2014年 4月の記事一覧

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14年04月30日 18時34分12秒
Posted by: arakisouzoku

GWに突入・・・

といっても、今年はとびとびのGW・・・

後半の4連休を残すのみとなりました・・・

住宅の営業に従事していたころは、GWの人の動向に敏感でした・・・

今日の様な雨は意外に歓迎気分でした・・・

これで行楽に行く人が減る、住宅展示場に仮面ライダーショーを見に来る人は少ない・・・

住宅の建築を本気で考えている人の来場が見込めそう・・・等々、全国の天気やら展示場のイベントやらを確認しつつ・・・準備万端、接客に備えるといった具合です・・・

とにもかくにも、建築計画のある人に出会えなければ、元も子もありません。

今年はどうか・・・

今年は厳しいGWとなりそうな感じがします。

何といっても、消費税がアップして1カ月・・・駆込み需要のあとで、一先ずは一段落ついてしまっという感じでしょう・・・

新聞等でも、3月に入っての住宅着工件数の落ち込みが報じられています。

何でも1年7カ月振りとか・・・

この1年7カ月は、政権交代からのお約束の消費税の増税が住宅市場を引き上げてくれていたのでしょう・・・

消費増税後は、これまた、お約束で住宅市場は落ち込みの様相を呈しています。

ただ、面白いことに、貸家の着工件数は相続増税対策のため増加しているそうです。

これは、また、危険な感じがします・・

これから、人口が減少していくのにも関わらずに貸家が増えていく・・・

これからは築10年経った貸家は、駅から歩5分とかの競争力が無いと、空室にさい悩まされそうです・・・

くれぐれも、とりあえずの相続税は減らすことはできたものの、肝心のローンの返済はおぼつかないといったような事が無いように気を付けてください。

ここで、一般の住宅のお話に戻ります。

消費増税の直後で、いまは、需要は底であると感じます。

住宅会社は、消費増税の駆け込みでたくさんの受注をしたから、少し一休みしようと・・・いうわけには行きません。

下請工事店や職人さんに定期的に仕事を出さなければなりません・・・

ましてや、今は、住宅はそこでも、東北の復興東京五輪で建設バブルとなっています。

いま、仕事を出し続けていかないと、下請工事店や職人さんを他社に持っていかれかねません・・・

バブルの時にありました・・・建築ラッシュでの職人さんの取り合い・・・

契約の工期を守れないのは当たり前・・・職人不足で質は低下といった具合です・・・

そもそも・・・建築は不況の時が安くていいものができるものです・・・

こうやって、考えてみると・・・建設バブルがあるとはいえ、どちかというと土木事業が多く、他には五輪用の会場や宿泊施設の大規模建設でしょう・・・

住宅関連ではなく大手ゼネコンの範疇が、バブっているだけです・・・

住宅は、落ち着いてきた・・・

受注も一段落・・・だけど継続して工事も発注する必要がある・・・

ここで、需要と供給のバランスの市場原理が産まれてきます・・・

定価で売れなければ・・・下げるしかない・・・

どの程度までの下げ幅かは、その住宅の会社にもよるでしょう・・・

また、分譲住宅や注文住宅にもよって変わってくるでしょう・・・

分譲住宅の場合、その立地がプレミアムな物件であれば、価格の低下は望めないかもしれません・・・

注文住宅は、まさに需要と供給にさらされます・・・

もしかしたら、消費税増税前の価格よりもさがってくることもあるかもしれません・・・

要は、企業努力をせざるを得ない状況かどうかです・・・

いま、消費増税導入後直近のまさに・・一段落の様子見のそこの状況でしょう・・・

サービスの交渉も通りやすいかも知れません・・・

そして、依然、住宅ローンの金利は低水準です。

住宅ローン減税の枠も拡充しています。

住宅取得資金の贈与の非課税も延長・・・との記事も見かけました。

住まい給付金も創設されました・・・

消費増税前よりは、意外と条件はいいかもしれません・・・

とはいえ・・・早急に進めるのではなく・・・

まずは、ライフイベント・・・子供の教育費の見込み、老後の生活資金、を考えてみてください・・・

いくら、かかるだろうか・・・

そして、老後の生活資金から老後に貰える公的年金の予想額を差し引いてください。

それが、定年までに貯めておきたい金額となります。

その金額を目標に、生活費や教育費、車の購入や旅行の費用を差し引いた残りが住宅ローンの返済の限度額となります・・・

その金額の範疇の住宅ローンでは、自分の希望には到底、及ばないという時には、専業主婦家庭の場合は奥様の収入で補てんできるかどうかを検証してみてください。

それも、子育てもありますから、無理した計画は厳禁です・・・かえって計画倒れになってしまう可能性が高くなってきます。

そうです、ライフプランニングをしてみる・・・そのうえで、住宅購入は安心して進められそうと確認できたら、住宅展示場でいろんなお話を聞いてみましょう・・・

きっと、今の時期は、例年よりも懇切丁寧な対応が期待できるかもしれません・・・

あくまでも・・・ライフプランでの確認はお忘れなきよう進めてください・・・

備えあれば憂いなしです・・・

 

14年04月29日 18時42分21秒
Posted by: arakisouzoku

先日、某生命保険会社の法人のための生命保険についての講習会に参加してきました。

2日間におよんで、法人に適した生命保険の商品や考え方についてのお話をきいてきました。

法人の生命保険とはいうと・・・

少し前までは、保険料の全てを損金計上し法人税を圧縮し途中解約し会社に入金された解約返戻金で社長に生前退職金を支給するといったスキームが主流でした。

解約返戻金が付く商品でも保険料の全額が損金扱いできるというところがポイントでした。

今は、解約返戻金が付く商品は、保険料の半分等の一部分が損金算入されて残りの保険料は保険積立金として資産計上されることとなります。

保険積立金が多いほど、保険金が支払われた時の法人の益金は少ないこととなってきますので、毎年、少しずつの節税を図るのか、保険金が支払われた段階での税金を少なくするのか、要は・・・課税を繰り延べするのか否かということになってきます。

毎年、損金に算入していくと、当然、保険金が支払われた時に多くの益金が計上されますが、その益金に退職金という損金を充てることによって生命保険金による納税のキャッシュアウトを防いできました。

保険料を少しでも多く損金計上できるように逆ハーフタックスと呼ばれる契約の加入も数多く利用されてきました。

税務上は、多分にグレー・・・グレーというよりは生命保険の節税出来る特典は税法の改正でいとも簡単に吹き飛んでしまいます。

課税庁側は金融商品のなかでは生命保険が特別に節税効果が高いので、見直していきたい意向は持っているようです。

常に、税制の改正には注目しておきたいところです。

こうやって考えてくると、法人の生命保険の利用価値はと・・・思ってしまいますが・・・

やはり事業リスクをヘッジするうえでの生命保険の活用は不可欠でしょう・・・

万が一の社長の死亡時の手当・・・

後継者への引き継ぎの状況にもよるでしょうが・・・

銀行や取引先の信用不安感からくる取引停滞に備えた運転資金の準備は万全に備えたいものです。

借入金残債、運転資金に社員の給与、等々・・・はトップ経営者の万が一に備えて、生命保険で準備しておきたいところでしょう・・・

何とか新しい経営者が経営を波に乗せるまでの時間を稼げるようにしたいものです・・・

この保証を定期にするか終身にするかは、損金処理によるメリットやデメリット、保険料金額や解約返戻金のバランスを見て検討していきたいところです。

キャッシュフローで、保険料をどうやって払い続けていくか・・・財務バランスの重点的な検証はとても大事です。


そして、退職金や相続・事業承継での生命保険の利用・・・

退職金に関しては、老後の生活資金や夢の実現、そして『事業承継』などからも必要といわれています。

この退職金は上段でお話したように、生命保険金を一時金(解約返戻金や死亡保険金)で法人が受けとったときに損金計上できます(退職金規定の範囲は損金)ので、法人の納税を回避することもできます・・・

よくよく、考えてみると、オーナー企業の場合、オーナーにとっては、その財布は個人も会社も大きく考えれば一つのものでしょう・・・

会社が業績不振に陥れば、オーナーは保証しなければなりません・・・

会社の借金は・・・オーナーの借金です・・・

このように考えると・・・役員報酬や退職金は、オーナーの大きな財布のなかで法人の財布から個人の財布へ移し替えるだけのものかもしれません・・・

この小さな財布を行ったりきたりさせることで、節税の恩恵を受けているということでしょう・・・

こうやって、考えてくると退職金は・・・会社の状況のみならず、個人のライフプラン、すなわち老後の生活や家族の生活、そして相続のことまでをも考えて判断した方がいいかも知れません。

老後の生活費にかんじていえば、オーナーの社長が設立時から個人の財布から会社に拠出してきた貸付金が残っているかもしれません・・・

オーナー社長引退後の老後の生活資金は、その貸付金を毎年、毎年、利息を付けて返済していくことで賄えるかもしれません。

もっとも、会社のキャッシュフローが潤沢である場合ですが・・・

いずれにしても、会社への貸付金はいずれかのタイミングで消しておきたいところです。

会社への貸付金をそのままで、いざ、万が一が起きた場合、そのすべては原則は相続税の対象となってしまいます。

大きな財布のなかで、小さく分けた財布のいったりきたりの結果、相続税が課税される・・・

担税力なんてあるわけがありません・・・そもそも、一つも大きな財布のものです・・・注意しておきたいところです。

同様に、やみくもに生前退職金として会社で生命保険を中途解約した解約返戻金で支給した場合、それはそれで、その時点では会社は退職金で損金計上、個人は退職所得として退職控除や2分の一の評価を享受できることとなります。

