後3以内に支給が確定したものに限る)、この退職金も相続財産であるとみなされます。
なお、相続人が支給を受けた場合に限って相続とみなされ、『法定相続人1人当たり500万円』の非課税規定を受けられる点は、死亡保険金の場合と全く同じです。
この場合、退職金の支給を受けるべき者とは、
・まず退職給与規定等に定めのある場合は、その規定のとおりとする(通常、大企業や役所では配偶者と定められているようです。)
・規定がない場合には、実際に取得した者(相続人全員で取得者を決めた場合はその者)とする。
とされています。
要するに、規定がある場合にはそれに従い、ない場合は基本的には相続人等の任意ということになりましょう。
③生命保険契約に関する権利
被相続人が子供や孫を被保険者とする生命保険契約(掛捨保険を除く)に関する保険料を支払っていた場合に相続が発生し
た場合には、生命保険契約の権利が相続財産として次のとおりカウントされます。
まず子や孫という若い人を被保険者とした場合に支払った保険料は、(被保険者は滅多に死亡しないため)いわば預金のようなものです。この場合、保険契約者が預金者の地位にあります。
つまり、契約者がこの預金(保険)を解約すれば払い込んだ保険料全額程度を手にすることができるのです。
このように被相続人が保険料を支払っていた場合には、保険契約者には『生命保険契約の権利』として相続財産に計上される事となります。
さて、被相続人が保険料を払っているということは、通常はその被相続人が保険契約者であろうと思われます。
その場合には、この生命保険契約の権利は本来の(つまり民法上も)相続財産となります。
但し、稀に被相続人と別の人が、保険契約者である場合があります。
この場合には(民法上は、この権利は保険契約者に帰属することになりますが)これを相続財産とみなすわけです。
④定期金に関する権利等
郵便年金契約等の定期金給付契約で被相続人がその掛金(保険料)を負担し、かつ被相続人以外の者が契約者あるもの、についても上記③と同様の理由からみなし相続財産となります。
以上、『みなし相続財産の種別』につきましてお話させていただきました。
次回は『非課税財産』に関してのお話をさせていただきます。
本日は、民法の規定による『遺言』についてお話させていただきます。
1・遺言の要式性
遺言は死後に効力が生じるため、その真実生や内容が問題になっても遺言者に確認することができません。
したがって遺言者の真意を確保するために、遺言には一定の方式が要求されています。
その意味から遺言の形式は、次の3種類に限定されています。(これ以外にも死亡応急者の遺言等の特別の方式が4種類定められています。)
①自筆証書遺言
これは遺言者が、その全文、日付および氏名を自書したうえで、これに印を押さなければなりません。
さらに遺言者の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示しこれを変更した旨を付記したうえで、これに署名押印しなければその効力が生じないこととされています。
留意点は、全文を自書することです(ワープロなどは不可)。
日付は、複数の遺言が存在した場合の優先を判定する意味にも重要です。
押印は実印である必要はありません。
自筆証書遺言は、3種の方式のうち最も簡単な方法です。
とにかく上記の指示のとおりに書くだけでできてしまいます(書き誤りの訂正方法は多少やっかいです。謝ったら書き直せばいいのです。なお、遺言書は特に密封する必要もありません)。
他の方法が面倒であれば、この方法で十分であろうと思われます。
ただし紛失や変造等のおそれがないわけではないことや、保管方法にも工夫を要することにもなりましょう。
②公正証書遺言
公正証書遺言は、公証役場の公証人に遺言書を作成してもらう方法です。
多少手間がかかることと費用(相続財産に応じて10~30万円位?)を要することが欠点といえましょう。
さらに2人の証人も必要となります。
しかし紛失や隠匿のおそれが全くなく、秘密の確保は十分。
相続発生時においても家庭裁判所の検認を受ける必要はなく、遺言内容の効力についても全く心配ありません。
要するに百パーセント確実な遺言を残そうとするのであれば、公正証書遺言に限るのです。
③秘密証書遺言
この方式は、とにかく内容を一切誰にも知らせない状況で作成するためのものです(欠点が多く、実際にはほとんど利用されていないようです)。
したがって書面自体には方式はなく(ワープロも可)、ただこの遺言書に署名と押印したうえで、公証人と証人の立会いの下でこれを封入するのです。
但し公証人等は遺言内容をチェックしているわけでなく、不明確な内容である場合等後日の紛争が気がかりとなります。また遺言書の保管も公証人が行うわけではありません。
2・遺言の効力
遺言は遺言者の意思表示のみで成立する単独行動です。
一般の契約のように相手側の承諾は一切不要なのです。
さらに遺言の効力は、遺言作成(意思表示)の時ではなく、遺言者の死亡の時に初めて生じます。
この点も一般の契約と異なる点といえましょう。
遺言により財産を贈与することを遺贈といいます。
