相続税は、他の国税と何が違うでしょうか・・・

所得税は、一年間のうちに個人が取得した収入から経費を差し引いた所得金額に対して課税されるものです。

法人税は、法人という会社が、一事業年度ごとにあげた益金(収入)から損金(費用)を差し引いた所得に対して課税されるものです。

所得税も法人税も、一年間の労働の対価としての所得に対して課税されますので、その担税能力には問題はなさそうです。

所得がなければ課税されないこととなるからです。

消費税は、課税の対象となる商品を購入するたびに課税されるものです。

低所得者も高所得者も一律の税率で課税されます。

これは、個人で考えた場合、所得税や相続税が超過累進税率で課税されることを考えると、これが真の公平であるのか、でないのか・・・これは、公平でないとする考えが軽減税率導入の根本的な考え方なのかもしれません。

相続税は、ある人が亡くなった時の財産を承継した人に課税されるもの・・・

この場合、その課税がされるか否かは、ある一定の金額以上の財産を遺した場合となります。

そのある一定の金額のハードルが、低められようとしています。

これは、財産に対して直接課税される税金ですから、このハードルが低くなれば低くなるほど、個人の所有している財産の承継できる金額は、減ってくることとなってきます。

何か、日本は社会主義国家と思えてくるような税金のシステムです。

一生懸命、寝ずに働いて一杯儲けて国に多額の所得税を払い、最後に相続税を支払う・・・

もっとも、一生懸命働いてという側面からみると・・・

農地の納税猶予、非上場株式等の納税猶予、山林の納税猶予、等々、事業承継のための税金を回避できる規定は用意されています。

ただ、貸家オーナー等の準事業と呼ばれる収益構造に対しては、そのような制度は存在しません。

つまりは、自分で汗をかかないで残した財産を、同じく汗をかかないで取得した・・・場合、

その財産が増えたという事実に課税することとなるわけです。

この考えは、所得税でも同様です。

一生懸命働いて財産(資本)が増えた・・その増えた財産(当期の利益)に対して課税するわけです・・・

このように、相続という財産の承継によって・・・財産が増えたことに課税するというわけです。

相続税は、いつ、創設されたか・・・

相続税は、日露戦争の戦費を用意立てるために施行されたといいます。

社会主義的発想というよりも、富国強兵の一環だったのでしょう・・・

太平洋戦争後は、何か社会主義的な税金・・・富裕層の財産に課税して、世の中に分配する・・・となったような気がします。

時には、担税力に苦心し、相続税を支払うために、昔からの旧家を売却するといったような話も耳にするところです。

これでは、昔ながらの風景にも影響を及ぼしそうです・・・

相続税のかかってくる方達にとっては、一番、悩ましい税金かもしれません・・・

良きアドバイザーとして、少しでも、お役にたてれば、幸いです・・・