ただ、その退職金も、相続時点で現金で残っていれば、相続税の対象です・・・

法人税や所得税はメリットがありますよ・・・と考えていたら・・・最後に相続税が待っているという・・・日本の税制の巧みさがうかがえます・・・

このように考えていくと、社長の引退後の生活費や夢の実現、社長の相続税のシミュレーションで相続税がいくらかかってくるのか、会社を引き継ぐ子供には会社の株式を集中させて相続させるとしてそしてその他の子供には何を相続させるのか、その遺産分割の考え方で遺留分の問題はないか、相続税はどうやって納税するか、非上場株式等の納税猶予は使うべきであるのか、さらに株価を下げるいい手はないか、等々、社長の遺産分割、納税、等を、よくよく考えた上で生命保険の加入方法も考えなければならなさそうです・・・

たとえば・・・引退後の生活等の資金が会社への貸付金で賄えるのであれば、退職金は死亡退職金として準備し退職手当金等の非課税(500万円×法定相続人の数)枠をつかって相続税の課税価格を圧縮し、その死亡退職金を相続税の納税に充てるといったような方法も考えられるでしょう。

もちろん、生前退職金として引退後の生活資金を準備し、納税や遺産分割のための生命保険を別途、加入する方法もあるでしょう・・・

また、生前退職金も気持ち良く使えててしまうかというと・・・どうでしょう・・・

オーナー企業にとって会社の財布は自分の財布・・・たとえ、子供に事業を譲ったとしてもその思いは変わらないでしょう・・・

この時代、いつ、不景気の波に襲われるかもしれません・・・個人に支給された退職金もストックする傾向が多くなるかもしれません・・・

個人でストックしたまま、突然の相続が開始するとそのストック金額が相続税の対象となってきます。

もしかしたら、会社にストックしておいた方が、税金は低く納まるかもしれない・・・

これは、自分の会社の株価の算定をしてみて、シミュレーションしてみるほか、結論の出ない話でしょう・・・

また、この株価も、毎年の業績で大きく変動することもあれば・・・ほとんど変動しないときもあります。


ここまで、思いつくままお話しましたが・・・

オーナー社長の相続のシミュレーションには株価が大きな比重を占めます・・・

個人の相続も会社の事業承継も株価が大きく影響してきます。

こうなってくると、相続・事業承継にとっても、重要なのは、当たり前の話で・・・『会社の事業計画』をきちんとした計画書として毎年、毎年、作成していくことでしょう。

前期の業績の分析、今期の目標、来期以降の長期計画、事業方針、会社の理念、等々・・・

これから、会社をどのようにしていきたいのか・・・極論、上場を目指すのか等々・・・

このように事業計画を練りながら株価の推移も考えてみるべきでしょう・・・

株価の推移を考えたら、遺産分割を遺留分も考慮しながら考えてみる(必ずしも遺留分を守らなければならないというわけではありませんが、本人がそれでいいといえばいい話です。)、相続税のシミュレーションをして納税を考える、そして節税できるものは節税を考えていく・・・とうことを行っていくべきでしょう・・・

そして、大事なのは、会社と個人の財産のデューデリジェンス(細かな調査かつ分析)を行っておくことでしょう・・・

会社でいえば、資産、負債を洗い出すことによって、特に資産のうちに劣化しているものがあれば、損金算入も可能となってきます。

不良在庫や減価償却の未償却等々・・・

このように、資産のなかから損金算入の可能性を探っておけば、例えば、オーナー社長の貸付金を消去るための債権放棄の時に劣化資産の損金を計上して法人税を圧縮するなどの対策も行えることとなります。

個人でいえば、相続時に課税対象となる相続財産を洗い出し、株価の算定や土地の評価をおこなって個人の相続税をシミュレーションしてみることが必要でしょう。

そして、何といっても、後継者を定めての事業の引き継ぎや遺産分割の方法を考えていく・・・納税の方法も考えながら・・・


このようにして、間違いのない生命保険の活用を考えていくべきと考えます・・・

また、節税に関していえば、個人と法人のお金の流れによって、法人税、所得税、相続税、贈与税が絡み合ってきます。

全ての税法に目を配りながら、考えていかなければありませんので、事業保障を除いた生命保険の活用の答えは、とても難しい問題かもしれません・・・

いずれにしても、まずは、法人の財務状況、個人の財産の調査と分析を行ってみることでしょう・・・

最後に、個人、法人の所有している不動産の対策が、また重要なポイントなりますので財務や財産の確認には不動産のきちんとした調査・分析は不可欠なものとなってくるでしょう・・・

荒木不動産コンサルティングFP事務所は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅取得や住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。

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14年04月27日 09時34分21秒
Posted by: arakisouzoku

資産防衛のためには、財産の大半を占める不動産の調査や分析は不可欠です・・・

不動産を数多く所有する地主さんも不動産は自宅のみといったかたにも、その調査や分析は重要なこととなります・・・

その調査や分析は、何を知り得るために行いたいのか・・・何を目的とするのか・・・

その第一は、その不動産の現状の価値を知る・・・極論、いくらで売れるものであるのか、換価するとキャッシュは手許にいくら入ってくるのか・・・または、土地活用した場合に毎年毎年いくらの収入が見込めるのか、その収入は売却できる金額に対してどの程度の利回りとなってくるのか等の投資効率を、改めて認識してみることでしょう。

その価値を知ることは、何のために必要となってくるのか・・・

遺産分割で考えた場合、国債等の債権や上場株のように相場が決まっていない不動産は、相続人間でその価値を話あってその価値を協議していきます。

法定相続分での分割を前提としている場合、その不動産の価値の金額如何で、遺産分割で取得できる相続財産が変わってきます。

不動産を取得する相続人は、不動産の価値は低い方を望むでしょうし、それ以外の相続人は不動産の価値は高いことを望むでしょう。

このようなことが、遺産分割が纏まりにくい一つの要因ともなっているようです・・・

不動産は自宅のみといった場合等で、相続財産のうちに占めるその自宅の価値の割合が実に7割や8割を占めるといったようなとき、その自宅は長男に引き継がせる場合、その自宅の価値を算出してその他の相続財産の価値との合計額を見据えて、それぞれの子供への分割を、生前に考えておくべきでしょう・・・

長男には自宅、その自宅は相続財産の実に8割を占めている、子供は他に二男と三男・・・二人合わせた遺留分は1/3・・・
遺言書を遺したとしても遺留分の不足分は、代償分割等で手当てしなければなりません・・・

ここで、その自宅という不動産の価値をいくらで設定して遺留分を考えておくべきか・・・

このようなためにも、不動産の価値を知ってておくことが必要となってきます。

不動産を数多く所有している方の場合は、将来の資産防衛のために、やはり①遺産分割対策、②納税資金対策、③節税対策、等々、優先順位は①から③の順と言われていますが、同時並行的に進めていく必要があります・・・

不動産が数多くあれば、各相続人にそれなりに財産分与は出来ることとなりますので、どのように分けていくかを考えて遺留分を考慮した遺言書を遺して、時には代償分割等の手当てを考えておけば、円満とならずとも円滑な遺産分割で終えることはできるでしょう・・・

その遺産分割対策(争族対策)を考えるには、やはりきちんとした調査に基づく不動産の価値が分かっていたいところです・・・

駅近とロードサイドの商業用施設2つを子供2人にそれぞれ分けるといった場合、一つの商業施設は駅に近く土地の価格が高いことからその他の金融資産等の相続財産は少なめとして一人の子供が貰うこととし、もう1人の子供は駅から離れた土地の価格の低い商業施設であることからその他の金融資産等の相続財産を多く貰うこととした遺言書が遺されていたとします。

実は、その2つの商業施設は、駅に近いものは老朽化していることと駅前シャッター通りの影響も受けて賃料は大幅に下落している、反対に駅から離れたロードサイドの商業施設は車の往来が激しく大いに流行っており賃料は安定している、といった場合、公示価格等の土地の価額だけではその土地の価値を適正にあらわせるものではないでしょう。

商業施設を止めた時点での、キャピタルゲインは駅に近い土地の方が高いかもしれませんが、商業施設として利用している期間のインカムゲインの累計額でそのキャピタルゲインの差額が大きく逆転することも考えられます。

このように、土地の価値は、キャピタルゲインとインカムゲインの両面で将来性をも考慮したうえで算定していくべきでしょう。

その点を怠ると、一見すると平等に考えたはずの遺産分割が、実は、大いに不公平なものとなってしまうかもしれません。

円滑な遺産分割はできるでしょうが、円満にはなりえないかもしれません・・・

また、資産防衛の観点から考えると、土地の価値を公示価格等の値段というもののみで捉えるのではなくて、上段と同様にその活用の状況に拠っての優劣やその将来性を考慮して捉えるべきでしょう・・・

数多くの土地を所有していると当然に、相続税の納税を憂慮しなければなりません。

また、ただの更地で稼げない土地であっても固定資産税等の経費は、毎年かかってくるものですから、土地のリストラ計画も必要となるでしょう・・・稼げない土地は売れるときに売ってその他の稼げる資産に移転していく等・・・以外に本人にとって稼げない土地もその土地の近隣の方にとっては価値のある土地であったりもします。

それで、土地の価値を知るための調査は何・・・といった場合、それは当たり前の調査をするしかないでしょう・・・

都市計画や建築基準法等の法令上の制限を確認する・・・

市街化区域、調整区域、非線引き区域等・・・用途地域、高度地区、特定街区、風致地区等・・・道路制限など・・・

それぞれの土地ごとのかかっている制限の確認が必要です。

道路のセットバックの有無、建てられるもの、建てられないもの、建てられる階数や面積、隣家の火事に備える防火基準、斜線制限による高さの制限等々・・・数え上げたら書ききれなくなってきます。