遺贈によく似たものとして死因贈与があります。死因贈与とは『死んだら贈与する』という約束です。
贈与者の死亡により効力を生じる点は遺贈と同じですが、死因贈与はあくまで契約(双方の意思の合致)であり、受贈者側の承諾を必要とするのです。
ただし、相続税法では死因贈与を遺贈とみなす、と定めています。
要するに両者を同一視して取り扱うのです。
さてご承知のように遺言者は、いつでもその遺言を取り消すことができます。
実際に遺言書を破棄してもいいし、新たに遺言書を作成してもかまいません。
日付の古い遺言書で新しいものと抵触する部分は取り消されたものとみなされるからです。
遺言書の保管については、民法には何の規定もありません。
遺言者が自らの責任で保管するわけです。
保管者としては遺言によって守られているであろう配偶者等が多いようですが、友人や弁護士である場合、さらには貸金庫に置いておく等、多岐にわたるようです。
いずれにしても内容が漏れたり、破棄や隠匿されないような工夫が必要となります。
3・遺言の執行
一般に遺言の内容を実現することを、遺言の執行といいます。
まず、その準備行為として、遺言書を家庭裁判所へ提出して、その検認を受けなければなりません。
検認は、遺言者が真に遺言者の作成したものであるかどうかを確かめ、その保存を確実にするために行われる一種の証拠保全手続きとされています。
したがって、これらを要しない公正証書遺言には、検認手続は不要です。
ただし、検認は遺言者の正当を立証するわけではありません。
検認を経ていないからといって、遺言が無効になるわけでもありません。
しかしその一方で、検認を受けていない遺言書では、登記所が受け付けてくれないのも事実です。
なお封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人(代理人)の立会いのもとで開封すべき旨定めらています。
遺言は一般に相続人間の利益が相反する場合が少なくありません。
相続人に遺言の執行をさせることは適当でない場合が少なからずあるのです。
さらに遺産の内容によっては、その執行や処理に専門的な知識を必要とする場合もありましょう。
したがって、このようなケースでは、遺言で適任者を遺言執行人に指定しておくことが適当かと思われます。
遺言執行人とは、いわば遺言者の代理人の立場で遺言の内容を実現していくべき人です。
実際にも少なからぬ遺言で、これが指定されているようです。
なお、遺言による受贈者が法定相続人ではない場合には、不動産の相続登記に際して法定相続人(登記義務者)の実印が必要となります。
しかし遺言執行人が指定されていれば、この印は不要です(公正証書遺言も同様)。
このような場合には、必ず遺言執行人を指定しておくべきといえましょう。
以上、民本の規定による『遺言』について、お話させていただきました。
次回は、『相続財産』の事についてお話させていただきます。
相続対策って・・・何でしょうか・・・
とても、とても、一言ではいい現れそうにありません・・・
相続といえば、まず、相続税という税金が思いつきます。
国が課税する一定の額を超える資産を所有している方がなくなると課税される税金です。
この税金が課される方は、非常に少なく、年間の相続件数のうち、おおよそ4~5%の方が対象となっています。
そして、来年1月1日から、相続税のかかってくる一定の額を超える額が改正されます。
その一定の額とは、相続税法上、基礎控除額と呼ばれているものです。
その基礎控除額は、今年までは、5000万円+1000万円☓法定相続人の数(相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合の相続人の数)で計算され、例えば、配偶者である相続人が奥様と子供2人で合計3人の場合は8000万円が基礎子控除額となります。
その基礎控除額が、来年1月1日から、3000万円+600万円☓法定相続人の数に改正となります。すなわち、今までの60%までが控除されることとなるわけです・・・
この改正で従来の4~5%の課税対象者が、倍近くになるのではとも、予想されています。
これで、相続対策として相続税という税金を意識せざるを得ない対象者のかたは、相当数、増えてくるでしょう・・・
相続対策として、相続税を意識せざるを得ない対象となる方は、その対策はその人によって千差万別、この対策といった決まり切った対策はありません・・・
相続税の基礎控除額をどの程度、超えてくるのか・・・
先祖伝来、都市部やその都市近郊で、多くの土地を所有し、多くの土地活用をしている方の相続税の対策・・・
会社経営者のオーナーの方の相続税並びに事業承継の対策・・・
不動産は都心部に広めの戸建住宅のみ所有しているものの基礎控除額の減額により相続税が気になりだした方・・・
等々・・・
その資産の規模や内容によって、その対策は大きく方向性や具体的方策は異なってくることとなってきます・・・
この税金対策の前提ともなる共通する大事な相続対策はというと・・・
それは、やはり、遺産分割の準備です・・・
円満とは行かずとも、円滑な手続きが行えるような準備はしておきたいところです・・・
この相続税という税金対策の前提として、なぜ、遺産分割が重要かというと・・・
相続税額の計算上、相続税を減額できるいろいろな特例があります。
小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例、配偶者の相続税額の軽減、農地や非上場株式の納税猶予、等々・・・
このような特例は申告期限までに相続人間で相続財産の分割手続きが完了している場合にその適用が受けられることとなります。
申告期限までに、遺産分割が完了していない場合は、分割の完了していない財産は、各共同相続人及び包括受遺者が民法(寄与分を除く)の規定による相続分または包括遺贈の割合に従って所得したものとして相続税の課税価格を計算するものとしています。
そして、相続税の特例の規定の適用は受けられないということになるわけです・・・
ただし、申告期限から3年以内に分割されれば、後追いで適用が受けられる特例のあります。
代表的なものは、配偶者の相続税額の軽減や小規模宅地等の相続税の課税価格計算に特例などです。
ちなみに、農地や非上場株式等の納税猶予は、申告期限までに分割が完了していなければ、その適用は受けることはできないこととなります。
このように、とにもかくにも、相続が発生したら・・・
円滑に遺産分割が行えるような準備を生前にしておきたいところです・・・
その準備に、効果的なものは・・・
やはり、遺言書を遺しておくことでしょう・・・
それも、安全を考えれば、公正証書遺言がいいかもしれません・・・
そして遺産分割を考える時には、相続税の納付の方法まで考えておきたいところです・・・
いくら、かかりそうなのか・・・
かかってきそうな相続税を金融資産で賄えるのか・・・
金融資産で足りない分は、どのようにして工面しようか・・・
土地の一部を売却するか・・・
どの土地を納税用の売却対象の土地としようか・・・
等々の大まかな算段は付けておいたほうがよろしいでしょう・・・
そして、税金の下げられる方法や少しでもお金の残せる土地活用や、遺産分割や納税、節税に使えそうな生命保険の活用等を考えていくこととなってきます・・・
このような相続対策は、まずは、何をしていくべきか・・・
当たり前のことを当たり前にしておくことだと思います。
まずは、自分の財産を改めて見直してみる・・・
何が、どの程度、あるのか・・・
全ての不動産を見てくる・・・
時価相場でいくらくらいになるのか・・・
相続税の評価額がいくらくらいになるのか・・・
そして、子供たちへの思いを整理してみる・・・
例えばエンディングノート等を作りながら、気持ちを整理してみる・・・
そして、誰に何を遺してあげるかを考えてみる・・・
事業をしている方は、その事業をどのように継承していくかも考えなければなりません・・・
自分自身のことを改めて見直してみる・・・
例えば、財産であれば、紙に書き出してみる・・・
等々、本来、当たり前のことを当たり前にしておくことが一番に重要なことかもしれません・・・
ただ、相続対策の場合は、民法や税法及び不動産の知識をフルに活用しますので、その当たり前のことを知ることは、以外に難しく、当たり前のことを当たり前におこなっておくことは、非常に大変です・・・
将来の相続に不安のある方は、早めに専門の方に相談することが賢明な相続対策となるでしょう・・・
(1)遺産分割方法
分割協議の成立後に勘違い等で、分割協議書を作り直すこともあると思われます(中には協議書の書き間違いもあるでしょう)。
むろん皆の合意の下で作り直せばいいのですが、大きな問題が一つあります。
事実上税務署がこれを認めようとしないのです。
つまり「それは分割のやり直しではなく贈与だ」というのです。
税務署側にしてみれば、これを認めたら一般の贈与すら皆「遺産分割の修正」と逃げられてしまうのではないか、と考えるのです。
ですから、一度税務署に提出したもの等は、訂正が効かない(民法に「錯誤は無効」の規定があるとしても、国税側にこれを立証することは困難でしょう)と思っていただきたいのです。
民法は、遺産分割の方法として、現物分割、代償分割、換価分割、共有とする分割の4種類を定めています。
内容は読んで字のごとしで、現物分割とは、遺産を現物のまま分割する方法で、換価分割とは、共同相続人が遺産の全部又は一部を金銭に換価し、その代金を分割する方法ですが、このうち代償分割が実務上極めて大切です。
代償分割とは、ある相続人が特定の遺産を相続する代償にその相続人がその固有資産(通常金銭)を他の相続人に支払う、というものです。
たとえば、遺産は長男が同居している自宅のみで他に何もない場合に、長男がこの自宅を単独で相続する代わりに、他の相続人に対して長男がたとえば1,000万円を支払う、といったケースです。
これは一見遺産の売買のように思えますが、民法が遺産分割として定めている以上、売買ではないのです。
使い方次第では、代償分割は相続対策や節税対策にかなり有効となります。
相続人の中には、諸般の事情からあえて遺産の取得を希望しない人もいます。
その意思を表すために先の家庭裁判所に相続放棄の手続きをするケースもあるそうです。