そして、立地や環境、駅から何分、小学校や中学校まで何分、学区の小中学校の人気(県内一の進学校への進学率の高い公立中学校等)によって価格が変わる場合もあります、そしてスーパーやコンビニ等の商業施設や病院までの距離等々、がその価格に跳ね返ってきます・・・

そして、その土地ごとのその家族にとっての価値も計るべきでしょう・・・

優良な住宅地にある土地、売りに出せば住宅用地としてすぐ売れてしまうほどの人気がある・・・

だけど、住宅は既に所有しているので住宅は必要ない・・・ではその土地に有効活用といった場合、駅から15分も離れた静かな住宅地のため、余り有効活用に適しないといったケースもあるでしょう・・・

他の人にとっては、とても貴重な土地でも本人にとっては売りやすい土地というだけで・・・稼げないといったことがあるわけです。

このような土地は、すぐ売却できるわけですから、子供の住宅用地にあいたいとかいった目的が無い場合は、相続税の納税資金用として青空駐車場としておくのも良いかもしれません・・・

このようにして調査や分析を重ねて、残していきたい土地(自宅や活用)、相続税の納税用とする土地、売れるものならすぐ売却して組み替えたい土地、等に整理して来るべき相続に備えておくべきでしょう。

もちろん、遺産分割のことも考えながらです・・・


そして土地の価値の他の不動産調査の目的は不動産に関連する税金を押さえておくということでしょう・・・

不動産に関連する税金・・・売却すれば個人であれば譲渡所得として所得税、法人であれば法人税が課税されることとなります。

これは、基本的には売買という経済行為がともなって発生するものですから、不動産の代わりに現金が手許に入ってきますので原則、納税の資金には困りません・・・いわゆる担税力があるということです。

それに反して、不動産を所有しているだけでかかってくる税金の代表は固定資産税、そして相続税・・・相続税は家単位でいえば所有しているだけという概念となるのですが個人単位で考えることから親から子に財産が無償で移転したことの対する子供の財産が無償で増えたという事実に課税するもののようです。

この固定資産税や相続税での悩みや問題は税金を納める原資がないといった場合が大いにありえることです・・・

稼げない土地にも、固定資産税や相続税は課税されてきます。

それも、稼げない更地であればあるほど、税金は高く算出されます。

この事実に便乗じてのアパートやマンション建築の営業が盛んにおこなわれています。

アパートやマンションを建てると税金が安くなりますとの営業トークで、新駅の周辺は新築アパートやマンションが目白押しです。

駅から歩10分以内の立地であれば将来の空室リスクは少ないでしょうが、歩10分を超えてくると築10年も超えてくると競争力の低下から空室リスクは高いものとなってくるでしょう・・・

ここで、注意したいのは駅から10分も超える立地のアパート等の建築は、相続税は実際いくらかかってくるのかを確認し、その納税資金ははいかに手当できるかを検証しながら考えるべきでしょう・・・

空室リスクを負ってまでも、アパート建築による相続税の軽減を図るべきであるのか・・・否か・・・を判断すべきでしょう。

もしかしたら、その他の土地の利用区分を工夫した不整形地等の評価で何とか満足いく節税が可能となるということもありえます。

このように、全体的な調査と分析をきちんとおこなったうえで、全体的なバランスを観ながら・・・リスクを伴った事業計画は練っていくべきでしょう・・・

資産防衛のための対策を練っていくうえでは、不動産の調査と分析はやってもやり過ぎるということは無いのではないでしょうか・・・


 

14年04月24日 06時36分39秒
Posted by: arakisouzoku

将来の相続に備えて、少しでも資産の防衛が出来るように、遺産分割や納税、節税等の方策を考える必要があります。

資産防衛で、まず、やるべきこと・・・

まずは相続税を始めとした納税によるキャッシュアウトを防衛したい・・・

一番には、税法の特例規定を、使い切ることが重要です。

広大地の特例、相続税の小規模宅地等の課税価格の計算の特例、農地や非上場株式の納税猶予、相続税の配偶者の軽減、住宅取得資金の贈与の非課税、教育資金の贈与の非課税、暦年贈与の非課税、生命保険金等の非課税、退職手当金等の非課税、等々・・・要件を満たせば課税の対象外となります。

例えば、貸家オーナーのお祖父ちゃんの場合、小規模企業共済に加入して、毎年の家賃収入を現預金で残すものから死亡退職金として残すものに切り替えることにより、500万円×法定相続人の数で計算された金額相当分が相続税の計算上は非課税の扱いとなって課税価格に算入しなくて済みます。

また、90歳まで無告知で加入できる一時金で加入できる生命保険の商品もありますので、生命保険金等の非課税(500万円×法定相続人の数)の枠に余裕がある方は、80歳を過ぎても病歴に関係なく(原則、入院していなければOK)加入できますので、このような金融商品で相続税の非課税の規定を上手に利用するのも効果的です。

生前の暦年贈与の非課税も効率的に利用すべきでしょう・・・

毎年、110万円までの贈与は非課税となりますので、子供、孫を含めて例えば6人の直系卑属がいる場合、毎年660万円までの贈与が非課税となりますので、計画的に贈与の非課税は利用するのも効果的な対策です。

もっとも、生前に贈与で現預金等を渡してしまうと、安心して使われてしまうこともありますので、生命保険等に加入させてほうがいいかも知れません、また、生前贈与の加算にも注意が必要です。

まずは、税法の特例に何があるかを知って、使える特例は使っていく、使えるようにしておく、ということがリスクのない節税対策となりますので、先ずは検討しておくことが重要です。

そして、遺産分割を考えて、できれば遺言書(無難的には公正証書遺言)を遺しておくことも考えるべきでしょう。

上段でお話しました税法の特例のなかには、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10月以内)までの遺産分割が纏まってうないと使えないもの(小規模宅地等や配偶者の税額軽減等)もあります。

農地等の納税猶予を除いては、申告期限から3年以内に遺産分割がまとまれば、遡ってその特例が適用でき更正の請求が提出できるものもありますが、一度は納税しなければなりません。

このように、そもそも論として遺産分割で躓いてしまうと、せっかくの税法の特例の適用が受けられなくなってしまうものがありますので、円滑な遺産分割のための手立てはしておいてあげるべきでしょう。

円滑な遺産分割が、資産防衛のためにも大事なキーポイントとなってきます。

そして、相続税の納税に充てられる金融資産が無いときには、納税に備えた資金計画をたてておくべきです。

相続財産のうちに占める財産の多数が不動産である場合は、特にその納税計画を考えておくことは重要です。

自宅や子供や孫の住宅用の土地もしくは活用して稼いでもらう土地等の残しておきたい土地、将来の納税用にいつでも売却できるようにしておく土地、固定資産税ばかりかかって稼げない売却できるならすぐ売却したい土地、等々の仕分けを行って、売却や土地活用から上がってくる収入での納税計画を立てていくことが重要です。

ここで、土地活用を考えていくうえでは、節税にもつながりますし、土地活用のためにした借入金の返済リスクを負うことにもなりますので、慎重な計画が重要なこととなります。

アパートをたてれば、土地や建物の相続税の財産評価額の計算上、節税効果が期待できることとなります。

相続税は下げられるものの、肝心のアパートの経営が行き詰るとアパートの建築資金の返済に詰まってしまい、借入金返済のためにアパートやその他の不動産まで売却しかねないといったことも起こりえます。

そのような事態に陥らないためには、遺産分割や納税計画、土地活用や保険の活用等の相続対策を考えるうえで、全ての不動産の調査・分析がとても重要です。

その不動産調査とは、どのようなことを行っているのか・・・

①不動産の価値をしること(いくらで売れるものなのか・・・いくら稼げるものなのか・・・)

②不動産を所有していることによる将来を含めた税金の負担(不動産を所有することでいくら負担が生じるのか・・・)

大きくは・・・この2点を調べていくだけのことでしょう・・・

具体的な不動産調査のお話は、次回にお話させていただきます。


 

14年04月22日 11時21分52秒
Posted by: arakisouzoku

先週の土曜日に参加したセミナーのお話です。

セミナーの内容は、相続に備えた不動産の資産防衛と活用に関するお話でした。

どちらかというと、土地を相当数、所有されている地主さん層向けのお話でした。

冒頭から約半分は、海外不動産の情報のお話でした。

シンガポールの不動産市場のお話が多く、当初は、中古アパート経営での相続対策の話であったはずなのに面食らって聞いていました。

海外不動産の情報は、それなりに楽しめて聞けました。

それにしてもシンガポール・・・いろいろと耳にしてはいましたが、活気ある開発が目白押しの感じがしました。

人口も増加(移民)しており、不動産相場も上昇中とのことでた。

昔から、海上通運の貿易の要衝の地であったことから、金融業やサービス業には強みがあるような感じがしました。

日本の湾岸エリアも、もと活発な開発があってもいいかもしれないと改めて思ってしまいます。

カジノの建設等々・・・いずれにしても、東京五輪の開発後の湾岸エリアが楽しみではあると思っていいますが・・・

シンガポールにドバイ・・・勢いがあります・・・が、バブルの崩壊のリスクもあるような気もしますが・・・

話は、もとにもどって、やっと、相続対策のお話となったわけですが・・・

将来の相続に備えた不動産対策として、まず、何をやっているか・・・

当たり前の事ですが、全ての不動産を現地で確認して調査することです。

それから、いわゆる現状分析と呼ばれる調査内容をこと細かに分析していく作業を行っているようでした。

かなり、詳細の資料をつくられることもあるようです。

調査報告書として、1冊の製本として提出されているそうです。

見本を見せてくれました(中身は見せてくれませんでしたが・・・)が、厚さは4cm弱はあろうというものでした。

(私の場合は、製本ではなく、ファイルとして提出しますが、厚さは8cmというときもあります。)