しかし何もそんな面倒なことをする必要はないように思います。
要するに、当人に遺産の配分がないと記載されている遺産分割協議書に押印すればよいのです。
実務上大半はこれにより事実上の相続放棄を行っています。(わずかではありますが、相続放棄を行うと相続税の取り扱い上で不利になることもあります。)
(2)特別受益と寄与分
相続人の中には、被相続人から婚姻や生計の資本等のために多額の生前贈与や遺贈(遺言による贈与)を受けていることもあります。
これらの生前贈与や遺言を受けた相続人を特別受益者、受けた利益を特別受益といいます。
民法は相続の公平の見地から、具体的な相続を査定する(事実上の遺産分割)に当たっては、特別受益分を遺産に持戻した(加算した)ものを相続財産とみなしたうえで、決定すべきことを定めています。
なお、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は、遺産ではなく保険金受取人の固有資産と考えられて
います。
一方相続人の中には、被相続人の事業に関する労務の提供や被相続人の療養看護等により、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした人がいる場合もあります。
この場合には、その者の寄与分を加算した額を寄与者の相続分とする旨定められています。
なお、長男の嫁等は相続人ではありませんから、寄与分の規定は適用できません。規定の対象者は相続人に限定されている点に留意して下さい。
以上の特別受益や寄与分についての規定は、実際の円満な遺産分割においては『私は親の面倒をみたのだから・・・』とか『私は既にこれだけもらっているのだから・・・』といった形で常識的な考え方として生かされています。
具体的にこの規定がモノをいって来るのは、家庭裁判所における調停・審判の場であろうと思われます。
今回は『遺産分割方法』と『特別受益と寄与分』につきまして、お話させていただきました。
次回は、『遺言』に関する内容を、お話させていただきます。
今回は、『遺産分割』に関します民法上の規定を、お話させて頂きます。
【遺産分割】
(1)相続放棄等
相続は自動承認の形をとっています。
すなわち相続人は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続の放棄または限定承認をしない限り、相続を単純承認したことになります。
単純承認(限定承認でないという意味)をした場合には、被相続人の権利義務を承認したことになります。
したがって、相続財産よりも相続債務の方が多い場合等には、上記の期間内に家庭裁判所に対して相続放棄の手続きを行うことができるわけです。
放棄した者は、初めから相続人でないものとされます。
すると、次順位の者が相続人に浮上します。
その結果、相続人が大借金を残したことことが明らかな場合には、第3順位までを含めた相続人が全員放棄の手続きをしないと、誰かがとんでもない貧乏くじを引くことになりますから、注意が必要です。
(2)遺産分割
遺産を配分する方法には優先順位があります。
まず遺言があればこれに従います。
2番目、遺言がなければ相続人全員で協議して決めます。(法定相続分は参考程度)。
この協議が整わなければ家庭裁判所に持ち込んで調停や審判に委ねます。
この場合の判断の基準は法定相続分となります。
上記の2番目が遺産分割です。
一般の相続の7~8割以上がこれによっているものと思われます。(遺言はまだ少数派です。)
なお遺言があっても、法定相続人や受遺者の全員が、これ以外の配分の方法による遺産分割に合意した場合には、実務上それが認められています。
民法等のどこにもそのような規定はないのですが、「無理に遺言を強制してもしかたない」ということのようです。(税法もOK)。
分割協議が成立すれば、通常は遺産分割協議書にその内容を記載して相続人全員が署(記)名捺印します。
逆に1人でも反対者がいれば、協議分割は不成立となります。
この場合は家庭裁判所での調停、審判となります。
こうなると家族の絆にひびが入ってしまいます。
このようなことが予想される場合には、あらかじめ遺言を書いておくべきでしょう。
なお相続税の申告の際には必ず税務署に提出します。
また不動産を相続登記する場合には、遺産分割協議書が登記原因証書になるため、実印の押印が必要となります。
以上、今回は民法の『遺産分割』についてお話させていただきました。
相続が発生した時に、相続税が生じる、生じないに関わらず、相続人の円満な遺産分割が最重要と考えます。
したがいまして、円満な遺産分割のための対策が相続発生前の相続対策の最優先事項と考えます。
それには、先ず、ご所有財産、特に不動産の棚卸調査(財産診断)を基にした財産の現状分析を行う事が大切です。
ご所有の不動産の内には、駅前の事業に適した土地もあれば、優良な住宅団地の中で住宅には申し分ないですが事業(アパート他)には適さない土地や調整区域で売却や活用に制限がかかる土地など、多種多彩な特徴があります。
納税が発生する時には、納税用の資金の準備をどうするのか?