この調査や分析の内容は、プロジェクタ―で写し出されたもので見せて頂きましたが、見事なまでに詳細に調査されていました。

この講師の先生は、もと、ハウスメーカーで住宅の営業経験がある方でしたので、建築に絡んでくる調査はお手のもののような感じでした。

土地の調査は、住宅地図、公図、測量図、インフラ資料、道路図、始めとした関連資料の全てを取得し、道路の区分や制限、建築制限、等々、こと細かにレポートして纏めている感じです。

一つの事例として、自宅の奥にある生産緑地の土地(道路に接道していません)があったそうです。

自宅の奥にあるので、接道していない・・・

接道してないと隣家の方が購入することくらいしか望めませんので、相場はおおよそ坪5万円・・・

これが、道路に接道できて住宅用地として売却できるようになれば、坪40万円・・・

200坪はあろうという広さ・・・その差は8000万円強・・・

道路からその生産緑地には水路と赤道が続いている・・・

この水路と赤道を市役所や財務省の立会のもとに何度も調整を図って、道路としての許可を取得できたそうです。

道路の許可というか、その生産緑地には建物が建築可能となったそうです。

この交渉や手間は、かなりの難度のたかいものであったろうと想像できます。

さらに、この対策は、その他の不動産もすべて調査したうえでの導き出されたものでした。

その他の不動産には、古いアパートなどの貸家が、3つの地域に散在していました。

そのほか比較的、新しいアパートが、2つの地域に散在・・・

問題は、古いアパートの処遇、建て替えるか、更地にして売却か、リニューアルしてもう少し稼いでもらうか・・・

結論は、リニューアルにしたそうです。

その答えは、全ての不動産の調査や分析を行ったうえで、将来の相続税の納税資金や節税、そして現在の貸家の収支状況を分析しての答えだったそうです。

比較的、新しいアパートが老朽化するまで、もう少し老朽化するまで、リニューアルで稼いでもらって、時がきたら順次、建て替えていきながら競争力を高めていく方策をとったようです。

老朽化しているとはいえ、そのリニューアルは外観デザインや外構のデザインまでを見直す大がかりなものでした。

当然に、工事代金は、相当額かかったようですが、全ての賃貸物件の収支を将来にわたってシビアに予想しながらの計画でしたので、オーナーさんも安心して任せられたようです。

何のといっても、無道路の生産緑地の土地が、建物が建てられるようになっています。

いきなりの相続が発生しても、納税用にいつでも売却できる土地が新たに産まれたのは、心強いばかりでしょう。


相続の対策を立案する上では、全ての土地を見せて頂くこと、全ての活用物件の状況を教えてもらうこと、ある程度の精度の相続税シミュレーションが可能な情報(現預金、株式等の金融商品や生命保険等)がいただけることが、前提となるでしょう・・・

そして、調査、分析の報告をしたら、対策の提案です。

この提案で、土地活用の提案をするときに重要なのは、土地の価額もあわせての利回りを確認すべしのお話もありました。

私の場合も、建物の建築価格に土地の公示価格等の金額を加算しての利回りで確認するようにしています。

これは、土地を売却した金額に建物の工事代金を加算した同等の金額で、売りに出ている他の不動産の利回りと比較するためです。

あまりに低い利回りの場合、土地を売却して、貸家を建築した気になって、その分の借入金額をたして、優良な投資不動産を購入する方が得策ともいえます。

いわゆる、組替えの提案です。

これも、やはり全体の不動産、さらには金融資産等を含めた、全体の財産のバランスを見ながら考えていくべきでしょう。

5年後のキャッシュフロー、10年後、20年後、30年後のキャッシュフロー、そして相続対策、分割、納税、節税・・・

この全体像を、描きながら、自分の希望を満たせるような対策を練り上げていけば、よろしいかと思います。

やはり、入り口での、調査、分析が・・・相続対策のキーポイントとなるようです・・・


 

14年04月20日 12時06分58秒
Posted by: arakisouzoku

昨日は、某出版社の出版記念セミナーに参加してきました。

2冊の本のセミナーでしたが、両方とも相続対策についてのセミナーでした。

一つのセミナーは、資産税専門の税理士の方のセミナーでした・・・

この先生は、同業の税理士の方に営業をしているそうです・・・

法人や個人の申告業務をメインにしている税理士の殆どのかたは、相続税は苦手と言われています・

全国で7万人近い税理士のかたがいるなかで、相続税の申告は、年間約5万2千件(平成24年)です。

年間に税理士一人に対し相続税の申告業務は1件にも及びません。

そして、相続税の税務調査の比率は、約23.5%で、そのうち、申告漏れの割合は81.6%にものぽるようです。

これは、慣れない税理士のかたの申告漏れが多いそうです。

その申告漏れとなってしまう原因は土地の評価というよりは、預貯金がそのほとんどの原因のようです。

相続税の申告に不慣れなことに拠る預貯金の把握のあいまいさによるもののようです。

全ての預貯金の通帳を過去7年間にさかのぼって、その入出金を確認しているか・・・

子供や孫の名義の預貯金が名義預金と認定されないか・・・

等々、その原因はさざまでしょう・・・

この講師の先生は、そんな相続税を得意としない税理士のかたが抱えているお客様の相続問題を一緒に解決していきましょうと営業活動をかけているそうです。

ある意味、セカンドオピニオンとして、相続対策を実践していくそうです。

会計事務所は、一定期間の業績の結果を適正に集計して財務諸表を作成し申告書を提出することを、その業務としています。

その経営の考え方は、職員にたいして、一つの申告書を何時間で処理したかを、大きな指標としています。

私も、1年半近くを会計事務所で勤務しましたが、毎日、お客様毎の仕事に費やした時間を記録することとなっていました。

月次の訪問で何時間、伝票入力で何時間、申告書作成で何時間、といったようにです。

相続対策というのは、相続が始まる前に、資産防衛のためのいろいろな策を施すものです・・・

会計事務所の体質は、毎月通って試算表をつくったりとか、申告書を作成して提出したりとか、等の役務の提供には胸をはって請求書を出せるのですが、将来の対策のために遺言書の作成や相続税のシミュレーション等のいわゆるコンサルタント業務的なものはサービス業務となってしまう場合が多いようです。

こうなってくると、目の前の売り上げに直結する申告業務等に傾注するほかなく、なかなか、相続対策等の生前のコンサルテイングは、その実行は厳しいものとなってきます。

もっとも、生命保険の代理店業務等を、業務にとりいれて成功報酬的な売り上げを定期的に上げられるようにすれば、コンサルティング業務もこなしていけるようになるやもしれませんが・・・

私が、以前、勤めていた会計事務所でけっこうな不動産を所有しているお客様を引き継いだことがあります。

賃貸アパートが4棟、賃貸マンションが1棟、駐車場が2カ所、クリニックモールが1棟、等々、賃料収入で年間4~5000万円程度の収入があります。

この収入から、水道光熱費や固定資産税、修繕費、ローンの元金と金利等をしはらっていかなければなりません。

賃貸物件のうち、深刻な問題がありました。

クリニックモール、全6室のうち、2室が空室でした・・・クリニックモールの空室は、本当に経営に響いてきます。

賃料が、月30~40万円・・・この空室は非常に痛いものとなってきます。

このお客様は、所得税対策として、不動産管理法人を設立して、家族を社員として給料を支払い所得分散し、各人の給与所得控除と超過累進税率の税率を下げるといった対策を行っていました。

そして、個人の所得税の申告書4人分(同族会社の社員)と不動産管理法人の申告書の引き継ぎを受けました。

その数値をみると・・・気になるのは手許にいくら残っているかです・・・

赤字ではないのは確実も、ローン(住宅と事業用)の支払いが大きく、決算書では元金の弁済は盛り込まれませんので、どうしても気になるので、仕方ない簡易なキャッシュフローの計算をしてみました。

何で気になったか…所得分散をすることによって、本来はお祖父ちゃんの大きな財布一つで管理されていたのが、色々な財布をつくって分散させたことにより、お金が実施にいくら残っているかの把握が難しくなっていました。

せめて年に1回は所得分散した金額を一つに集計して、実際にいくら手許にキャシュが残っているかを検証しないと、今後の賃貸物件の空室リスクの限界の見極めがつかないからです。

ただ、この業務は所長の指示は何もありません・・・業務時間中は、毎日の業務ごとの時間の報告義務があるためごまかすこともできません・・・

本当のことをいって作業をすれば、やらなくていいと言われかねません・・・

そうなると、自宅でのサービス業務・・・それでも気になって集計しました。

結果、手許の残金は、おおよそ400万円・・・といっても、申告書から導き出した数値ですから、社会保障料やある程度の保険料は負担済みの金額です。

その400万円で、生活に必要な食費や水道光熱費(自宅分)等を、賄えれば生活には困窮しません。

ただ、すこしでも、空室が増えてくると生活そのものが苦しくなりかねません・・・

手許残、400万円・・・これは心もとないです・・・

なにしろ・・・借金は2億円(自宅+事業)を超えているわけですから・・・

そして、前任者に質問をします・・・たとえば、住宅ローンが6000万円、さいたま市が本拠であるにもかかわらず、成田のお祖母ちゃんの実家の近くに建築している・・・そして定期的にさいたま市の本拠に通ってきている・・・前任者は?です・・・

建てた家は100坪で大手のハウスメーカー・・・?6000万円で建つわけがない・・・前任者は?です・・・

そうです・・・申告以外は興味がないのです・・・最も申告以外は評価対象外です。

そして、お客様に聞きました・・・なぜ、別宅を建てましたか?・・・お祖母ちゃんが高齢になって故郷の近くで住みたいよいうこととさいたま市の自宅は老朽化しており、ここは建て替えるよりは、将来の事業用の資産として活用したいとの意向でした・・・なるほどと思いながら、自宅はいくらかかりましたか、お話を聞く限り6000万円+αでは立たないと思いますが・・・1億円は優に超えています・・・なぜ、6000万円の借入金にしたのですか・・・手許に残るお金から支払える限度が6000万円でした・・・