納税資金の方法の見通しがたったら、各相続人への分割をどの様に配分するのかの検討が必要となります。
相続が発生してから、ご所有財産を見直すのではなく、あらかじめ、現状分析を行った上で、納税方法、分割方法、、節税方法、や保険の活用等を検討しておく事が重要となります。
土地活用で太陽光発電が人気です。
自分の空き地に野立てで建てるものから倉庫等の屋根に設置するもの、土地つきのセットで購入するもの等々・・・
実に、さまざまな形での投資商品としての営業攻勢がかけられています。
本年度の国の買取価格は36円/KWH(税抜)・・・来年度は32円/KWH(税抜)・・・
今年中に決めませんかといった具合に奨めてきます。
国の買取価格は20年間固定されたものですから、投資商品としては魅力のあるものでしょう・・・
さらに、グリーン投資減税を活用すれば、太陽光発電設備の価額の実に100%もの即時償却が可能となります。
即時償却まで希望しない方には、30%の特別償却を活用することもできます。
所得の高い方にとっては、投資としても、節税商品としても、魅力がある商品でしょう。
土地オーナーの方にとっては、アパート経営等には向かない寂しい環境の土地が活用できますので、願ったりかなったりでしょう・・・
ただ、この太陽光発電のブームともいうべき最近の動向で、少し気にかけてしまうことがあります・・・
その一つは、このブームにとにかく乗ろうとしているブローカー的な業者さんが、多数、見受けられるところでしょうか・・・
私の知人に1億円もの太陽光発電の営業に来た会社が、調べてみるとアパートの1室を借りて設立されていた会社であったりとか・・・1億円もの商品を20年間もの間、保守管理してもらえるとは、到底、思えません・・・
業者丸投げでメンテや保障は業者任せで終わってしまう、まさにブローカー的な営業を良く耳にします。
発注する会社や、購入する会社は、慎重に選んでおきたいところです。
また、あまり、耳にしない話ですが、国の買取期間の20年間は、その契約書に著しい経済情勢の変動等の時には見直しするといったような条項が記載されていますので、絶対的なものではないであろうということです・・・
私も、何回か、太陽光発電の営業の方とお話しましたが、その点に触れますと、国の制度ですから絶対に大丈夫という方もいれば、万が一があれば見直しもあるかもしれませんという方もいました。
いずれにしても、こちらから、話を持ち出さなければ、口にする素振りはありませんでした。
年金の支給開始時期を60歳から65歳に替えてしまうくらいですから、一部の太陽光発電オーナーのための買取価格を見直すのは、財政が厳しくなったときには、ありうることなのかと個人的には思ってしまいます。
太陽光発電を購入するときには、この買取価格について、よくよく、業者さんに確認してみるのもいいかもしれません。
また、太陽光発電については、パネルそのものは、半永久的に使えるものですが、コンデンサー等の付属の機械は10年くらいを目途として交換が必要になってきます。
コンデンサー等の交換の費用も確認しておいたほうがよろしいかと思います。
また、太陽光のパネルも年数がたてば効率は落ちてくるようですので、収支の確認は注意が必要とも耳にします。
また、地面に直接、設置する野立ての場合は、太陽光発電を設置する電気業者さんは、建築や土木の専門ではありませんので、設置後に傾いてしまった等のクレーム案件も出ているようです。
太陽光発電の投資を考えられるときは、上で申し上げたような内容をきちんと説明してくれる業者さんが安心できるでしょう。
美味しい話ばかりのときには、少しのご注意をしてみてください・・・・
消費税が8%にUPして、早、4か月半が過ぎようとしています。
都度、都度の支払いのたびに、消費増税の影響を感じていましたが、さすがに最近は慣れてきたのでしょうか・・・
えっ・・・こんなに支払うの・・・といった感覚はなくなってきました・・・
予想はしていましたが、消費増税後の注文住宅の受注減や分譲マンション等の販売数の減少が目立ってきているようです。
それでも、東北の震災復興需要や東京五輪のインフラ需要もあいまって建設業界は、受注の見送りをしているケースも見受けられるようです。
アベノミクスによる円安、株高、によって景気は復調の兆しを見せている感じがします。
ただ、この円安は輸出業界にはプラスに働きますが、我々の生活にとっては、ガソリン代の値上がりや輸入食材の値上がりなど、消費増税とあいまってダブルの家計負担増となって現れてきています・・・
自動車業界が、ものすごくいい業績を残したとしても、社員でもない、その会社の株を所有しているわけでもない・・・