結果、お客様本人は、当然に手許にに残るお金は、身をもって知っているわけですから、残り400万円を残して借りれるローンが6000万円だっということです。

やっと、いろいろなことが分かってきました・・・

自己資金4000万円は、われわれが管理していない別の口座から出している・・・ということは、まだ、別の大きな口座があるらしい・・・等々、

そして、何より、お客様本人は、空室のリスクをとても憂慮していることなど・・・

何も考えずにいたのは、会計顧問の担当者のみだったということ・・・もっとも、お客様は会計事務所に空室等の対策は期待しておりませんでしたので、会計指導だけしてくれればいいという感じでした。

これでは、そもそも論として・・・相続の対策には入っていけないでしょう・・・

昨日のセミナーの講師の先生は、相続増税に備えた対策として、基本的なものは次の3つをあげていました。

①生前贈与・・・②小規模宅地等の特例・・・③生命保険の活用・・・

よく耳にする基本的なものばかりです・・・

ただ、お話をきいていて、なるほどなと思ったのは、対策を考える際には、すべての財産を教えてもらうこと、相続税のシミュレーションを出してみること、そのうえで各対策を行ったうえでのメリット・デメリットを検証してすすめていくそうです。

相続税がさほどかからないのに、登記料や不動産取得税等を負担してまでも、贈与税の配偶者控除を利用するものか否か等・・・

当たり前のお話のなかに、当たり前でないものを感じたのは、その判断基準となるべき調査や分析の内容とそれから導き出される提案は、非常に有効な質の高いものであろうなと感じました。

おそらく、本人もいっていた経験値からくるものでしょう・・・

全体を総括してみてからでないと、その人その人で、対策の有効性は異なってくるので、何がいいかは全体の財産や状況を把握してからと、おっしゃっていました。

昨日のセミナーは、レジメは基本的なものばかり書かれていて、また、同じ内容と思っていましたが、当たり前のことを当たり前に相続対策しても、その判断基準の違いで大きな結果の差となって表れてくることが分かりました。

出口の対策よりも、まずは、入口の調査、分析がとても重要なことのようです・・・

もう一つのセミナーは、不動産コンサルタントのかたのお話でしたが、やはり、事前の調査が、いかに重要かのお話がありりました。

詳細は、次の機会で紹介させていただきます。

 

 

14年04月18日 13時38分03秒
Posted by: arakisouzoku

来年からの相続税法改正(基礎控除額が現行の60%に改正他)にむけて、銀行、信託銀行、生保会社、建築会社、デベロッパー等々・・・個人の財産に絡んでくるあらゆる業種や業態の会社が、こぞって相続対策を売り文句とした営業戦略をたてているような感じがします。

相続対策・・・相続と言えば・・・税金・・・相続税といえば一部の資産家の悩むものと思われがちですが、実際は税金に関係ない遺産分割での悩みが深刻なものとなってきます。

兄弟間で親の遺した財産をめぐっての争いがおきた場合、その話し合いの収拾は困難を極めることとなってきます。

多くの財産があるからもめるのか・・・

実は、家庭裁判所への相続の調停申し込みは、相続財産5000万円以下の人の割合が70%を超えるといったデーターもあるように、相続税がかかってくる人のみが心配なのではなく、むしろ、相続税がかかってこない人のほうが遺産分割が纏まらないといった結果となっています。

この要因としては、相続財産の内訳に占める割合として金融資産に比べて不動産の比率が高いことがあるかもしれません。

国税庁の資料では、相続財産のうち不動産(土地+家屋)の占める割合は、約57%(平成21年)となっています。

あくまで、これは、全国平均値さらには路線価ベースでの対比です。

これが、公示価格や実勢相場(路線価は公示価格の約80%で評価)で対比した場合、さらに東京や大阪といった都心部である場合は、その対比は70%をゆうに超えてくるものかもしれません・・・

相続財産のうちに不動産の割合が多いということは、兄弟間で均等に分けるのが難しいからです。

昔は、均等に分筆して分けるのが困難な場合は、均等に共有持分で分割しているケースは多く見受けられました。

そして、50年後には、その共有者は、30人をこえ会ったことも見たことも無い遠い親族と共有している事となってしまいます。

現に、2世帯住居(建物は親との共有持分)を親の土地に建てて住んでいた長男が、母の2次相続で2世帯住宅の土地の分を含めた相続財産の均等分割を要求され、どうにもならずに2世帯住宅を売却して換価分割した例もあります。

また、相続税がかかってくるといった場合、その相続財産の殆どが不動産、相続税を支払える金融資産が無いといった場合、手持ちの不動産を売却して相続税を納める必要がでてきます。

相続の開始後(被相続人の死亡を知った日の翌日)10カ月以内に相続税を計算して国に納付しなければなりません・・・

その時に、すぐ、売却できる土地はなにかです・・・

貸家や賃貸マンションが建っている場合、新しければまだしも、老朽化していた場合は買手は更地での売買を希望するでしょう。

賃借人がいると立退きの交渉が必要となってきます。

そのまま、賃借人つき、オーナチェンジで購入してくれればいいですが、買手が新築前提で考えている場合、ありえない話でしょう。

急な相続でそんな局面に立たされた場合、売却できる土地はどれか・・・たまたま、一番条件のいい虎の子とも言うべき土地の賃貸借契約が完了し、すぐ売却できる状況であったため、その虎の子の土地を売却して相続税を支払ったというケースもあります。

上記のようにならないためには、あらかじめ、長男との2世帯住居を建てるときに遺言書を遺しておくこと、さらには、遺言書があっても遺留分の権利はありますので、不動産の実勢相場をきちんと把握して、遺留分相当額を長男が代償して支払える準備はしておくべきでしょう・・・

ここで、必要なのは、遺産分割での不動産の価格を、どう想定しておくかでしょう・・・

実際の遺産分割では、相続人間でその価格を話会いで決めていきます。

いま、売ったらいくらで売れる・・・といった実勢相場から路線価や固定資産税評価額まで様々な価格があります。

いわゆる一物四価と呼ばれるもので、①固定資産税評価額、②路線価、③公示価格・基準地価格、④実勢相場の4つです。

①から④に行くに従って、高い水準の価格となってきます・・・

それぞれの価格を算出して、他の財産の価格も考慮しながら遺される方が自分で判断していくほかないでしょう・・・

また、納税にあたっては、いつ、相続が発生しても慌てずに納税できる準備はしておくべきでしょう・・・

そのためには、相続税のシミュレーションをして、いくら支払う予定なのかを把握して、手持ちの不動産のうち納税用に売却しても惜しくない不動産を選定しておくべきでしょう。

そして、すぐ、売れるように駐車場等にしておく等の対策が必要です。

この場合は、手持ちの不動産の全てを改めて見直して、残すもの、売却してもいいもの、等に振り分けておくべきでしょう。

相続に備えるために、とにもかくにも、まずは・・・不動産を改めて見直してみてください。

何か、思わぬ気付きやアイデアが思いつくかもしれません・・・


 

14年04月17日 13時25分30秒
Posted by: arakisouzoku

GWももうじきです・・・

今年は、4月からの消費増税で多くの業界ではてんやわんやの大騒ぎであったのではないでしょうか・・・

スーパーのような小売店舗ではレジの消費税の税率の変更から値札の変更、事務所や店舗のオーナーの方は消費税増税による賃料改定のお知らせ、等々、バスや電車の料金改定、等々・・・

その手間暇を考えると、3月31日は、寝る間もなく働き詰めの人が大勢いらっしゃたのではと・・・感じます。

そして、いよいよ、GWが間近となってきました。

今年は4月26日から5月6日でしょうか・・・

2連休、一日おいて1休、3日おいて4連休、という感じです。

製造業等は、11連休などという会社も出てくるやもしれません・・・

例年、GWというと観光地は渋滞、宿泊場所は満杯といったような状態です。

私のGWていうと、長らく、住宅の営業の仕事をやっていましたので、GWは稼ぎ時・・・休むなどとという生活には縁がありませんでした。

4月のいまくらいの時期になると、モデルハウスで配るノベルティやパンフレットやリーフレット、各種キャンペーンの告知等で大わらわになっていました。

そして、GW、多くの人が住宅展示場に訪れてきます・・・

全ての人が、具体的に住宅の建築を考えられているばかりではなく、お子さんが展示場の催し物の仮面ライダーに会うために来場したという方も、相当数いらっしゃいます・・・・

例年の掻きいれ時のGW・・・今年はどうでしょうか・・・

3月末までに相当の消費増税の駆込み需要による契約が上がったようですから、その影響が気になるところです。

昨年が良かっただけに、その反動として営業マンのため息が聞こえてくるようです・・・

逆にいうと、需要と供給・・・買手側からすると、強気の値引き交渉のチャンスでしょう・・・

ハウスメーカーは、ある年はいっぱい建てて、その翌年はその分少なくていいや・・・というわけにはいきません。

毎年、継続して職人さんに仕事を出さなければなりません・・・

需要がおちれば、価格やサービスや質の向上を頑張って安定した受注を取り続けなければなりません・・・

建築は不景気のときに建てるべきとは、よくいわれることです。

とはいえ、消費増税後の駆け込み需要の後とはいえ、東北の復興需要や東京五輪需要で建築業界はバブル状態ですので、住宅建築は落ち込んだとしても、建築業界全体を考えると一概には、そうはいえないという気もします。

そうなると、住宅メーカーは、きつい立場となるわけですが、お客様には価格を頑張って、サービスや質を上げながら、その負担分を職人さんに転嫁することは厳しく、ここは我慢のしどきとなってくるでしょう・・・

何がいいたいか・・・論点がぼやけてしまいました・・・

個人的には消費増税後であっても金利水準の低いいまは、住宅建築のチャンスとかんじています。

住宅ローン減税は拡充されますし、住まい給付金の制度もできました。

もっとも、住宅ローン減税拡充のメリットは、ある程度の借入金を超えてこないと生じませんが・・・

強気の値引交渉の可能性まで考えると・・・3%の消費税分くらいは、辻褄があってくるような気がします。

ただ、それは、あくまで金利水準が低い、いまの水準が前提ですので、来年以降はどうなるか・・?