といった大勢の方は、生活が楽になったというよりは、苦しくなってきていると感じがするのではないでしょうか・・・
それにしても、消費税が8%になっただけでも、財布の中身の減るのが多少は早くなってきました。
そして、気になるのが、来年10月の消費税10%です・・・
これは、実行されるのや否や・・・
実行するとした場合に、軽減税率は導入されるのか・・・
と思いつつも、TVや新聞等の報道では消費税の話題は、ほとんど、見かけなくなってきています。
いま、旬な話題は、集団的自衛権となっています・・・
ウクライナ情勢等を見ていると、新たな東西冷戦の構造となってくるやもしれません・・・
これからの日本の方向性はどうなっていくでしょうか・・・
集団的自衛権の先には、国防費の予算が増大するやもしれません・・・
そうなってくると、日本の借金の原因ともなっている社会保障制度はどうなってくるのでしょうか・・・
などと、考えつつ・・・消費税は上げるしかないのかなと思いつつも上がってしまった後は、飲みに行く回数を少し減らそうかなと思いつつ・・・どうなってくるのか、多少の不安な気持ちを抱いています。
この情勢では、極力、少しでも多く、自力で、老後の生活資金を準備しておいたほうが賢明な気がしています。
日本の国債も気になるところです・・・
今こそ、きちんとしたライフプランを考えてキャッシュフロー表を作成の上、老後の生活設計を考えておいたほうがよろしいでしょう・・・
あわせて、資産のグローバルなポートフォリオを考えてみるのもいいかもしれません・・・
消費税が8%になって、早、4か月が過ぎました。
この影響たるや・・・
住宅業界にとっては、大きな衝撃となってきました・・・
注文住宅も大幅な受注減・・・
分譲マンションも大幅な販売戸数の減少となってあらわれてきています。
もっとも、消費増税前の駆け込み需要によっての先食いの影響もあるでしょう・・・
分譲マンションにとっては、消費増税もさることながら、東北の震災復興と東京五輪のインフラ整備の建設需要による大幅な建設資材の値上がりや人件費の増大による建設費の高騰でさらなる苦戦にたたされているようです。
反して、都心の土地相場は上昇機運となり、都心近郊では土地相場の下落は下げ止まってきた感があります。
消費増税後の住宅の販売に陰りが見えてるなか、土地の相場は盛り返している・・・
不動産に流れるお金が東京をはじめとした都市部の商業施設に集まってきているせいかもしれません・・・
そもそも、バブル期の土地の狂乱は、商業地はもとより、住宅地も都市部の高騰による影響を、波の流れのごとく波紋していたものです。
例えば、坪〇〇円の土地相場が、最初は都心部から10K圏内、それが20K圏内、さらには30K圏内・・・とその土地相場は変動していきました。
マンションや建売住宅は、その土地相場の狂乱状況に連動して、都心部から少しずつ離れた地域で分譲されることとなっていきました。
一般のサラリーマンでは、もはや、東京都内の住宅の取得は無理であり、千葉県や埼玉県の奥、さらには茨城県や栃木県で東京通勤用の分譲住宅が販売されていました。
通勤時間は2時間は当たり前の時代でした。
そして、バブルの終焉とともに住宅の都心回帰が始まりました。
一般のサラリーマンでも、都心に家が持てる時代が還ってきたわけです。
土地の価格の暴落により、銀行や高い土地を購入していた不動産会社等は大きく傷つくこととなりましたが、土地が安くなったことにより都心部の住宅市場は大きく盛り上がってきました。
そして、オフィスビルなどの商業施設は、不動産の証券化は可能となったことにより、バブル崩壊でにっちもさっちもいかなくなった不動産が外資のファンドに買われることとなり、ファンドバブルが始まりました。
ファンド同士の競り合いで面白いように商業用の不動産の価格は跳ね上がっていた時代です。
とにかく、投資家からお金を集めますので不動産を購入していかなければなりません。
そして、その必要性から、不動産の相場は上昇する。
そんなおり、サブプライムローンを債券化した金融商品に黄色信号が点りだしました。
そして、リーマンショックがおきました。
またしても、ある意味でのバブルの崩壊です。
とにかく、デリバティブ等、金融商品が複雑化してきた賜物のような気がしています。
そして、その後、民主党の停滞期から安部政権に移って、アベノミクスの効果からか、株安や円高による経済危機は回避されてきたような感じがします。
そして、ここで、建設業界は未曽有の好景気、自動車メーカーも好景気、円安によって輸出業界全体も好景気、ただし、円安による電気を始めとしたコスト増の問題等も出てきています。
今回の、アベノミクスや東京五輪等によるこの盛り上がりは、ずっと続くのでしょうか・・・?
ここ数年は、海外から日本にお金が流れてきて、ある意味、地域限定のバブルが起きるような気がします・・・
そして、そのお金が次に向かう先は・・・?
過去、繰り返されてきたバブルの浮き沈み・・・
日本の借金問題と社会保障問題もあわせて・・・
何か気になるところです・・・
いくつかの国に資産を分散するグローバルなポートフォリオを奨める専門家の方のお話を聞いたこともあります。
何がいいのか勉強してみようと考えている今日このころです・・・
ここ数年、猛暑の夏が続いています。
気温35度超が当たり前という感覚になってきました。
今日からお盆です。
お盆といえば里帰り
昨日あたりから帰省ラッシュが始まった模様です・・・
里帰りといえば、都心方面から地方へというイメージが強いですが、地方から都心への里帰りも当然にあるわけです。
東京在住で東京の大学をでて東京の会社に入社して転勤で地方に在住等々・・・
いずれ、定年を迎える頃には東京に定住するといったパターンは多く見受けられます。
大手の会社に勤められると、まさにジプシーのごとく日本国中から世界を駆け巡っての生活を送ることとなってきます。
そのような方達で東京をはじめとした大都市圏に実家がある方は、来年からの相続増税には要注意です。
例えば何代も前から東京23区内に住み続けている一族のかたで、昭和の始めに分家に出たときに100坪の土地を分けてもらった。
バブルのかなり前に先代の相続を迎えたが、ほんの少しの相続税で免れてきた・・・
そして、いままさに80歳後半を過ぎた親の相続を意識するようになってきた・・・
などの条件に合致するような方は、大勢いらっしゃるかもしれません。
そのケースの場合、来年からの相続税改正による基礎控除額の減額にかなりの注意を要することとなってきます。
今年一杯の相続税の基礎控除額は、5000万円+1000万円☓法定相続人の数が基礎控除額となります。
例えば、相続人が奥様と子供2人の合計で3名の場合は、8000万円が基礎控除額となります。
この基礎控除額が来年からは、その60%である4800万円までに減額となります。
実に、40%の3200万円もの基礎控除額が減額することとなってきます。
たとえば、この基礎控除額の減額により相続税の超過累進税率が20%に該当することとなった場合、実に640万円の増税ということになってきます。
この増税に対する対策としては、第一には小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の適用が受けられるか否かです。
小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定は、相続の開始の直前において、被相続人または被相続人と生計を一にする被相続人の親族の事業(不動産貸し付けなどの準事業も含みます)の用または居住の用の供されてる一定の敷地で一定の建物または構築物の敷地の用に供されているもので一定のものに適用される特例です。
こまかい要件はおいといて、例えば親の居住の用に供していた居住用不動産を相続または遺贈で取得した子供は、その土地の相続税の課税価格の評価額のうち、実に80%が軽減されるというものです。
ただし、無尽蔵に軽減されるわけではなく、居住用であれば今年一杯は240㎡、来年以降は330㎡を限度にその軽減の適用が受けられることとなってきます。
ちなみに、事業用(不動産貸付業は除く)は、400㎡までは80%が減額されるkととなります。
アパートなどの不動産貸付業は、200㎡まで50%が減額されることととなってきます。
そして、居住用、事業用、貸付事業用、それぞれを目いっぱいその適用を受けることはできません。
基本的には、一番有利なもののうちから、合計400㎡(事業はその面積、居住用はその面積に5/3を乗じた面積、貸付事業用はその面積に2を乗じた面積お合計した面積)までが限度となります。
そして、来年からはこの面積要件が緩和されて事業用と居住用はそれぞれ目一杯その適用が受けられることとなってきます。
要は事業用の敷地400㎡と居住用330㎡の合計730㎡までが、その適用の対象となることができます。
仮に来年以降、東京23区内の時価相場坪250万円(相続税評価額坪200万円)の330㎡(約100坪)の居住用の敷地を相続で取得した場合、相続税評価額2億円に対し、この規定の特例の適用をうけると実に4千万円までその評価額は圧縮されることとなってきます。
実にその差額は1億6千万円です。
仮に、評価額2億円のままであると超過累進税率15%であったとすると、2400万円の相続税が軽減されることとなってきます。
そして、この小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定の適用については、その対象となる土地を所得した人に対しての要件もあります。
居住用のものに限って言えば、配偶者が取得した場合は無条件でその適用は受けられることとなります。
配偶者以外の子供が取得した場合は、いろいろな適用要件が存在します。
その一つは同居親族であること・・・要は被相続人である親と同居していた場合に受けられる要件です。
そして、非同居であっても、この適用が受けられることもあります。その要件は、自分以外の相続人である親族が同居していなかったこと、と。その土地を取得した子供が、相続開始前3年以内にその子供の所有する家(その子供の配偶者の家を含みます)に居住していなかったことです。