消費税10%も予定されていますし、金利はどうなるか・・・?

購入の予定があるなら、今年はチャンスという気がしています。

かといって、無理して購入するのは厳禁・・・

老後の必要となる準備資金や子どもの教育資金をよくよく検証したうえで無理のない住宅ローン返済額の範疇内で住宅の購入を検討してください。

また、都心部や都市近郊の路線価の比較的高い地域に持ち家の実家がある場合は、来年からの相続税の基礎控除額減額に伴う相続税にも気をかけてみてください・・・

もしかしたら、相続税の小規模宅地等の課税価格計算の特例の規定を適用させた方がいいと・・・同居の2世帯住宅にしようかといったような考えも浮かんでくるかも知れません。

そして、大事なのは生命保険の見直し・・・

保障は足りてますか・・・必要以上の保険に加入してませんか・・・保険料は割高となってませんか・・・

等々を考えながら・・・

検討していくことを、お奨めします。

個人的には、今年の住宅購入は、割といい状況なのではかんじています。

購入を検討される方は、くどいようですが・・・資金計画はくれぐれも老後の生活までをも考えてご検討ください・・・


 

14年04月15日 11時30分49秒
Posted by: arakisouzoku

今日の読売新聞に。消費増税後の全国世論調査(11~13日実施)が掲載されていました。

その調査内容はというと・・・

4月からの消費増税に伴う負担を『非常に感じている』とも答えは22%・・・

『多少は感じている』は53%・・・

感じているの回答の合計は約75%・・・

『あまり感じていない』は19%・・・

『ほとんど感じていない』は5%・・・

感じていないの回答の合計は約24%・・・

税率引き上げ後も、家計の支出を『減らしていない』は62%と、『減らした』の34%を大きく上回ったようです。

そのなかでも、税率引き上げの負担増を『感じている』人でも、家計の支出を『減らしていない』との回答は59%に上り、『減らした』の40%よりも多い結果となったようです。

年金等の社会保障制度の財源として、消費税率を引き上げたことについては、『評価する』46%と『評価しない』47%が拮抗したかたちとなっているようです。

今後の消費税率の10%の引き上げについては、反対が68%、賛成は27%、という結果となっているようです。

10%の引き上げ時には、軽減税率の『導入すべき』は79%、『そうは思わない』は14%となっているようです。

やはり、消費税10%の導入時には、『軽減税率』であるべしという考え方の方が多いようです。

所得の不公平感をなくすといった意味では、当然の意見かもしれません。

3%の税率UPでは、負担増はかんじているものの、家計への影響は40%程度となっているようです・・・

まだ、増税後、2週間ですから、今の段階で家計の負担を減らしましたかといわれても、何かしたかなというのが実感かもしれません。

減らすといっても、何が減らせるか掴みきれていない状況でしょうし、これから、4月分の電気料等の請求書が届いてきあmすので、改めて、消費増税の負担増を感じてくるかもしれません・・・

私の場合は、何といっても交通費・・・ガソリンを入れる度・・・電車に乗るたび・・・3月までとは違うなと実感しています・・・

それでも、負担を減らそうにも減らせない・・・必要な出費だからです・・・

現状では、減らそうとしても減らせない・・・必要な出費だからといった方も多いかもしれません・・・

これから、値上げ後の電気料等の請求書が届いてきます・・・

また、一月にかかった生活費も、その全容がみえてくることになってきます。

その時に・・・家計の負担を見直そうと思い始めてくることは、多いにあるのではと・・・感じています。

今の段階では、負担増は感じているもののその結果は数字として見えてこない・・・

具体的な数値で見えてこなければ、改善個所もみえてこないといった状況もあるかもしれません・・・

これからは、10%の増税も控えています・・・

今の日本の借金残高を考えると・・・将来的には消費税率20%なんてこともあるやもしれません・・・

今の日本の借金を返すのには、計算上は25%位の消費税が必要と感じています・・・

もっとも、その財源が、消費税か所得税か相続税かというのは、別にしての話ですが・・・

さすがに、法人税をUPするのは難しいでしょう・・・

最後は、個人の財布から捻出していくことになるのではないでしょうか・・・

消費増税の負担増は感じるけれど、その負担増が具体的にいくら負担になっているかは、今のうちから掴んでおいた方がいいかもしれません。

数値化しておかないと、何となく、負担増は感じていますで終わってしまいかねません。

そのためには、やっぱり家計簿をつけてみることでしょう・・・

特に、使途不明金・・・つまりは、後から、何につかったか・・・分からないといった出費はひかえてみましょう・・・

バブルのころでしたら、多少の使途不明金も、ボーナスで、余裕で穴埋めできました・・・

証券会社の新入社員の女性のボーナスが100万円といったような時代でしたら、多少の使途不明金などとケチくさいことを言うなの感覚でよかったでしょう。

個人的には、消費税は10%・・・さらには15%・・・というように、上がり続けていくような気がしています。

どこまで、上げるかは、全く予想できませんが・・・

備えあれば・・・憂いなし・・・今のうちから、しっかりとした家計管理は必要かもしれません・・・


 

14年04月14日 11時52分00秒
Posted by: arakisouzoku

相続税は、他の国税と何が違うでしょうか・・・

所得税は、一年間のうちに個人が取得した収入から経費を差し引いた所得金額に対して課税されるものです。

法人税は、法人という会社が、一事業年度ごとにあげた益金(収入)から損金(費用)を差し引いた所得に対して課税されるものです。

所得税も法人税も、一年間の労働の対価としての所得に対して課税されますので、その担税能力には問題はなさそうです。

所得がなければ課税されないこととなるからです。

消費税は、課税の対象となる商品を購入するたびに課税されるものです。

低所得者も高所得者も一律の税率で課税されます。

これは、個人で考えた場合、所得税や相続税が超過累進税率で課税されることを考えると、これが真の公平であるのか、でないのか・・・これは、公平でないとする考えが軽減税率導入の根本的な考え方なのかもしれません。

相続税は、ある人が亡くなった時の財産を承継した人に課税されるもの・・・

この場合、その課税がされるか否かは、ある一定の金額以上の財産を遺した場合となります。

そのある一定の金額のハードルが、低められようとしています。

これは、財産に対して直接課税される税金ですから、このハードルが低くなれば低くなるほど、個人の所有している財産の承継できる金額は、減ってくることとなってきます。

何か、日本は社会主義国家と思えてくるような税金のシステムです。

一生懸命、寝ずに働いて一杯儲けて国に多額の所得税を払い、最後に相続税を支払う・・・

もっとも、一生懸命働いてという側面からみると・・・

農地の納税猶予、非上場株式等の納税猶予、山林の納税猶予、等々、事業承継のための税金を回避できる規定は用意されています。

ただ、貸家オーナー等の準事業と呼ばれる収益構造に対しては、そのような制度は存在しません。

つまりは、自分で汗をかかないで残した財産を、同じく汗をかかないで取得した・・・場合、

その財産が増えたという事実に課税することとなるわけです。

この考えは、所得税でも同様です。

一生懸命働いて財産(資本)が増えた・・その増えた財産(当期の利益)に対して課税するわけです・・・

このように、相続という財産の承継によって・・・財産が増えたことに課税するというわけです。

相続税は、いつ、創設されたか・・・

相続税は、日露戦争の戦費を用意立てるために施行されたといいます。

社会主義的発想というよりも、富国強兵の一環だったのでしょう・・・

太平洋戦争後は、何か社会主義的な税金・・・富裕層の財産に課税して、世の中に分配する・・・となったような気がします。

時には、担税力に苦心し、相続税を支払うために、昔からの旧家を売却するといったような話も耳にするところです。

これでは、昔ながらの風景にも影響を及ぼしそうです・・・

相続税のかかってくる方達にとっては、一番、悩ましい税金かもしれません・・・

良きアドバイザーとして、少しでも、お役にたてれば、幸いです・・・

 

14年04月11日 23時56分36秒
Posted by: arakisouzoku

来年の相続増税の影響もあるのでしょうか・・・

住宅取得資金や教育資金の贈与税の非課税を利用される方が思いのほか・・・多いようです・・・

生前に贈与をしてあげたい・・・それも贈与税は非課税・・・そして贈与をすることによって相続財産が減る=相続税の負担が減少と・・・なってきます。

これは、来年からの相続税の基礎控除額の減額も追い風となっての利用のされかたでしょう・・・

これから、学生となっていくお孫さんやこれから住宅の購入を考えているお孫さんをお持ちのお祖父ちゃんやお祖母ちゃんにとっては、魅力ある制度でしょう・・・

相続税の基礎控除額の減額を控えていますので、使える特例は使って、将来の相続税の負担は減らしておきたいところです。

気をつけるべきは、生前に贈与であげた財産は相続時に特別受益として持ち戻しされて遺産分割を計算しますので、後々の相続の遺産分割まで考えての贈与としたいところです。

住宅取得金や教育資金の贈与の非課税は、当然ながら生前贈与の加算の心配はありませんから、85歳すぎても、極論として90歳でも、安心してりようできます。

お子さんやお孫さんで住宅取得の予定が無い場合、お孫さんで教育資金の贈与に該当するものがいない場合、暦年贈与で、毎年、毎年、こつこつと生前贈与していくという方法もありますが、85歳もすぎてくると生前贈与加算のことも考えて贈与の計画を考えなければならないでしょう・・・

85歳もすぎると、相続税の対策は、正直、難しくなってきます・・・

そんなとき、85歳すぎてもつかえる相続税対策として、一つの生命保険の商品があります。

90歳(満91歳)まで告知なし(入院していると不可)で入れる終身保険です。

告知が必要ありませんので、病歴や現状の体調の如何に拘わらず加入できます・・・入院しているとだめのようですが・・・

この保険は、保険料を一時金で支払って加入する保険です。

イメージとしては、1000万円の保険料で1000万円の終身保険に加入するものです。

80歳で加入(女性)した場合でも、死亡保険金は、多少は保険料を上回るようになっています。


お祖父ちゃんやお祖母ちゃんが、被保険者となれるわけです。

お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが被保険者、契約者、保険料負担者となれば、生命保険金の非課税が適用となります。

500万円×法定相続人の数まで、相続税の非課税となるわけです。

例えば、お祖父ちゃんの場合、配偶者と子供3人の場合は、500万円×4人=2000万円までが非課税です。

もっとも、既に、加入している生命保険の保険金額が生命保険金の非課税枠を超えている場合には、相続税の対策とはなりませんが・・・この場合の生命保険金は保険金受取人の固有の財産となりますので、遺産分割の相続財産の対象外となりますので、円滑な遺産分割としては有効に使えそうです。

70歳位までですと、暦年の生前贈与が有効ですが、80歳もすぎて何かいい方法はとお考えの方で、健康上の理由で生命保険に加入していない場合、若しくは、生命保険金の非課税枠に余裕のある方は、検討してみたらいかがでしょうか・・・

相続税法の非課税枠を使い切ることは、とても有効な相続税対策となります。

税法の非課税や特例を上手に使いきることが、なによりの税金対策となるでしょう・・・

 

14年04月11日 09時02分34秒
Posted by: arakisouzoku

昨日の日本MDRT(生命保険である一定の成績を納めた成績優秀者の称号)東京大会で相続士協会としてブースを設置し相続士試験をPRしてきました。

皆さん、相続に対しては非常に興味を示されておりました。

来年からの相続増税に向けて、お客様に有効なアドバイスができるようにならなければと、ひしひしと感じているのが窺えます。

ある相続のセミナーで講師の先生がおしゃっていました。

相続の対策というのは、究極、不動産に関わる税金を知ること、不動産がいくらで売れるかをおさえること、とおしゃっていました。

もと、都市銀行の行員のかたで、相続対策に使える節税商品なども開発してこらえたそうです。

相続対策と言えば、①遺産分割、②納税の準備、③節税対策、といわれています。

遺産分割や納税のことを考えないで、節税対策として土地活用等を進めていくと、結果、円滑な分割が出来ない、納税ができる金融資産がない・・・結果、虎の子の不動産を売却するといったことが起こらないともいえません・・・

本当は、虎の子の不動産を売却しなくても、そのほかの不動産を売却すれば、とりあえず、凌げたのにといった場合でも・・・

不動産業者さんが、とりあえず、こっちの条件のおちる不動産を売却すれば何とか凌げそうですねといってくれればいいですが・・・当然に、条件のいい土地の売却を押しすすめたいというのが、本音でしょう・・・

もっとも、その判断が出来るほどの情報をお客様からいただけないというのが、現実のところとなってきますが・・・

不動産に関わる税金とは・・・何か・・・

まずは、所得税関係・・・

代表的なものは、不動産を売却した時の譲渡所得、土地や建物であれば、分離課税となります。

相続に絡む場合は、ほとんどが長期になるでしょうから、取得費や必要経費控除後に、住民税等を含めて約20%の税金が貸されます。

相続税を払うために相続財産である不動産を売却した場合には、相続税のうち一定額を譲渡所得の取得費に加算されることとなりますので、相続後に売却した方が納税資金の準備としては効率のよいものとなりますが、問題は不動産の売却はいつ売れるか、いくらで売れるかの具体的な予想が困難なことでしょう・・・

相続後の売却で、申告期限10カ月に決済が間に合わないといった時に、税務署に事情を説明して、とりあえず延納の申請をして切り抜けたことがあります。

最終的に、土地の決済が終了した段階で延納分の相続税を利子と一緒に納めて完了しました。

他には、不動産を賃貸に供してれば、不動産所得が生じてきます・・・

不動産所得や将来の相続の対策のために、不動産管理法人をつくって、家族を社員として所得分散をして、給与所得控除の恩恵をうけながら、超過累進税率の税率も下げていくという節税方法もよく取られています。

不動産管理法人を設立するほどでなければ、賃貸物件の建物のみを子どもに売却か贈与をして、所得分散をするといった方法も取られています。

テーマは所得分散と、法人をつくる場合は、給与所得控除の活用というところでしょう・・・

また、不動産所得にからむ消費税の対策も考えられるでしょう・・・

消費税のかかる駐車場や事業貸家の売り上げを家族の中で分散化させることで、1000万円を下回させれば、消費税の納税は回避できることとなります。

もっとも、駐車場の所得分散は土地の譲渡や贈与が前提となってきますので、事業用の倉庫や事務所といった貸家の譲渡や贈与となるでしょう・・・

他には、固定資産税等々・・・ただの更地で稼がない遊休土地をどうするか・・・

土地の活用が難しい立地、周辺に住宅もお店もなく、とにかく、寂しいといった場合、太陽光発電の可能性があるかもしれません・・・

そういった可能性がなければ、納税用に売れるときに売ってしまった方がいいかもしれません。

固定資産税を、ただ払い続けるだけならば・・・その選択はありえるでしょう・・・

そして、相続税、土地の多くも所有していれば、路線価という評価額(若しくは固定資産税評価額の一定の倍率)を、もとに課税されることとなります。

相続税での不動産の注意点は、何といっても、税法上の特例の規定を意識することでしょう・・・

小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例

広大地の評価

農地の納税猶予

さらに会社経営をされている場合、非上場株式等の納税猶予

不整形地評価と利用区分

貸家建築による評価減

等々・・・相続税法には、適正に評価を下げられる計算方法が定められています。

まずは、こういった特例を余すことなく利用することが重要です・・・

以上が、大まかな不動産に関連する税金といったところでしょうか・・・


そして、不動産の価値を知ること・・・

それぞれの不動産が、いま、いくらで売れるかを知っておく・・・

これが、分からないと、そもそも、考えようも無いといったことになってきます。

税金によるお金の持ち出しと売ればいくらお金が入るといったことを、先ずは、知っておく・・・

そのうえで、色々な考えが浮かんでくるものでしょう・・・

まずは、不動産調査、棚卸をして全ての不動産をまず観てみる・・・税金を調べる・・・売却価格を調べてみる(自ずと建築基準法等の制限も調べられることとなります)・・・といったことを、始めてみたらいかがでしょうか・・・

 

14年04月09日 13時25分18秒
Posted by: arakisouzoku

昨日は、東京の神保町で、生命保険の販売員の登録をしているFP会社の会議がありました。

毎月ごとの、経済情勢や株価の動向などが聴ける貴重な会議の場です。

そして、定期的に、各生命保険会社の代理店の営業の方が、新商品の説明に来ていただいたりと・・・欠かせない情報収集の場となっています。

その会議の行き帰りの車中の中で、先日(先日といっても、結構、前に購入も呼んでいなかった・・・)購入した週刊ダイヤモンドの特大号を読みふけっていました。

途中、途中。居眠りしながら・・・時には、本を落してしまいながら・・・

内容が、つまらないわけではなく・・・単なる寝不足です・・・

その本の内容は、『保険を斬る!』後悔しない保険選び・・・とあります。

お決まりの、保険商品ランキングもあり、参考と思い購入した本です。

今回のこの本の主題とするところは、消費増税、電機・ガス等の公共料金の値上げ、などの大きな家計負担増に備えて、家計のなかで大きなウエイトを占める生命保険を、賢く、効果的に見直すノウハウを伝授するという内容のものです。