税法の規定ですので、このような文章では誤解を生じることがありますので、税務署とうでご確認いただくか、詳細をお知りになりたい方は、ご遠慮なくご連絡をいただきたいと思います。
このように、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定の適用が受けられるか否かが相続対策では、とても大きなポイントを占めることとなってきます。
いま、会社の転勤等で親御さんと別居住のかたで、その実家が東京都内であるとか県庁所在地の市街地内とかいった場合は、とりあえずは、相続税の負担を確認されてみたらいかがと思います。
そのうえで、何もしないでいると多額の相続税がかかりそうといった場合は、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定の適用を検討してみてください。
とはいえ、この規定の適用を考える上では、その実家を誰に遺してあげたいかといった遺産分割を第一に考えなければなりません。
このお盆で、機会があれば、皆さんで相続税の負担があるのや否や確認していただき、小規模の特例等についても話し合えるのであれば話し合っておきたいところかと思います。
また、90歳まで無告知で加入できる生命保険の商品もありますので、生命保険金の非課税枠に余裕のある方は、非課税枠狙いで、そんな生命保険に加入しておくこともいろいろな面でメリットが生じるときもあります。
まずは、このお盆で、具体的な内容は別として、これからの方向性だけでも話し合えるとよろしいのかなと感じています。
日本の空家の数が増え続けているようです。
こんな記事を見かけるようになってきました。
そんな記事を読んでいると何か深刻な気持ちになってきます。
すべての住宅に占める空家の割合は・・・
なんと・・・過去最高の13,5%に達したようです。
7~8軒に1軒は空家ということになってきます。
さらに、15年後には空家の率は25%に達するであろうといわれているようです。
もちろん、地域間格差はありますので、全ての地域で25%ということではないと思いますが・・・
この原因の一つの要因は、日本での中古市場の人気のなさがあるのかもしれません。
中古よりも新築・・・
という方向に向かってしまっていたようです。
最近は、住宅の質そのものが上がってきていますので、気に入った中古住宅があればきれいにリフォームをして住まわれる方も増えているようです。
そういう私も、実は中古住宅を購入して住んでいます。
某大手ハウスメーカの建てた築10年強の家と完全な真南道路、最寄りの駅まで徒歩18分、近くには大型店舗、小学校、中学校、といった条件の物件が出てきましたので購入しました。
ほとんどは、土地の条件で決めました。
建物は、大手ハウスメーカーの木質ユニット工法の家ですが、バブル末期に建てられた家ですからはっきりいって、出来はいまひとつかもしれません。
ユニット工法ですから、そのほとんどは工場生産ですが、現地での最後の細かい工事がいま一つの様な気がします。
バブル時代は、職人さんを取り合うようにして建てていましたので、あまり、出来のいい家は少ないかもしれません。
それでも、大手ハウスメーカーの家ですから、しっかりはしています。
出来の悪いと言ったのは、細かいおさまりや、最後の仕上げの部分で、そう感じているだけかもしれません。
元2☓4住宅の営業マンですので、そう思えてしまうことは多々・・・でてきます。
話は、それてしまいましたが・・・
バブル以降に建てらた住宅であれば、それなりに安心できる住宅は多いとは思いますが、やはり、建設会社次第で、出来の良くない住宅も当然にあるでしょう。
中古住宅の善し悪しが売買の時の重要事項説明で表示しきれないところに中古住宅を安心して購入できない一因となっているような気がします。
旭化成のへーベルハウスは、さすがにロングライフ住宅をうたっているだけに、ストックへーベルハウスといった古くなったへーベルハウスの品質を表示するシステムを、かなり前から取られていました。
競合他社に在籍はしていましたが、そのシステムは素晴らしものと感じていました。
中古で売却せざるを得なかったときに、安心して購入していただけるシステムをいち早く取り入れていました。
いま、日本の中古市場でも、そんな中古住宅を安心して購入できるように何かしらの中古住宅の品質を表示するルール作りも考えられているようです。
これからの不動産業者さんは、きちんと、その不動産の善し悪しを明確にして取引するのが求められてくるでしょう。
昔の不動産屋というイメージである・・何か騙されるのとか何か隠しているのではといったものが払拭されていくべきでしょう。
不動産の資格は、宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に、名称変更となります。
者から士へ・・・
不動産といった大きな財産価値を持つ商品を取り扱う資格ですから士といったような構えも当然かもしれません。
弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、土地家屋調査士、行政書士、等々・・・
士という名がつく国家資格は、大きな信用と信頼がおかれています。
宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へ・・・
これからは、きちんとした調査と説明と提案が求められてくることでしょう・・・