そして、頁を開くと・・・

保険をリストラせよ・・・というタイトルが迫ってきます。

その内容は、消費増税の記事によく使われる大和総研の是枝研究員さんが2年前に発表した、消費増税や社会保障の家計負担増のデーターが掲載されています。

私も、一昨年のセミナーの時に、このデーターを参考にさせていただきました・・・

2年たっても、貴重なデーターなのかもしれません。

このデーターは、2年たっても貴重なデーターのようです。

例えば、片働き4人世帯で年収500万円の家庭では、年間(2016年消費税10%前提)、約16万7800円の家計負担増になるであろうとされています。

他は、共働きや、単身世帯、年収ごとのデーターが掲載されています。

年収が1500万円を超えてくるような家庭ですと、約44万円位の家計負担であろうとシミュレーションされています。

要は、この家計負担の対策として生命保険をきちんと見直しましょうということです。

そして、その次には、保険の営業の方との接し方、付き合い方、が書かれています。

さらには、募集パンフレットのトリックに注意とあります。

保険証券の見方の説明、告知義務違反の注意、などに触れています・

なるほどと思いながら、次には、保険の基本として終身や定期、収入保障の保険の仕組みについて触れられています。

それぞれの、必要な保険はどれか、その目的等についてふれています。

最後には予定利率、いわゆる保障額にたいしての保険料が決まるものです。

予定利率が高ければ高いほど、保険料は安く抑えられることとなります。

そして、購読者のかたにとって、どんな保険が適しているかのフローチャートがあります。


ここまできて、やっと・・・各種保険の人気ランキングと続きます・・・

人気ランキングは、さすがに、このブログでは割愛させていただきます。

保険種類ごとに、各社の商品ごとにメリットの高そうなものを紹介されています。


要は、いま、加入されている保険商品が、自分にとってベストな選択のものであるのかを、まず、確認して、あまり適していないようであれば、見直しを考えてみる。

見直しも、誰でもできるというわけではなく、例えば血糖値が高くなってしまったというようなときは、告知の段階で断られることもあります。

まずは、加入されている生命保険の内容が、適しているか否かを、とにかく早目に確認した方がいいと思います。

といったときに・・・誰に相談すれば・・・と思わず考えてしまうかもしれません・・・

保険を売っている方に相談すると、新たな契約獲得のためのアドバイスが優先されるのではとの心配もあるでしょう・・・

現に、たくさんの保険会社の商品を扱っている代理店で、手数料の優劣で商品を提案をしているなどの問題も出てきているようです。

今回のような本を購読されて予備知識をつけられてから相談を受けた方がいいかもしれません。

または、日本FP協会等で実施している、『無料相談会』でFPの方に、保険についての基本を教えて頂いてからでもいいかもしれません。

日本FP協会のHPで、東京、大阪の相談室のほか、各都道県の支部で開催されている『無料相談会』が確認できますので、是非、ご利用されてみたらいかがでしょうか・・・

具体的な会社の商品等については、お話できないようですが、基本的な知識を得るのにはもってこいと思います。

ちなみに、私も、今年一杯、東京(虎の門)の相談室の相談員のお手伝いをさせていただいております。

まずは、自分の保険の正体を知る(意外と知らない方が多いのです)、そしてライフプランの考え方を知る、そしてライフプランニングをして家計収支のキャッシュフローを作成してみる・・・

まずは、このような事を目標に、消費増税に備えてみてはいかがでしょうか・・・



 

14年04月08日 19時18分01秒
Posted by: arakisouzoku

先月は、某証券会社の相続のセミナーに参加しました。

今月は、三菱UFJ信託銀行の相続セミナーに参加しました。

そして、もう一回、幻冬舎の相続セミナーに参加してきます。

よくも、飽きずに何回も聴きに行くなと我ながら感心というか呆れかえります・・・

来年からの相続税の改正に向けて、各社、どんなお話で惹きつけるのかを確認したくて、ついつい足を運んでしまいます。

話す内容は、大体お決まりのパターン・・・

相続のスケジュール、遺産分割、争続対策、遺言、簡単な相続税シミュレーション方法、等々・・・

とても、参考になったのは、相続手続きの一覧と財産の棚卸のフォーマットでした。

これらのものを参考にして、今後の自分のお客様用ツールを作成したいと考えています。

いかに、簡単に、分かりやすく、間違えずに・・・伝えるには、どのように話をしたらいいのか、どのような資料がいいのか、・・・

いつもの悩みで、もはや・・・永遠の課題の様な感じがします。


そんな相続セミナー三昧の中で・・・気になる全く異なったセミナーがあります。

何かいいセミナーはないか、とパソコンで探していると興味深いセミナーがありました。

今年初めにも、予約をいれて聴きに行く予定だったのですが、仕事の関係でキャンセルしました。

そのセミナーは賃貸マンションのリノベーションのセミナーです。

都内で数多くのリノベーションを成功させている会社が、そのノウハウを教えてくれるものです。

築年数が10年も超えてくると、賃貸マンションンの競争力は一気に低下してきます。

それでも、20年、30年位までは、傷んだところを補修しながら、何とか持ちこたえていくでしょう。


リノベーションとは、大がかりなリフォームを施して、新しい価値観を創出する・・・そんなイメージをもっています。

斬新なデザインや間取りで、新たな顧客層を獲得する等々・・・

そんな例をいくつも成功させている会社です。

築20~30年位の賃貸マンションを所有している80歳代のオーナーの場合なんかですと、大規模なリフォームをすれば、相続税対策にも繋がりそうです。

現金やローンで、リノベーションをする・・・建物の評価は固定資産税評価額・・・いくらかは、建物の評価減となるでしょう・・・

相続税も下がる ・・・資産価値も上がる・・・空室リスクも減少する・・・

といった結果が理想でしょうが・・・はたして、そんなにうまくいくものなのか・・・

リノベーションの工事費に見合った資産価値のUPに繋がるものなのか・・・

賃料収入、売却価格に反映してくれるものなのか・・・

そんなところを、聞いてみたいと思っています。

老朽化した賃貸マンションは、本当に悩ましいものと思います。

ある程度のリフォームを施して賃料を下げて貸し続けるか・・・

大がかりなリノベーションを施して、賃料を高い水準で貸し続けるのか・・・

建て替えるか・・・売却するか・・・

等々、相続税が気になる方は、なおさらに、気になるところでしよう・・・

そのセミナーを開催している会社のHPに掲載されているリノベーション物件の賃貸情報を見ると、ガラス張りの浴室が良く現れてきます・・・丸見え状態・・・

これが・・・デザイナーズ・・・?というものか・・・と思いつつ・・・思わずブラインドの代金を頭で計算してしまいます。

私には、ガラス張りの浴室のマンションに住むことは・・・ちょっときついかもしれません・・・

 

14年04月05日 17時26分47秒
Posted by: arakisouzoku

以前のブログでは、武富士事件と納税義務者の要件について触れさせていただきました。

海外居住者が海外財産を、贈与もしくは相続で取得した場合の取扱いの変遷についてでした。

今回は、平成17年に税務訴訟となった航空機リースに係る件について簡単に触れさせていただきます。

この航空機リースとは、民法上の任意組合が出資者を募りその出資額とノンリコースローンで航空機を取得し、航空会社にリースをしたリース料からローンや諸費用を差し引いた金額のうち出資額に応じた分を、その出資者が不動産収入として受け取るというというものです。

このポイントは何といっても、不動産収入となっていることです。

任意組合で航空機という不動産を所有する・・・

これに出資した出資者は、出資額に応じた航空機を所有しているという解釈です。

出資といった観点で観ると、その出資したものが不動産といった代表的なものはJリートでしょう・・・

ただ、Jリートの場合は、その不動産は信託受益権となっていますので、信託受益権という配当を受け取れる権利に出資しているということになってきます。

ここが、組合を組成して不動産を所有することと大きな違いです。

もっとも、最近は組合で不動産を所有して、賃料相当分を配当として受け取るといった商品もよく見かけます。

信託受益権とする手間や経費がかからないといった手軽さは、あるかもしれません。

この、不動産収入として受け取る・・・配当として受け取る・・・何が違うかといいますと・・・

不動産収入として受け取った場合、その所得は不動産所得・・・

配当として受け取った場合。その所得は雑所得・・・

不動産所得と雑所得の大きな違いは・・・

不動産所得は、減価償却ができます、そして損益通算ができます、さらに相続発生時には不動産の評価方法が適用されます・・・すなわち、土地は路線価、建物は固定資産税評価額ということになってきます。

所得税では減価償却ができる・・・相続税では不動産としての財産評価が適用される。

これは、金融商品として所有するよりは、節税効果は高くなってくるでしょう。

雑所得は、減価償却もなければ、損益通算もできません、相続発生時には、金融商品として相続発生時の取引相場価格での評価となるでしょう・・・

雑所得扱いでは、投資対象が不動産というだけで税務上の不動産を所有していることによる節税効果は得ることは出来ないこととなります。

この所得区分が、時に、税務訴訟となっていくわけです。

上段の航空機リース事件で申し上げますと・・・

任意組合の取得した航空機のリース料を不動産収入とするということは、航空機の減価償却が経費として差し引かれることとなります。

このケースの場合、リース期間は、確か6年・・・6年で航空機を減価償却・・・結果、大きな不動産所得の赤字が生じることとなります。

この赤字が、例えば事業所得や給与所得で所得税率50%の高所得者の方にとっては、大きな節税効果となって表れてきます。

逆にいうと、不動産所得以外の所得が少ない人にとっては、メリットがないこととなってきます。

そして、6年経過した後、その航空機を売却してローンの返済、出資額の弁済に充てるわけです。

この売却時に、当然ながら短期で減価償却を行ってきた分、多額の譲渡益がでてきます。

ただ、6年経過後ですから長期譲渡所得で2分の1の課税価格となってきます。

総体的にみると、かなりのキャッシュが手許に残るという試算もされています。

この、航空機リースのスキームについて、課税庁側は、任意組合を民法上の組合契約ではなく利益配当契約として、更正等の処分を行いました。

不動産所得としては、認めません。

減価償却も、損益通算も否認されることとなりました。代わりに譲渡の所得は発生しないこととなります。

この、処分にかんして納税者側は、訴訟をおこし、結果は納税者側の勝となりました。

不動産所得が、裁判では、認められたわけです。

その理由としては、第一には任意組合を否定するだけの要件がなかったということでしょうか・・・

うまくいけば、手許に相応のキャッシュが残る反面、航空機の相場によっては損をする可能背もありといったところが、sの理由にあるようです。

必ずしも、得するだけとはいえず、節税できる半面、リスクもある。

ということが、利益配当契約と言いきれなかったということだと解釈しています。

この結果を受けて、課税庁側は、所得税の改正をしました。

任意組合からの所得は、損益通算対象外と・・・

これで、同様の節税を目的とした行為は、できなくなってしまいます。

結局、法律で定めてしまえば、その法律に基づいて課税されることとなりますので、節税が大きくできる商品には注意が必要かもしれません。

租税回避行為とその徴収のための税制改正は、まさにイタチごっこのようです・・・

毎年の税制改正大綱には、目が離せません・・・


 

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